第四話 カルミとアミール
あれから僕らは色々な事を話した。
故郷の事
家族の事
その他もろもろ。
話しているうちに一つ解った事があった
彼女が自分となんら変わらない一人の人間だということだ。
「カルミの家族は?」
痛いところだ自分の中で一番聞かれたくない
事だった。
「いない。俺は一人だ」
厳密にいうと二年前までは祖父と暮らしていた。
「ごめんなさい」
「別に、気にしてないから」
「俺は、物心ついた時から祖父と暮らしていた。
両親の顔も知らないんだ」
そう。俺は両親の顔も名前も知らない。
「良かったら、一緒に住まないか?」
正直に言うと一人は寂しい。
「カルミは良いの?」
「どうせ、行くところもないんだろう?」
イルートの彼女を泊めてくれる所なんてたぶん無い。
「うん。.......行く」
たぶん。これで良いんだ。
僕はこの少女を守りたい。
運命や身分に殺されないように僕は....
「ここだ。」
「お世辞にも豪華とは言えないが二人で住むには十分だろう」
アミールの方を見ると
彼女は驚きにも戸惑いにもにた表情を浮かべていた。
「不満か?」
「私、こんなに豪華な家を見たことがありません」
そうだった。
イルート居住区には基本立ち入れないから
見たことは無いけれど、僕が想像するよりも
きっと、酷い家に住んでに違いない。
「そうか、でも、もうお前の家でもあるんだから遠慮するなよ」
「........うん」
これから先、たぶん僕は色々な問題に直面するだろう
もう、この家に住めなくなるかもしれない
でも、僕は自分の命に代えても彼女を守る。
この、腐った世界に負けないように。