26.彼は振り返る(4)。
魔物との対峙から2年が経ち、俺は8歳になった。
身長に変化がない俺は現在二次成長の最中にある。
獣人は15歳まで成長が続くのだがそれには大きく分けて3段階がある。
まず、一次成長では身体が前世の高校生くらいまで成長する。
次に、二次成長で獣人としての本当の身体能力を身に付ける。
子孫を残すあれこれに関する機能もこの時期だ。
最後に三次成長で身体がゆるやかに成長し、最終的に15歳の頃には身長が170~190cmになる。
身体つきの方は身長同様個人差があるので何ともいえない。
ジムで鍛えているお兄さんくらいの人もいれば筋骨隆々の人もいる。
もちろん、前者より後者の方が力はあるが、圧倒的な身体能力を持っているという点ではどちらも変わらない。
前世の人間の体格を大きく超えた獣人は存在しないが、おそらく筋断面積当たりの張力を始めとして、骨の強度や運動神経の伝達速度など、質的なものが根本的に違っているのだろう。
二次成長で本当の身体能力を身につけるというのはそのままの意味だ。
一次成長は6歳~7歳頃まで続くが、その時にも前世の人間は軽く超えている。
だがまだ理解が及ぶ範囲だ。
それに対して二次成長を終えた10歳頃には、この辺りの生態系の頂点に君臨するにふさわしい力になっている。
違いを例えるのなら、一次成長の終わりには武器があれば大型動物でも手堅く狩れるレベルで、二次成長の終わりには素手で余裕を持ちながら大型動物を狩れるレベルだろうか。
正直、二次成長を終えた時点で異常な身体能力だ。
もしかして俺達獣人は他種族と比べてかなり強いのではないかと思ったが、母の話を聞いた限りそういう情報はなかった。
考えれば考えるほど疑問ばかり増えていく。
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森を超えるまで後2年となったため、そちらに関しても本格的に考え始めている。
一度森を越えようとする人達はいないのかと母に尋ねてみたことがある。
その時は、そういう物好きもいる、との答えが返ってきた。
森を越えようとした獣人のパターンは2種類らしい。
途中で限界を感じて引き返してくるか、二度と帰ってこないか。
後者の原因はいくつか考えられるが森を超えるのは困難ということは確かだろう。
とはいえ、俺に関してはある程度勝算があるはずだ。
食料は普段森の中で狩りをしているのだから問題ないし、飲み水や身の回りの細かなことなどは各属性魔法で対処できる。
2年前のことで魔物にスキルが通用することも分かった。
問題があるとすれば無防備な睡眠時のことになる。
これに関しては獣耳を利用できないかもうすぐ試そうと思っているが、高頻度で襲われた場合にどうするのかも問題だ。
魔物がいないうちはいいが、奥深くに入り魔物が当たり前になると、寝ている側から襲われて休む暇がないということになりかねない。
残りの2年でそれに関してはなんらかの対処法を考える必要があるだろう。
旅立ちの時が段々と近づいて来ました。




