第五話 ドアの向こうに
ドンドン
ドアを誰かが叩いている
きっと、何かの勧誘かなにかだろう。
出ないにこしたことは無い
アミールもまだ寝てるしな
「中央警兵だ!!」
なんだって、何故中央警兵が家に来たんだ
とりあえず、アミールを何処かに隠さないと。
「アミール、起きろ、何処かに隠れるんだ」
まだ、寝ぼけた様な顔をしている。
「どうして?」
「中央警兵が来た...」
アミールの顔がみるみる青ざめていった
きっと、恐怖の象徴に違いない。
「怖い。怖い」
普通じゃない、顔は、青ざめて息も荒い
「大丈夫。俺が絶対連れて行かせない」
「うん」
ガチャ
「俺が、カルミ・リチャードだ」
ここからが、正念場だ
「貴様に、ある容疑がかかっている」
やっぱりか
「どんな、容疑なんだ?」
「貴様が、イルートの女を家に匿っているというモノだ。」
顔に出すな。震えるな。
「そんな、根も葉もない噂で家まで来たっていうのか」
「噂じゃない、近隣住民何人かがそれを目撃している」
この、男は知っている。
「中を、捜索させてもらう」
下手に断ったら確実に怪しまれる
「もちろん、大丈夫だ」
「悪かったな、貴様は白だ。」
アミールは上手く隠れたんだな
「なんて、言うと思ったか?」
「やめて―――」
奥からアミール声が聞こえた
「貴様は、今日から規則違反の犯罪者だ」
「アミール。今いく」
「行かせるわけないだろう、貴様も連行する」
男の太い指が首にめり込んでくる。
「今、ここで殺してもいいんだぞ」
目の前がぼやけてくる
耳が遠くなってくる
あぁ、駄目だ
俺は弱い、一人の少女さえ守れない。
そう思った視界の片隅には
血まみれでナイフを握る少女が立っていた。