キレと笑いと真実と
人間我慢の限界を超えるとキレることがある。よく「最近の若者はキレやすい」とぼやいていることをよく聞くけど、実際は若者だろうがお年寄りだろうがキレる時はキレる。
ようはキレるきっかけがあるかないかの違いなだけだ。
それからキレた時にも人によって様々パターンがある。
普段大人しかった人がキレると怒鳴り声をあげて人格が変わったように攻撃的になるとか
それほどではないが涙を流しながら攻撃するやつもいる。
でもいちばん厄介なパターンはそれらとは全く逆、無言になるパターンだ。
このパターンのやつは何をしでかすか分からない、もともと静かな人場合だとそもそもキレているのかどうかも怪しいところだ。実に理解不能なやつだ。
けど今俺はその人がどういう状態になっているか分かる。
だって俺が今その状態だから
それになると何故か冷静になる、頭の中を掃除したかのようにクリーンな状態なってるみたいだった。
キレているのに頭の中は実にクールという矛盾した状態のおかげで今の状況を冷静に分析することができる。
だから俺から久しぶりにあの感情が生まれた。
「ふ…、ふふふ…ははは…。」
気づいたら俺は笑っていた、それをみてGが貴重動物を見るように見つめていた。
「おい、どうしたY?ついに頭おかしくなったのか?」
「いや、俺はいたって正常だよ。」
「ならなんで笑ってるんだよ?お前この状況分かってるのか?」
「ああ、分かってるよ。だから笑ってるんだ。」
分かってる
それだから笑える
それだけの理由があるから。
「ならなんで笑えるんだよ!」
「だって嬉しいから。」
「嬉しいってなにが?」
「だってさ、さっきまで委員長が言ってたことが委員長の本心じゃないってことがだよ。」
「はぁ?」
「ぶっちゃけあの時委員長にあんなことを言われた時は心は折れかかったよ。今まで俺がやってきたことはなんだったんだっで…。
でもそれが嘘だと分かったからまだ俺がやってきたことにはまだ意味があるって分かったから笑ってるんだ。」
もしもあれが委員長の本心で今までのが全て演技だったら俺はもうここにはいなかった、きっと優歌のところに行ってただろう。
けどまだ俺はここにいる。
「はっ、くだらないくだらないくだらないな!」
Gが苛立ちを隠しきれていない、おそらくあいつは今キレている。
そのキレかたは典型的な攻撃型だ。
「くだらなくてもいいよ、俺は委員長を連れてここから出ていく。そして約束を果たす。」
「まあそう思ってればいいさ、でもその約束は絶対に果たせない、絶対にだ…。」
ここで1つ訂正しなければいけないことがある。
さっきの発言についてだ。
さっき俺はキレたら攻撃的になるやつことについて話したが、あれに一言付け加えさせてくれ。
結局そいつもなにをやらかすは分からない、未知数なのだ。
「これをもう少し後な予定だったのにな…。」
そう言うとGはポケットから小さなスイッチをとりだしそれを押した。
その瞬間、部屋の壁だったところがシャッターみたいに上上がっていきそこからは透明なガラスが出てきた。
「嘘だろ…?」
「いいや、嘘じゃない、これが現実だ。」
ガラスの向こうに映し出された風景、それはここにくる途中で優歌ともに行った現象によって何もかも消えてなくなった場所そのものだった。
それがガラス張りになった部屋の360°に映し出されていた。
「どうだ、笑えよY?これが今の世界の真実だ…。」