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異世界で生きよう。  作者: 579
2.彼はこうして異世界で育つ。
40/159

Ex5.絶望の中で。

 とある森の中で、髭を生やした男性と活発そうな少女が歩いていた。


「ったく、今は魔物がいて危ないからついてくるなって言っただろうに。」

「だって暇なんだもん!もう4歳なんだから付いて行ってもいいでしょ!」

「はぁ。俺も娘にゃ甘いな。」


 二人が獲物を求めて歩いていると、突如として彼らの耳がピクピクと動く。


「なっ!?やばい、今すぐにげ・・」


 だが、男性が少女の手を握りその場を離れようとした瞬間、彼は何かに身体を引き裂かれ血しぶきを迸らせる。


「きゃぁああああ!!!」


 少女は思わず悲鳴を上げた。

 彼女の目に広がるのは血を流し倒れる父親と、筋肉が発達した身体に青い毛が全身を覆う化物。

 化物の爪からは男性の血が滴り落ちていた。


 化物は悲鳴を上げた少女に視線を向けると、ゆっくりと近付いてくる。

 だが、彼女は腰が抜けてしまったのか男性の横に座りこんだまま動かない。


「こっちを向きなさい!私が相手よ!」


 その時だ。

 一人の女性が彼らの前に姿を現し化物の興味を惹きつける。

 化物が女性へと向かった後、少女は泣きながら男性にしがみつく。


「パパ!パパ!!」

「あぁ、こりゃやべぇな。お前だけでも逃げろ。」

「やだよ!」


 男性は少女に逃げるよう勧めるが、彼女は一向にその場を離れる気配がない。

 化物と対峙する女性も額には汗が浮かんでおり、獰猛な気配を纏う魔物との力関係は明白だった。


「誰かお願い、パパを助けて・・・。」


 力なく呟く少女の声は森の中へと消えていく。


 だが、そんな時だ。

 そこに一人の少年が姿を現した。

 彼は辺りを見回すと少女の元へと向かってくる。


 少女は少年の姿を認めると力なく叫んだ。


「パパが・・パパが・・・!!」

「大丈夫だよ、僕に任せてほしい。」

 

 少年はそう言うと、男性の前で一言二言声をかけてから魔法を使う。

 すると、先程まで流し続けていた血が途端に止まった。

 少年はそれからも、少女の目の前で魔物と戦い、そしてついに勝利を収める。


 先程まで絶望に染まっていた少女は、その少年の登場により急速に色を取り戻した。

 彼女の脳裏には、絶望に笑って立ち向かい打ち砕く少年の姿が深く焼き付いていた。

 


こうして見ると主人公しているんですよね。

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