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ダンジョン×キメラ  作者: mebius
バケモノの生まれた日
6/11

相性は最悪

 そんなこんなで。外に出る。指定された場所で錬命士を待つようにということだった。ある意味教師役になる人物で、自分のある程度の情報は相手に渡っているらしい。

 

 どうやって情報を? そう思っていたら。恐ろしい事を聞いた

 ゴブリンの洗礼までの間、街ぐるみで監視されているらしい。具体的には事務所の受付や錬金術専門店。宿だってそうだし。昨日助けにはいったパーティも新人護衛の依頼を受けて事だった。

 酒場の給仕のねぇちゃんも元気づけてくれたと思ったら、監視の一環らしく。聞いた後は少しへこんだ。


 ようは貴重な戦力を育つ前に死なせたくないって事だ。だけど、ここから先は本人達の自由。痛い目にあって成長しなければ、戦力どころか邪魔にしかならない可能性もあるんだろう。


 その後は紹介されたパートナーとして暫く活動すればいいと聞いた。

 だが、命士の方も合わないと思えばすぐにパートナーを解消する事もできる。




 で、今紹介された錬命士の彼女が目の前にいるわけだ。


 そう、どう言おうか。


 一言。

 恐ろしく美人だ。

 男なら誰だって振りかえるだろう。

 まっすぐ伸びた艶のある髪は長くきれいで、平均よりも高そうな身長にこれ以上ないってくらいのプロポーション。あぁ、この子はここが可愛い、なんて言えるものがあるとすれば。すべて。だろうか。錬命士のユニフォームなのか白を基調としたコートは彼女の美を飾り立てるかのようで。

 

 でも、たとえそういう対象として見た相手として、とは考えられない。

 一つは美人過ぎる。こちらが気後れしてしまうくらい。口が軽い男でも思わずナンパするのもためらう程だろうと思う。

 

 で、もう一つ。彼女の持つ雰囲気。あの目線がすべてを物語っているんじゃないだろうか。

 冷たい。

 冷ややか、程度で済めばまだ良い方だろう。

 まるで虫けらでも見るような目でその場の空気を凍り付かせるかのような雰囲気は正直近寄りたくはない。

 

 つまらなさそうに髪をいじりながらこちらを見るその目線はもはや早く死ねば?とでも言いたそうな目だ。

 

 俺だって目つきが悪いのは自覚しているが、正直ここまでじゃないって位だ。

 

 思わず周り右して、「チェンジで」と言いたい所ではあるが、とても、そうとても運の悪い事に俺は彼女からゴブリンの倒し方を聞かないといけない。仮に言ったとしたらあの視線で死ねそうだが。

 

 よし、ここはあれだ。いかにも初心者ですってオーラを出しながら下から下から。


「れ、錬武士のタツヒトです。よろしく」

 

 意を決して挨拶してみる。そう、見た目だけかもしれない。実は人見知りするだけで。話してみれば……そう期待した。


 シズクは腕を組んで。こちらを観察するように上から下へじろっと見ると。


「……シズク……よろしく」


 興味すらないかのようにどこか別の方を見ながらただそういった。

 話しのとっかかりにすらならない。


「え~っと。ゴブリンの倒し方を教えて頂けるそうで」


 はんっと鼻で笑われたような気がした。


「一回の治療に付き2万エスカ、ゴブリンの倒し方は協会の依頼だから免除、探索の報酬は山分け」


 ふと、それが彼女を『雇う』条件だと言うことに気が付いた。パートナー、仲間としてじゃなく嫌々でも雇われて遣ってるんだぞと。こちらへ伝えているかのようだった。

 

「……そ、そうか。じゃあ早速ゴブリンの倒し方を教えてくれ」

「くれ?」

「く、ください」

 

 ゴミが何いってんだ?くらいな、目線は見上げてるようにこっちを見てるけど、正直見下さされてる感は否めない。まぁ実際そうなのかもしれない。


「じゃ、早くして」

「早くしてって?」

「行くんでしょ? ダンジョン行かないなら行かないで私はどうでもいいけど」

「わ、分かった。行くから」


 慌てて踵を返して、ダンジョンへと向かう。一瞬着いてこないんじゃ? なんて思ったけどそれは仕事だからちゃんと着いてきてくれた。

 

 そもそも。半教師役の相手になる人物がここまで会話をしずらい相手って。相当運が悪いような気がしないでもない。

 美女だからか、人目を引いて街ゆく男達が振り返ってみたり、舌打ちされたり。

 おい、お前ら。できるものなら代わってくれ。そういいたい。後を歩いているシズクから、痛々しいほど視線を向けてくるのを感じる。親の敵かよ俺は、これ、刺されたりしないだろうな?

 

 結局無言でダンジョンに着くまでの間。聞こえてきたのは俺のため息の音だけだった。


 ず~っと無言で歩くのはかなり疲れる。無言で居て安心できる相手というのもいるかもしれないけど、少なくとも彼女には当てはまらないだろう。そもそも初対面の相手でもあるし。

 

「ゴブリンに限らず、魔物は体に魔力を帯びてる」

 だから彼女がちゃんと説明をし始めてくれた時は本当に助かった。

「普通の鉄の武器じゃ太刀打ちできないのはそれが理由。魔力を纏えるか放出できる。黒鋼や白鋼じゃないと傷一つ付けられない」


 せっかく口を開いてくれたんだから。邪魔しちゃ悪いと頷いて続きを促すに留めた。しゃべりながらも彼女は太ももに付けられたホルダーから白鋼を抜くと武器化する。

 長めの棒の先に円環の刃のようなものが着いている。杖というよりも棒術で使いそうな細長いそれは、槍にのようにも錫杖?と呼ばれるようなそれのようにも見える。

 

「武器に魔力を奔らせている状態。これが基本」


 シズクの持つ棒が淡く光りを放つ。白、から青。赤。緑へと変化する。


「速度に優れているのが青の魔力。威力に優れるのは赤。緑は変化」

「変化っていうのは?」


 変化の意味が分からず。思わず尋ねてしまった。速い、強い。ってのはなんとなく分かるけど変化っていまいち……

 少し睨まれたけどふんっと彼女は答えてくれる。


「みてて」


 そういって緑に光る棒を一振り。少し距離の開いた先でぼんっと炎が燃え上がった。


「放出系技、火鱗、魔力を炎に変換する技よ」

「何にでも変化できるのか?」

「起こりうる現象になら。得意不得意はあるらしいけど」

 

 こんどは睨まれもせず答えてくれる。淡々とした感じだけど。


「じゃあ白は治癒とか?」


 真っ先にまとったのが白だったし。


「そうよ。他に聞きたい事は?」


 お? 向こうから聞いてくれるとは、今のうちに聞きたい事は聞き出しておくべきか。


「白鋼と黒鋼の違いがよく判らないのと、放出系と言ったから他にも種類があるのかどうか、聞きたい」

「白鋼は増幅した魔力を遠距離や範囲に魔力変換するのが得意な金属で、黒鋼は増幅した魔力を収束させるのが得意な金属。錬命士は範囲治癒も集中的に治癒するのも分けるから両方もっているのが望ましい」


 そういって彼女はすっと左足を見せる。スカートからのぞく太ももが扇情的で、なんて少し思ってたら……視線に気が付かれて睨まれた。

 だったら見せるなよ。じゃなくて。黒鋼の方を見せてくれたのか。

 彼女の両方の股に付けられたホルダーそれぞれ白鋼用と黒鋼用がある。


「次よ。放出系以外には内力系。武器に通すんじゃなくて、自分の体を強化する浸透魔力がある」

「腕力が強くなったり、足が速くなったり?」

「ええ、基本は青か赤の魔力を身に纏って部分的にか全体を強化する」

「緑は?」

「さぁ?使った人がいないわね。自分の体化け物みたいになるんじゃない?想像したくもない」

 

 確かに。もしそんな変化が起きて戻らなかったら一大事だ。誰かやった事がある人はいそうだけど。


「じゃあ、何度か基本は、って言ってたけど応用はどうなるんだ?」

「それは、ってなんで笑ってるのあなた?」


 やばい、細まった目がこわい。何かまずかったか?


「いや、思った以上にちゃんと説明してくれるなぁと思って……」

「そう、じゃあ後は一人で勝手にやって。あぁ、怪我したら治してあげるから、2万で」


 どうやらご機嫌を損ねてしまったらしく。そこからはとりつく暇もなかった。

 

 結果的にいうとできた。と言うかヒントは既に転がっていたらしい。

 黒鋼を武器化するときに体の中を駆け巡るあの感じ。あれを動かす。ってイメージ。ただ。最初は赤だか青だか緑だか勝手にでてたけど。それもイメージだった。速いもの、力の強いもの。まぁ実際マッチョなおっさんをイメージしながら魔力を『練る』と赤色になる。最初は内力系ができて、武器化する時の動きをイメージしたらナイフに奔らせる事もできた。

 それが"魔力錬成"色素魔力。

 

「でもなんか、武器の方は弱々しいんだよな」


 身に纏う内力系から漏れ出る光、というよりオーラとでも言えばいいんだろうか、それに比べてナイフに奔らせる分はなんとも弱々しいオーラで感触が鈍さを伝えてくる。

 

 じっと視線を座り込んで読書をしてるシズクに目を向け見るが、こちらを見てもいない。これ以上教える気はもうないということなんだろう。

 

 ただいくつか分かったことはある。推測でしかないけど。

 この弱いのは多分武器の等級のせいだと思う。より黒鋼ならもっと強い光を放てるんだろうと思う。

 後はこの魔力の色変化、『錬成』というのは得意不得意がある。俺の場合だと、青や赤は比較的得意になるんだと思う。緑は比べるとやりにくい。これが錬武士やら錬命士やら資質を分けている部分じゃないだろうか? 白は全くできなかった。


 よし、できるようになったんだから。後は実戦あるのみだろう。実際に闘いながらできなければ意味がない。魔力を変化させる事を練習するのもいいかもしれないけど、実際に昨日対峙したゴブリンの動きを察するにそろそろ実戦にでるのがいいと思う。

 

 そう決めて、シズクの近くに歩み寄る。

 シズクは近づいてきた俺に気が付いたのか、本を下ろしてこちらを見上げてきた。


「何?」

「ある程度形になったと思うからゴブリンと闘ってみる」


「そ、勝手にすれば」


 なんでこの人はこう角が立つ言い方をするんだろうな。

 ただ。そう言っておきながらシズクは本を閉まって立ち上がる。


「一緒に闘ってくれるのか?」

「は? だれが、闘うのはあなたでしょ。錬命士の私がなんで闘わないといけないのよ」


 まぁ、ごもっともか。戦闘で活躍するのが錬武士だし。ただ、ちょっとその言い方にいらっとした。


「そうか、稼がないとだもんな、せいぜい怪我するよ」

「……そうね」


 一瞬びっくりするような目を開いたかとおもったけど、すぐにまた冷たい目線になった。視線で人が切れそうだ。恐ろしく美人だけど恐ろしく相性が悪い。少しは笑えば。可愛いだろうにな。



 

 魔物は魔力を使えないと倒せない。

 だから、それができる特殊錬金術師達は貴重なのだ。

 キメラにせよ。ホムンクルスにせよ。強化人間にせよ。すべてはその特殊錬金術師をつくりあげるための手段で、実際の所アルケミーを造るためのその手段を俺はよく思ってなかったわけだけど。なんだか実験台にされたみたいでさ。

 

 でも今日、分かってしまった。

 だたっぴろい部屋。


「だりゃぁああああああああああ!」


 無駄にテンション高い俺の声が木霊する。

 その声に恐怖したのか、はたまたそこら中に転がっている。それが怖いのか。

 部屋には100を超えるゴブリンの死骸が転がってる。

 あぁ、口もとがつり上がるのを感じる。

 にやけるって感じじゃないと思う。歓喜、愉悦。


 血が、滾る。

 

 体が動く。

 自分が自分の体じゃないと思えるくらいの速度で。

 青色の魔力を帯びた両足がぐんぐん、相手との距離を詰める。

 

 当てるなら赤の魔力。

 赤く光ったナイフがゴブリンの肌を切り裂く。

 振り向いてすぐに青く練り上げた魔力を奔らせて、放つ。

 正解かどうかは知らない。

 だけど、ナイフを振った幾重もの軌道から、青い軌跡が生まれて5メートルほどの距離を疾駆する。

 速さに優れる青い斬跡が瞬く前にゴブリン立ちを切り裂く。

 

 こんな事をもうずっと繰り返している。

 この部屋で闘っている内に次か次へとゴブリンが押し寄せてきて。

 昨日から今日までの鬱憤を晴らすかのように暴れ回った。

 

 後になって、俺、こんなに攻撃的なのか?と思うような惨状だった。

 どれくらい時間がたったのか分からないけど。ついにはゴブリンが現れなくなった。

 まだ暴れたりないような気もしたけど、どれくらい時間がったったのか分からなくて。顔を濡らすべっとりとした血をぬぐって。キョロキョロとシズクを探した。

 いつの間にかシズクの事も頭から離れていた。

 一応のパートナーで。守る対象ではあるんだけど、ゴブリン程度なんとでもなる。らしいのであまり考えていなかった。

 

「終り?」


 声は後から。シズクの声だ。


「え、ああ。悪い、どれくらいたった?」

「昼でないことは間違いないわね」


 朝から入ってだからもうかなりの時間が経ったんだろう。


「そうか、そろそろ戻らないとな」

「はぁ……」

「どうした?」

「あなた、忘れてるんじゃない? ゴブリンの素材をはぎ取る時間が必要な事」

「あ……」

「こんなに殺して……」


 初心者であるタツヒトからすれば、これからまだ素材のはぎ取りを教わる必要があった。と言うより素直に教えてくれるかどうかも分からないけど。


「すまない、時間かかるものなのか?」

「ええ、監督責任があるから。貴方が帰るまで私も帰れないんだけど」

「だから、すまないって」

「おまけに、こんなにはぎ取りがあるかとか、私にさせる気じゃないでしょうね?」

「最初だけ教えてくれたら、後は全部俺がやる」

「ふん……ならいいけど、それより、あなた……」

「なんだ?」

「まりょ……怪我は?」

「してない返り血だけだ。悪いな」


 稼ぎにならなくて。って事だ。怪我しなければ追加報酬は見込めない。とは言っても。実は2万なんてもってない。今日稼げなければ一度じいさん達の家に戻らなくてはいけない所だった。2万というのは大体一泊できるかどうかくらいの値段。それが高いのか安いのかしらないけど。

 

 

 シズクは「そう」とだけ言って。俺にはぎ取りを教えてくれた。説明してる時だけは饒舌にしゃべっってくれる。いつも怒っているような、冷たいようなその態度に変わりはないけれど。

 

 ゴブリンの素材は耳、これ、以外な事に食べるらしい。ちょっと想像すると嫌だけどこりこりしてて好きな人は好きらしい。

 それと魔石、と言うよりは心臓だった。

 死後、魔物の心臓は硬く、鉱物のようになる。

 この不純物を取り除いたものが鉱魔石。白鋼や黒鋼の元となるらしい。 白鋼や黒鋼にできるのはごく僅かで。そのために高純度の武器を造るのは相当な量が必要らしい。皆魔石をため込んで、少しずつ純度の高い武器を少しずつ作り上げていくらしい。少なくとも武器を強くして困る事はないだろう。

 

 ひたすらに素材にはぎ取りをやっている間考えていた。シズクの事だ。

 最初はその冷たい視線と態度に不快感というか、あの雰囲気は一緒の空間に居たくないタイプだと思う。美少女ではあるけど。言動には多少苛つきを覚えるし、正直向こうも俺の事は嫌いなタイプなんじゃないだろうか?

 

 ただ、少し思う。彼女は相性は最悪だけど、今の俺にはぴったりであるかもしれないって。

 彼女は俺の事になんら興味を示していなくて。一回の治療に付き2万を要求するような女。とどのつまりビジネスライクというか、こっちの事情に足を踏み入れる気はないと思う。

 多分"調整"に関しても金を取るんじゃないかと思って、聞いてみたら"調整"は簡単なので50万。本格的なもので200万ということだった。逆に言えば俺が求めなければ彼女に"調整"されないということだ。仲間だからとそういったものを求められないのは助かるのかもしれない。金がないからとか、他にやってくれる人が居るから。ただそんな簡単な理由で断る事ができる。仲間内では一種の信頼関係の証として、錬命士や錬工士に武器や体の"調整"を頼むのが一般的らしいけど、断れるならそれこそ一番いい。

 

 お金でつながる関係であるからこそ、別れも簡単にできるだろうし、いつか信頼できて"調整"を任せられるような相手ができた時、別れればいい。

 

 すべての素材をはぎ取る頃には深夜近くになっていた。

 素材を運ぶ場所は錬金術師連盟協会事務所。長いので以後事務所でいいだろう。はこんな襲い時間でも空いていた。一回換金受付でお金を受け取ると共に、魔石は二人で別けた分の内自分の分は保管してもらった。

 

 121体分。締めて65万エスカ。ゴブリンだけでかなり稼いでるような気もするけど、調整や武器錬成などでかなりの額が飛んでいくらしい。

 一応事務所の人にきいてみたら。本格的な"調整"にかかる値段は500万エスカ程らしい。

 

 なんて話しを聞いて少しびっくりした。金額も金額ではあるんだけど、それよりもあの冷酷女。とんでもなく安い値段を提示してる。思っていたような守銭奴というのは違うみたい。なんのつもりなんだろう一体。


「今日の分、半分で30万ずつ、残りの5万は今日の授業、でいいか?」

「え?」

 何かおかしい事を言っただろうか? 妥当なんじゃないかって思ってるんだけど。

「足りないか?」

「いえ、普通錬武士の方が取り分が多いのが当たり前」

「折半って言っただろう?」

「言ったけど」


 多分、多めの取り分で。錬命士なんかは"調整"で大きく稼ぐって事なの……か?


「よく判らないけど受け取ってくれ。正当な報酬だし」

「そう、ならいいわ」


 少し、シズクが緊張してるのは気のせいだろうか?俺からお金を受け取ると。


「それで……明日からは?」


 こちらの目を見ないでどこか見ながら、やっぱり一緒に組みたくはないのだろう。まぁ、でも断られたら断られたでその時はその時か。


「明日からも頼みたい。一応目標は三階にいるバファロス。近日中に討伐して、それから一度家に戻りたい。少なくともそれまではつきあって欲しい」

「え……?」

「今言ったとおり」

 

 多分断ってくれると思ってたんだだろう。驚いた顔しやがって。けど甘いな。断るよりも断らせる方が楽かと思ったのかもしれないけど、シズクの条件はこっちにとっても有益なんだから。

 

 さぁどうする?


「……そう……分かった……じゃあ明日」

 

 あれ?

 思ったよりも素直に事が運んだ。

 もっと嫌そうな顔すると思ったのにな。


 

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