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第一話 銃声の鳴る頃に
パン!!
乾いた銃声が閑静な住宅街の一角で響いた
この穏やかな風景には似ても似つかない音色が
家々に響いた。
「またか...」
静かに、それでも深く少年は呟いた。
銃声が響いた辺りに興味本位の野次馬達が群がった。
人々の顔は、「人が死んだ」という困惑は無く
どこか、これが当たり前だという顔をしていた。
死んだ女性の肩口には蒼いサソリの刺青がなされていた。
その刺青の意味は、この国ならどんなに幼い子供でも知っていた。
いつからだろう?
人の命がこんなに簡単に扱われるようになったのは
いつからだろう?
身分というただの飾りのようなモノが大きな意味を為すようになったのは
限りなく答えのない漠然な疑問に
少年は、頭を抱えた。
答えなど有って無いようなモノだ
少年はそう結論付けると考えるのを辞めた。