表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されたので敗戦国へ追放されましたが、街を立て直していたら元婚約者が評価してきます  作者: 雫石アイナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/38

第19話「反動」

 翌朝。


 市場の空気は、明らかに変わっていた。


 昨日よりも人が多い。

 だが、それは期待ではない。


 ――圧力。


 私はその変化を、入口に立った瞬間に理解する。


 視線が違う。


 昨日は、疑いと興味。


 今日は。


 ――要求。


 私はそのまま中央へ進む。


 人の密度が高い。


 だが、道は空く。


 無意識に。


 それが、すでに変化の証拠だった。


「……来たぞ」


 小さな声。


 だが、連鎖する。


 私は止まらない。


 定位置に立つ。


 周囲を見渡す。


 昨日よりも、明確に“分かれている”。


 賛成と、反対。


 その境界が、見える。


「本日も、同様に実施する」


 私は告げる。


 説明は省く。


 昨日、すでに行っている。


 だが。


「待て」


 低い声。


 前に出てくる男。


 昨日とは違う。


 落ち着いている。


 だが、その目には明確な敵意。


「その前に話がある」


 私は頷く。


「聞く」


 男は一歩近づく。


「昨日の配分」


 周囲を見渡す。


「不公平だ」


 予想通り。


 私は答える。


「公平ではない」


 ざわめき。


 だが、私は続ける。


「意図的に、不公平にしている」


 空気が、止まる。


 男の目が、わずかに揺れる。


「……なんだと」


「全員に同じ量を配れば」


 私は言う。


「全員が不足する」


「だから、差をつける」


 男は黙る。


 理解はしている。


 だが。


 納得はしていない。


「それで、俺たちはどうなる」


 問い。


 核心。


 私は答える。


「選ばれるか、選ばれないかだ」


 ざわめきが強まる。


 怒りが混じる。


 だが。


 私は止めない。


「だが」


 一拍置く。


「昨日、選ばれなかった者は」


 視線を向ける。


 後方の列へ。


「本日、優先する」


 空気が、揺れる。


 完全な否定ではなくなる。


 だが。


「……信用できるか」


 別の声。


 私は答える。


「できない」


 即答。


 再び、空気が止まる。


「信用は不要だ」


 続ける。


「確認しろ」


「今日の結果を見て、判断しろ」


 静かに。


 だが、確実に。


 言葉を置く。


 沈黙。


 数秒。


 やがて。


「……いいだろう」


 最初の男が言う。


「だが、今日も同じなら」


「排除する」


 私は先に言う。


 男の言葉を遮る形で。


 そして。


「それで構わない」


 言い切る。


 男は、数秒私を見て。


 やがて。


「……やってみろ」


 下がる。


 道が開く。


 私は頷く。


「開始する」


 指示を出す。


 再び、列を作る。


 昨日よりも速い。


 混乱は減っている。


 だが。


 緊張は増している。


 それでいい。


 私は配分を開始する。


 第一列。


 昨日と同じ。


 だが。


 量を、わずかに調整する。


 余剰を作るために。


 第二列。


 ここで、変化を入れる。


 子供の中でも、さらに優先順位を分ける。


 状態。


 年齢。


 それを見て判断する。


 ざわめき。


 だが、止まらない。


 そして。


 第三列。


 昨日、得られなかった者。


 私はそこへ進む。


 視線が集まる。


 期待と、不安。


 私は配る。


 一人ずつ。


 確実に。


 そして。


 昨日よりも、多くの者に行き渡る。


 完全ではない。


 だが。


 明確な改善。


 やがて。


 物資が尽きる。


 だが。


 昨日とは違う。


 残った人数が、少ない。


 その差は、明確だ。


 沈黙。


 そして。


「……増えてる」


 小さな声。


 だが。


 それが、広がる。


「昨日より……」


「回ってる……」


 空気が変わる。


 完全ではない。


 だが。


 ――否定だけではなくなる。


 私はそれを確認する。


 十分だ。


「本日は以上」


 告げる。


 ざわめきはある。


 だが、昨日ほどではない。


 怒号も、少ない。


 代わりに。


 ――比較がある。


 昨日と、今日。


 その差。


 それが、評価になる。


 私はその場を離れる。


 背後の視線。


 それはもう、敵意だけではない。


 私は歩きながら、思考する。


 第一段階は、成功。


 だが。


 ここからが問題。


 この仕組みは、まだ不安定だ。


 供給が増えなければ、限界が来る。


 そして。


 それを止めようとする存在が、必ず動く。


 ――カイル。


 私は足を止める。


 振り返る。


 市場の奥。


 やはり、そこにいる。


 腕を組み。


 こちらを見ている。


 その目は。


 昨日とも、今日の朝とも違う。


 ――評価。


 そして。


 わずかな警戒。


 私はそれを受ける。


 そして、理解する。


 次は。


 ――あちらが動く。


 私は前を向く。


 歩き出す。


 次の局面へ。


 戦いは、まだ序盤だ。

読んでいただきありがとうございます。


ここで「反動」を乗り越えました。


完全な信頼ではありませんが、

“結果で納得させる”段階に入っています。


そして次は――

敵が本格的に動きます。


ここから一気に面白さが加速します。


続きが気になる方は、ぜひブックマークして追っていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ