第二話 この世界の決まり
今日見た悪夢を振り払うように少年は目的地に足を向けた
この世界は腐っている、人々は先の見えない現状を嘆き
その、不安や憂鬱をある特定の人達に向けて放出している。
「助けて.....」
さっき撃たれた女性の子供だと思われる少女がこっちを見ていた
普通の、いや、あんな狂った規則さえなければ
俺は、喜んでこの少女を助けるだろう
そもそも、母親も殺されずにこんな事にはなっていなかったに違いない。
少女の声が遠くなっていく
用事を済ませ家路に急ぐ途中にさっきの道を通ると
同じ場所に少女は蹲っていた。
しかし、服はボロボロで顔にはいくつものアザが出来ていた。
駄目だ
情に流されては、規則は絶対だそれは覆らない
悪いのは俺じゃない、この世界が悪いんだ。
自分の、正義を無理やり納得させるように
前を向いた。
ドン
「やめて」
「うるせー、お前に何しようがこの国では合法なんだよ」
違う
俺はこいつらなんかとは違う。
理不尽な正義にかこつけて弱者をいたぶるこいつらとは
「やめろよ」
「誰だてめーは、関係ねーだろ」
そう、関係ない。
世間一般からすればこの少女を助けようとしている
俺のほうがよっぽどづれている。
バン
殴られる中で、自分のしようとしたことの意味について
考えた。
目の前には、醜い顔で法を武器に弱者をいたぶる男
そして、理不尽な暴力にただ耐える事しかできない少女。
俺は間違ってない
狂っているのはこの世界だ。