表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

エピソード8 戦え!!ギャンブラー

♪な〜ぜ〜だろう なぜだろう 心が燃え〜る〜 戦えと〜 戦えと〜 誰かが叫ぶ〜♪

終業時間が迫ってくるとこんな歌が頭の中をめぐる。

「お疲れ様で〜す。お先に失礼します。」

言い終わるか終わらないかで車に乗りこみ今日も仕事終わりはパチンコ店でリフレッシュ!


と、ここまで書くと奴の事かと思うだろうが、実はエイコのことである。

仕事はまじめにこなすし、人付き合いも良い方(飲み会のお誘いは断ったことが無い)しかし、まっすぐ家に帰れないところは奴と互角である。パチンコ店のネオンが、時々送られてくるパチ仲間のメールが彼女をそうさせているのか…とにかく無類のギャンブル好きである。

そう、つい先日までは。

奴と出会ってからはパチンコ店に行く理由が多少違ってきた。以前は仕事と家のオンオフの切り替え、リフレッシュ、そして勝負に勝つことが楽しみであったが、奴に会う事も楽しみの1つに加わった。

ほぼ確実に奴の居場所がわかるから。


(そういえば、今日も奴の捜索願が出てたな。)

なぜかは知らないが、昼頃に奴の同僚からエイコに奴の居場所がわかるかどうか問い合わせのメールが来ていたのだ。


(まったく、また仕事サボったな。あの2店舗のうちのどちらかにに居るに決まってるジャン。)

出会って半年もすれば単純な奴の行動パターンなどエイコにとっては予測は簡単だ。昨日閉店まで居たパチンコ台に決まってる。店と台の番号まで指定して返信した。どうやら当たっていたらしくお礼のメールがきていた。

仕事終わりに駆けつけたのもその店だ。


(今日は怒ってるんだから!顔を見たらなんて言ってやろう。)

前回の飲み会のおかげで、朝から美依子に叱られ、エイコは情けないやら悔しいやらで・・・。

怒っていた。


パチンコ店の駐車場に車を停めるとともに目指す台に向けて一直線!なのだが…。

一瞬足が止まった。

向かう先には満面の笑みを浮かべながら奴が居た。

そしてその足元には尋常とは思えないほどの大量に詰まれた千両箱とそれでも足りずに用意されていた金ダライいっぱいのコインの山だ。今どきコントにも出てこないような大きな金ダライにいっぱい…。ざっとお金に換算すると35万円〜40万円ほど。


あまりの光景に声を失った。

店内の客の視線を釘付けにしながら、なおも打ちつづけている奴。

エイコに気がつくと

「おう、来たんか。ちょっと代わって打ちよってくれ。ワシ電話してくるわ。会社からずっと電話が鳴りっぱなしなんよ。」

(・・・えーっつ!私が〜。)

答えるまもなく席を立ち、奴は電話をかけに行く。

店内の客の羨望と、ねたみの目が一斉にこちらに向く。この緊張感は痛みにも感じられるほどだ。

しかも、第一声から怒ると決めていたはずなのにそんな気も削がれてしまった。


「この後も出ると思うか?」

電話から帰ってきた奴が背後から声をかける。

「いつから打ってるの?」

「うーん朝からじゃけんのー、もう出んかなー。」

「じゃあ仕事は?」

「まだ会社にも行っとらんのよー。」

(はぁ〜・・・。)ため息しか出てこない。

「捜索願が出てたよ、どこに居るか知らないかって。」

「知っとるけど連チャン止まらんのでー、帰れるわけなかろー。」

朝から10時間、仕事もそっちのけで打っていたらしい。しかもまだやめる気は無いのだろう。

あきれるのと同時に何を言ってもダメなんだろうなぁ、と、敗北感すら味わったエイコであった。

別の日に改めて話をしよう・・・。


意気消沈、怒る事も出来ず、自分の勝負すらする気を失って、その日は帰ることに決めた。

結局その日は今までにない虚脱感を知ることとなる。


(奴のせいで私が叱られて・・・なのに奴は大勝してホクホク顔。納得できな〜い!!!)


エイコ心の叫びであった。





ほぼ1ヶ月ぶりの投稿です。女の子の名前が思いつかず、手詰まりです。AエイコB美依子C椎子と登場させましたが、Dはいくらなんでも・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ