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異世界で生きよう。  作者: 579
2.彼はこうして異世界で育つ。
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11.彼は森に向かう。

彼は狩りを学び始めるようです。

 獣人の生活は4歳まで自由に遊んで過ごし、そこから狩りや動物を解体する方法など生活に必要な技術を親から学んでいく。

 そして一人で安定して生活できるようになる10歳頃に親から独立をして、その集落に新しい家を建てるか他の集落に行くかを決めるようだ。


 ちなみに成長自体は15歳頃まで続き、そこから60歳頃まではその高い身体能力を維持する。

 あくまで年齢と比べると若いものの外見が年をとらないという意味ではない。


●●●●●


「セイくん、明日からママと一緒に森に狩りに行きましょうか。」


 4歳になって暫く経ったある日の夕飯で、母は俺にそう提案をしてくる。

 とうとう森デビューをする時が来たようだ。


「ついに僕も狩りをするんだね。」

「まずは見学からになるけど、そろそろそういうことを学び始めてもいい頃だと思うの。」

「うん。草原は風が気持ちいいけど、あまり代わり映えがしないからちょっと退屈になっていたんだ。森に入るのが楽しみだよ。」


 自由時間と言えば聞こえはいいが、さすがに広い草原が続くだけとあってはやれることなど限られている。

 まさか4歳にして労働の喜びに目覚めるとは思わなかったが、狩りだろうが何だろうが行動範囲が増えるのは素晴らしいことだ。


 さて、初めての森だが母も気を使ってくれるだろうから命の危険は少ないだろう。

 それに俺とてこの4年間何もせずに、広い草原でただ立位姿勢を取っていたわけではない。


 スキルはほとんど意識しなくても自然に維持できるようになったし、草原でよく身体を動かし大分身体能力は高くなっている。

 他にすることがなかったとも言えるが、そんなひねくれた見方をするようでは立派な大人にはなれないのだ。


 それと、スキルには硬化という名前を付けた。

 ゲームのキャラクターに紅蓮の聖天使メラエルと名付けた黒歴史を活かし、シンプルに名付けた俺を褒めて欲しい。


●●●●●


「セイくん、この槍を持って。準備はいいかしら。」


 翌日、森に行く前に母から先端に石槍のついた槍を渡された。

 しかも渡す前に埃を払っていた辺り、本当に普段は武器を使用していないようだ。


「大丈夫だよ、ママ。」

「それじゃあ行きましょう。」


 手ぶらで森に向かう頼もしいのか頼もしくないのかよく分からない母と共に家を出ると、途中で鹿のような動物をぶら下げた男性に出会す。


 彼は隣の家のリンズさんだ。

 集落長と同様に筋肉質な体型と、口に蓄えた髭のせいで見た目は圧迫感があるが、たまに木の実をおやつとして分けてくれる優しいおじさんである。


「お。マリアにセイランスか。そうか、セイランスももう森に入る年なんだな。」

「こんにちは、リンズさん。そろそろ狩りを教え始めていい頃だと思いまして。」

「そうだな、しっかり学んでくるといい。」


 お互い家に距離を開けて暮らしているとはいえ別に仲が悪いわけじゃないから、こうして出逢えば挨拶をするし世間話だってする。


 今回もちゃっかり木の実をもらった後彼と別れてからしばらく歩くと、森に近づくにつれて匂いや音が変化していくのが分かった。

 草原は草の匂いが混じりつつもさわやかな匂いだが森は土の匂いが混じったどこか湿った匂いだし、音も森に近づくにつれて何かの鳴き声が所々から聞こえるようになってきていた。


「いろんな声がするね。それに、草原とは匂いが違う。」

「そうね。そうやって、草原と森の違いを感覚から認識することは大事だわ。」


 母からお褒めの言葉を頂きつつ、俺は森の中へと入っていった。


メラエルは死ぬまで現役でした。

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