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人形使いの付喪神  作者: 穂積
第二章
8/23

第八話 付喪神の冒険者

あらすじ

シラヌイへ向かう途中山小屋で寝付けなかったフィアは少女に声をかけられ魔法によって連れ去れてしまう

夜の森で少女が執事を唆したことを知ったフィアはその事を問い詰めるが少女は真の黒幕はフィアが人形であることを利用しイースマキナの国にいられなくした王族だと続けた

言い返せないフィアに少女は優しく手を差し伸べるが人を傷つける事が許せなかったフィアはその手を拒絶する。

決裂した瞬間、少女は三体の人形で襲い掛かってきたが寸前で護衛が到着しフィアは無事救出されたのだった。

ハイマツ地帯を抜け山を下り国境検問所まで護衛して貰ったフィアとクロエは男に礼を言うと検問所に向かった

『フィアは魔法人形のフリをお願いね』

検問所に入るとクロエは許可証を見せた

『確認しました、それでは持ち物検査をしますので荷物と武器をこちらに』

打ち合わせ通りにフィアは前に進んだ

『これは…時祭りのお土産ですか、いいですね』

フィアが前に進むと男は服のポケットを触り始めた

一通り確認するともう1人の男に合図を送った

『お荷物をお返ししますね』

男は荷物をクロエに渡すと歓迎の挨拶をした

『お帰りなさいませ』二人は九頭竜大陸へ足を踏み入れた


うきうきで検問所を出ると森が続いていたが

暫く歩いているとフィアが言った

『あまり…景色が変わりませんね』

『まだ国境だからね、中心に近づけば違いが見えてくるよ、でも先ずは駐在所に行くのが先だね』

道沿いを歩きながら駐在所に辿り着いた2人は別々の部屋に呼ばれ経緯を話した

……

………

クロエはフィアと出会った経緯を話していた

『クロエの言う通りフィアさんへの質問は最低限に止めるよう言っておいたわ、でも問題は…イースマキナから来たって事ね』

『助かるよ凛花』

『それじゃあフィアさんについて聞いていくからね』

凛花と呼ばれた警官はクロエにいくつか質問をすると

手に持った紙に記入していった。

『【付喪神】か…物を大事に扱わせる為のお年寄りの作り話かと思ったけど本当にいるのね』

『あたしは最初から信じていたけどね』

落ち着かない様子のクロエに凛花は苦笑いを浮かべながら言った

『クロエと一緒だったから良かったけど知らない人だったら仲間を疑われていたでしょうね』

『もういいでしょ?これで全部だよ』

『まーた大事な話なのに直ぐ終わらせようとする

せっかく見つけたパートナーなんだから大事にしなさいよ』

『なっなんでそこまで?!パートナーなんて一言も…』

『そりゃ元とは言え一緒に冒険していた仲だしね

クロエが話を直ぐ切り上げようとしている時は余程大事なことがあるってわかってるんだから』

なにも言い返せないクロエに友人は続けた

『厄介事や問題を起こしたら私達も対処しないといけないしその時は色眼鏡で見られるって事は先に言っておくわ』

(厄介毎か、フィアを襲ったって言う女の子が気になるけど)

『…わかってるよ』

『それならよしっ!私は冒険者を諦めちゃったけど…応援しているから頑張ってね』

『凛花は街のために残る道を選んだだけでしょ?…凛花も警察の仕事頑張ってね』

……

(帰郷し早々仲間に会うなんてね、緊張してたけど会ってみると全然変わってなかったな…)

『ありがとうございました!』

話が終わりフィアが部屋を出るとクロエが待っていた

『お疲れ様…』

溌剌はつらつとしたフィアに対しクロエは疲れ切っていた

『ちょっと不安でしたが話してみたら良い人達でしたね!』

『そっそうだね』

クロエは苦笑いを浮かべると頬を掻きながら答えた


警察署を出た二人は街に向かって道沿いを歩いていた

『先ずは冒険者登録の為にギルドに行かないとね、その後は泊まるための宿を探さないと』

『冒険者ですか?』

『こっちなら魔法人形でも登録出来るからね』

フィアは昨夜の少女を思い出した

(特異な存在か…あの子も何か特殊な能力を持っていたのでしょうか)

【特異な存在は誰かに利用され世間から悪と言われれば容易く見捨てられる!】

フィアは不安を振り払うように明るく振る舞った

『私も冒険者になれるんですね!楽しみです』

〜それから数時間後〜


『さっきからずっと森と田圃、畑の繰り返しですね…』

最初こそ珍しい木々や畑に興味を示していたが数時間歩き続け疲労と変わらない景色に飽きたフィアは俯きながら言った。

『顔を上げて!見えてきたよ九頭竜大陸の街シラヌイだよ』

クロエの言葉に顔を上げるとそこには

大きな橋が掛かっておりその先には幾つもの家々が並んでいた

『わぁー!凄いですっ!!』

『イースマキナとは違った良さがあるでしょう?』

『はい!あっあれはなんですか?!』

『船に乗って街を観光出来る船巡りだよ』

(凄く乗ってみたい…でも目的と1ミリも関係ないですよね)苦悶の表情を浮かべるフィアにクロエは言った

『今は目的もないしやる事終わったら乗ってみようか』

その言葉を聞きフィアはうきうきでギルドへ向かうのだった


ギルド【アステリア】

『冒険者の登録ですね、ではこちらの用紙に記入をお願いします』

『ありのまま書いて大丈夫だよ、わからない部分は空白のままで』

『あの…』クロエが受け付けになにかを耳打ちすると一瞬驚いたが直ぐに元の表情に戻った

記入を終えたフィアは生年月日、出身地などは空白のまま提出した

『あっありがとうございます、それではこちらへ…』

ギルドの中へ通されると受け付けの女性は服を脱ぐように言ってきた

(魔法人形かどうか知りたいって事だよね…自分から見せるのは初めてだから緊張しちゃうな)

服を脱ぐと女性は興奮気味に言った

『かっ確認致しました、もう服を着て大丈夫です。』

『すみません興奮してしまって…付喪神を見たの初めてだったので』

『大丈夫です、それよりもこれで冒険者になれるのですか?』

『次で最後ですよ、それではこの球に魔力を込めてください』

そこには青い大きな球があった、指示通り魔力を込めた

『…はい!お疲れ様でした、登録が出来次第お伝えしますのでロビーでお待ちください』

クロエの元へ戻ると紙を見ながらなにやら考えこんでいた

『その様子だと登録できたみたいだね』

『はい!クロエは何を見ているのですか?』

『これはね、【鉄火塚】に棲みついた魔物の掃討依頼だよ』

『てっかづか?』

ずっと昔にはね土地の所有権を巡って争ったりしたんだ、その戦いで亡くなった人達や敗者の無念を供養する為の慰霊碑がある場所なんだ』

(人形劇だと人々に灯りを与える優しい神様と眷族というイメージでしたがそんな過去もあったのですね)

『それでこの鉄火塚だけど遠い場所の依頼はやらない人が多いんだろうね、警察も村の警備で忙しいみたいだし…』

『私達でやりましょうか』

『その依頼、私も混ぜてくれないか?』

振り向くとそこには青色の髪色をし緑色の羽が生えた鳥人族ハルピュイアがいた

『いや』

(早っ)

『話を聞いた限り魔物が沢山いるんだろ?それなら私の修行に…』

『慰霊碑って言ったでしょ、修行感覚で暴れて破壊されたら困るのよ』

『ちゃんと力はセーブするからお願いっ!』

クロエは無視してカウンターへ向かった

『うぅ…2人で依頼を受けるつもりなのか?人形使いと剣士あと1人最低でもアタッカーは必要なんじゃ無いかな?無いかな?』

クロエが反論しようとした瞬間フィアの登録を担当していた女性が出てきた言った

『それはいいですね、フィアさんの冒険者登録が出来ましたので行ってみてはいかがでしょうか?初めての依頼ならレベル的には適正ですし…』

クロエはこの世の終わりの様な表情を浮かべていた


ギルドを出ると一緒に依頼をする事になったハルピュイアの少女にフィアとクロエは自己紹介をした

『それじゃあ改めて私は【ニーナ・ロリキュート】だ、よろしくな!』

『それで早速依頼に行くのか?』

『宿を見つけて荷物を預けたらね…』

『それなら私のところに来ればいいよ、丁度スペースが余ってるんだ』

『それは貴女達(鳥人族)がハンモックを使って寝るからでしょ』

(それでベットが2つも余ってるんですね)

『そういえば言ってなかったけど依頼を終えたら図書館で調べ物をするから、貴女とは一緒に行動はできないよ』

『それくらいなら私も一緒に…』

俯きながら言うニーナにクロエは言った

『でも…フィアの判断次第かな』

『私は一緒でも大丈夫ですよ!』

その言葉を聞くとニーナは駆け出し戦闘を歩き始めた

『よしっそれじゃあ先ずは宿に向かおうか!』

勇ましく言っていたが尾羽をパダパタと動かし喜ぶ姿はなんとも可愛らしかった


宿につき事情を話すと

特別に3人用の部屋に案内された

『やっぱり女将さん良い人だなぁ』

『いや、料金の計算が大変だから三人用の部屋にしただけだと思うよ』

フィアはバックから食べ物を取り出すと冷蔵庫に閉まった

『そういえばフィアは服を脱いでもいいんじゃない?登録も出来たんだし』

クロエの一言で思い出した

(そういえばニーナさんの一軒で忘れていましたがもう大丈夫なんですね…)

『うそ…っ』

服を脱ぐとニーナはまじまじ見つめた後フィアの身体を触り始めた

関節部分に羽が入りくすぐったい感覚に襲われ思わず身をよじりながら笑い声を上げた

『他の部屋の人に迷惑だからやめなさい』

クロエの一言でその場は治まった

フィアが装備を軽装に着替えると三人は依頼に向かった。

九頭龍大陸 炎の女神シラヌイを信仰する人族が多く生活している

アステリス最大の人口を誇り主神シラヌイの教えを大切にしており世界中で技術を広めようとしている

炎の魔法を得意とし他の大陸から取り寄せた鉱石を加工したり手先の器用さを利用した装飾品やガラス細工に陶芸品の生産を行っている。

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