親子
国語のテストが65点の中学生が30分くらいで書いた適当な物語です。クオリティも相当低いと思われますが、死ぬほど暇な時にでも読んでみてください。
早朝の、青みがかった空気が窓から流れ込む部屋で私は目が覚めた。いや、寝れていたかもわかっていないのに目が覚めたという表現はおかしかったかもしれない。ふと隣を見ると、昨晩のことを覚えていないのかというくらいに清々しい寝顔をした彼女が眠っていた。きっと失望しただろうに、あんなに優しい言葉をかけてくれるとは思っていなかったので、不甲斐なさとやるせなさで涙を流したことは昨日の事のように思い出される。実際、昨日どころか数時間前のことなので忘れようにも忘れられないが。
今が何時かも分からずに昨晩のことを思い出していると、彼女の部屋に転がった避妊具箱のシルエットが見えた。開封されているのに使用された痕跡のないそれを見ると、再び涙が出てきた。悲し涙か悔し涙か、はたまたその両方が混じったものなのか。そんなことを考えていても仕方ないことは分かっている。
少々非情かもしれないが、横で眠る女神を起こさぬようにそっと布団から出た。事を成せなかったにも関わらず同じ布団に籠ってくれる人はそうそういないだろう。そんな彼女のために朝だけでも食事を用意しようと思ったのだ。もちろんそれで罪滅ぼしができるとは考えていない。大切な時に我が子を本気にさせることができない男でも、料理くらいはできる。
厨房に立ち、形だけでもそれらしいものを作ることに成功した私はそこでようやく「ある事」に気がついた。昨晩あれだけ元気のなかった我が子が、戦地に赴く軍人のように凛々しく、かつ欲望に満ちたようにそびえ立っていたのだ。この性に生まれてきた以上仕方ないと思う反面、やはりタイミングがタイミングなので憤りも多少あった。とはいえこんな所を彼女に見せてみろ。あれだけ優しくしてくれたとはいえ、怒りはぶつけずとも何か思うところはあるだろう。彼女のアラームがなるまで、十数分と言ったところか。早急に収めなければならない。
本能のままにトイレに入ったが、今は手元に白米だけがある状態。それに見合うオカズを探さねば。
焦りが募る中、我が子だけが血色の良い元気な姿でそこに居た。昨日のプレッシャーには潰されたのに、今の焦りでは潰される気配もない。その勇気を夜に見せてくれれば尊厳は守れたのに。そんなことを悔やんでも仕方ない。
こんな時でも現実とは非情である。スマホのバッテリーがゼロに等しい。この状況に陥った時、私は記憶の中にある自らのフォルダから画像を取り出し、ことを済ませる。今私のフォルダの中で使えそうな画像は、一つしかなかった。昨晩の、彼女の姿だった。しかし、それで済ませるという行為は紳士的とは言えない。別にこの行動を彼女本人や世間が知ることはないだろう。とはいえ昨晩満足させることができなかった女性に、自分だけ気持ちよくさせてもらおうとは自分勝手すぎる。
気がつくと、私の右手は激しく動いていた。その手が上下に動くたびに、息子は口を開閉し、痙攣に近い動きをする。自分の意思ではなかったと言えば嘘になるだろう。葛藤の中、私は紳士の道から外れる事を選択した。
トイレに入ってから何分が経っただろうか。トイレットペーパーには、昨日ピンク色のゴムの中に入っていたかもしれない生命の元が着いていた。さっきまで我が子や息子と呼んだそれは、ただの下半身に着いた筒と言わんばかりにぐったりとしていた。
このことは今後しばらく後悔し続けることになるかもしれない。そんなことは分かっている。ただ、事を終えたこの瞬間だけは、スイスの澄み切った空気よりも遥かに清々しい気分でいっぱいだった。
トイレを出た時、ちょうど彼女が起きていた。アラームはなっていない。彼女は私の顔を見るなり微笑み、「おはよう」とあいさつをしてきた。その表情の中に、昨日のことを恨む感情や哀れむ感情はなかった。ただ純粋に朝のあいさつをしてきたのだ。さっきまでの私ならそこで昨晩の事を謝罪し、涙を流していただろう。だが、今の私は自分がクズだと知っている。だから冷静に答えることができた。皮肉にも、下半身の筒によって最低限の尊厳を守ることに成功したのだ。
その日は朝食をふたりで取って、何事もなく別れた。
そして数日経った今も前と変わらぬ関係が続いている。彼女は私を慕ってくれているし、私も彼女のことを慕っているつもりだ。だからといって私が私を慕うことは決してできない。私の中でその日の事実は揺るがないのだから。そして今日もまた、未遂に終わった彼女との夜を思い出して我が子が起立をするのだ。
こんな低クオリティ作品を最後まで読んでいただきありがとうございます。これであなたも私の黒歴史の当事者のひとりです。おめでとうございます。




