0-神の御言葉
昔々、なにもない小さな世界に、二つの命が芽生えました。雄と雌。神様のつくった始めの命です。
二つは形を得ました。人間の形です。そこから、私達人類の繁栄の時代を迎えたのです。
それから、神はさらに生物を想像しました。海に、森に、山に。ありとあらゆるところに命を作りました。
人類が独立した意思をもったのはそのあとだそうです。
それから幾星霜の時を経て、神は言いました。
世界には人が溢れすぎました。私は悲しく思います。しかし同時に嬉しく思います。私の作り上げたあなたたちが、ここまで育ってくれたのですから。
そして、こう続けました。
しかし、やはりあなたたちは増えすぎた。私は裁きを下さなくてはなりません。これより黙示録を綴ります。その中であなたたちが生き残るかどうかは、あなたたち次第です。
この世には人間同士の戦争というものがあったそうですが、神様はそれに次ぐ終末を綴りはじめたのです。
そうして、神様の黙示録、迷宮の創造が行われたのです。
――著・アルフレッドクリストファ『天地創造の神話〜神の御言葉〜』より
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千九百四十五年。世界規模での大戦。第二次世界大戦が終戦した。
血十字教団はこれを第二の黙示録と呼び、その日から世界各国で信者を集めはじめた。
そして運命の二千二百年。それは起きた。ありとあらゆるところで異常気象が発生し、大地は隆起し、人類には到底理解できない頂上現象たちが闊歩した。
人類は自然という名の神に蹂躙され、虐殺された。辺り一面が血の海と化し、世界は三度目の黙示録を迎えることとなる。
しかし、そんな絶望的状況下で絶大な力を発揮したのが、第二の黙示録のとき突如現れた血十字教団だったのだ。彼らはこの悲劇を見事食い止めることに成功し、中心となっていた東京を隔離したのだ。
こうしてようやく、人類は抵抗の刃を突き立てた。黙示録を終わらせるために、人々は迷宮に挑む。