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無の世界
最初に言っておく。
この物語にはハッピーエンドなどない。
そもそも物語などなかったのかもしれない。
しかし俺は残っているわずかな記憶がそれがあることを知ってる。
俺は自分の名前も思いだせない。
なのでここではYとでも名乗っておこうか。
この時点で察しているものもいるだろうが自分の名前も覚えてない奴が当然他人の名前を覚えている訳がない。
なのでこの物語に出てくる登場人物は何一つの例外なくアルファベットで語られる。
前置きも長くなったことだしそろそろ語りだそうか。
全ての記憶がなくなる前に…