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人形使いの付喪神  作者: 穂積
第一章
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第七話 シラヌイへ

無事に決闘を勝利へと導いたフィアは永い眠りから目を覚ますと

時祭り当日になっていた、ミハイルに腕を治して貰ったフィアはクロエの案内でシラヌイに向かうのであった

『…んっここは?』

フィアが目を開けると暗闇の中だった

手を動かそうとすると拘束されているのがわかった、

『目を覚ましたのですね、いま外しますね』

何かを操作する音が聞こえると目にかかっていた何かが外れたそこには第二王子のミハイルがいた。

『貴方は…ミハイルさん?』

『はい、控室で一度ご挨拶はしましたね

傷はどうでしょうか?普通に動かせますか』

フィアは左腕の事を思い出し見てみるとそこには魔改造されサイバネティックな腕が生えていた。

『まず助けて頂きありがとうございます…私はフィアと言います』

フィアは腕を見ながら言った

『あの…これは?』

『旅の安全を願い貴重な生物の素材を使った結果こうなりました、勿論お代は入りませんよ』

『…』フィアはジト目でジッと見つめた

『半分は好奇心ですがもう半分はちゃんと良い素材を込めましたよ』

『せめて願いの方を込めてほしかったです』

(でも…凄い力を感じます、自分の腕なのに自分の腕じゃないような不思議な感覚です)

『冗談です、でも貴女には本当に感謝しているのです

おかげで弟と本音で話すことが出来た』

真剣な顔で言うと直ぐに元の表情に戻った

『…そういえばルカさんは?!』

『ルカは祭りの警備をしていますよ、裏通りの人たちと協力して観光客が危険な場所に入り込まないようにしてくれています』

(ルカさん…良かったです)

『…それと、フィアさんの身体について調べましたが

イースマキナには同一機体はありませんでしたが素材の年数からして数百年前に誰かが個人で制作したのでしょう、厄災の眷属などでは無いので安心してください』

『…調べてくれたんですね、それを聞いて安心しました』

その時部屋のブザーが鳴った


『来ましたねフィアさんの荷物はあちらに纏めてありますので準備をして置いてください』

(この腕だとイースマキナにいる間はアームカバーは必須ですね)

フィアは装備を着ると人形とバレないように黒いフードを被りアームカバーを付けた

(人形は…宿でしょうか)

『クロエさんが迎えに来ているので行きましょうか』

(クロエ!なんだか久しぶりに会うようなきがします)

ミハイルの後ろを歩いているとガラス張りの窓から大量の魔法人形がつるされていた

『ここでは特別な魔法人形を作っているんです

私の【トラキア】など特殊な技能が必要な魔法を人形に詠唱させて戦闘をサポートしてもらおうと考えています』

『特殊な技能ですか?』

『決闘中に私の剣が姿を変えたのは見たと思いますが

あの魔法は人形使いにしか使えない強化魔法なのです』

ミハイルは扉の前で足をとめた『さぁ着きましたよ』

『ありがとうございましたっ!』

『こちらこそ』

(弟が奥義を会得出来たのは貴女との出会いによって決闘に勝機を見出し考えが変わったからでしょうね。)

ミハイルはお辞儀をすると施設の奥に戻っていった

扉を開けると夜空の下でクロエが待っていた


『おはよう、フィア』『クロエ!』

軽くはぐをするとクロエは手を取り歩き出した

『あれが時祭りだよ』高台から見下ろす時祭りは

見慣れた道が綺麗に装飾されいくつもの屋台やが並び

人々でごった返していた

『わぁー!!凄いですね』

『シラヌイに向かうなら準備は出来てるよ』

フィアは眼下の賑やかな景色から目を背けた

『…行きましょうか』

『それじゃあ離れ離れにならないようにしっかり手を繋いでてね!』

クロエは手を強く握ると人ごみに入った


翼を持つハルピュイアや魚の尾を持つセイレーン、獣の耳と尻尾を持つ獣人にクロエのような人族が観光に沢山きていた

あれが食べたい!西通りに行こうぜ!花火まで時間があるな

沢山のそんな会話が耳に入るたびにフィアの胸は苦しめられた

『着いたよ!』気が付くと城門前の大通りにいた

クロエは手を放し衛兵に許可証をみせた

フィアは振り向いて祭りの様子を名残惜しそうに見た後イースマキナの街を出た


城門を出たフィアは目の前にいる巨大な馬に驚いた

『これって銅像の…』

『よく知ってるねこれは移動用の【クアドリガ】って言う魔物なんだ、そしてフィアの言う通り昔は人を乗せて戦ってたみたいだね』

馬に目を輝かせているとバックを持ったリモンが近づいてきた

『前日祭お疲れ様でした、目を覚まされたんですね

フィアさんに人形とバックを届ける為に待っていたのです』

リモンに渡された人形を見ると一回り大きくなっていた

『前より重くなってる?』

『ええ…フィアさんの成長に合わせ強化しておきました

フィアさんなら直ぐに慣れますよ』

『ありがとうございます!』

フィアは両腕で人形を抱えるとクロエがバックを見て言った

『あっちゃんと買ってきてくれたんですね!』

『事情が事情ですから…しかし全ての店を回るのは流石に骨が折れましたよ』

『これは?』

『道中の山小屋で食べようかなってずっと寝てたからお腹空いてるでしょ?』

バックの中には食べ物やお菓子が入っていた

ここに来る途中屋台で見た物も中にはあった

『全部払ったの私なんですけどね』

『リモンさんありがとうございますっ!』

『教え子の門出ですからね…それでは私はもう行きますね

何か困ったことがあれば私に出来る範囲で協力しますよ』

フィアは深く頭を下げた

『本当に…色々ありがとうございました!私で出来ることがあれば何でも言ってください!』

『私は自分の仕事をしただけですよ』

リモンに別れの挨拶を済ませると馬を引いている男に挨拶をした

フィアはなんとか馬に乗ると出発した。

『よっよろしくお願いします』


出発して数分馬上にも段々慣れてきた頃、見た事もない大きな黒い鳥が夜空を飛び回っているのが見えた。

『クアドリガがいるから襲われないけど馬から降りたら狙われるから注意してね』

『このお馬さんが…凄いですね』軽く馬を撫でた

獲物を探すように旋回する鳥をフィアはじっと見つめていた

『ちなみにあの鳥は【オルニテス】っていうんだけど私よりも強いんだよ?』

フィアが驚いているとクロエは補足した

『私たちがダンジョンしか依頼を与えられないのは外で強い魔物に遭遇しないように配慮されているからなんだよ』

先頭で馬に乗っていた男が言った

『俺も昔は冒険者でね、中級者まで行ったけど諦めて故郷で護衛の仕事をやってるんだ、若いうちに冒険はしておけよ』

その後男の武勇伝を聞かされる事数分、塀に囲まれた村が見えてきた

『これから山道に入って揺れるから注意しな』

先頭を行く男がそう言うと返事をする間もなく揺れ始めた

『わっわわ!』揺れる馬上で一生懸命バランスをとるフィアをクロエが横から支えた

『ありがとう、クロエは随分と慣れていますね』

『何度か乗ったことがあるからね』

それから揺れに耐えながら数分、森の中を獣が付いてきていた

『ここら辺でクアドリガに手を出す馬鹿な魔物はいない筈なんだが…余程餌にありつけていないか…あるいは』

『誰かに命令をされて襲いに来たか』

クロエは弓を構えながら言った

『パルティアン・ショット』男の合図でクロエは弓を射ると獣たちは散り散りに逃げて行った

『お見事!昔なら嬢ちゃんは騎射に選ばれていただろうな

さぁー!着いたぞここで一泊して明日の早朝に出るから夜更かしするなよ?』


そこには二階建ての山小屋があった

中に入り案内に従い部屋に入るとベットだけの部屋だった

『お疲れ様とりあえず荷物はここにおいてご飯食べようか』

『でしたらリモンさんが買ってきてくれた屋台の料理を食べませんか?』

バックを開けお土産を見ていると袋に紙が貼ってあり数字が書いてあった

『それはねスロウが解除されるまでの時間なんだ

一気には食べきれないから長持ちするように魔法がかけてあるんだ』

『ありがたいですね…ではこれから食べましょうか』

バックから時間が過ぎている袋を取り出し中身を確認すると

香ばしい匂いが鼻孔をくすぐった

フィアはもう一つ袋を取りだした

『護衛の方にも渡してきますね!』

クロエが止める間もなく部屋を出て行ってしまった

(そこまでしなくてもいいのに…)苦笑いするクロエにフィアは嬉しそうに報告した『喜んでいましたよ!』

部屋に戻ってきたフィアとクロエは【ムサカ】と呼ばれる料理を堪能した


食後に身体を拭いて眠った

クロエの寝息が聞こえてきたところでフィアは部屋を出ることにした


足音を立てずに山小屋のエントランスまで行くと椅子に座り外を眺めた


月明かりに照らされた森を眺めていると少女が声を掛けて来た『お姉ちゃんも眠れないの?』

『子供がこんな時間まで起きてちゃダメだよ』

椅子から降りしゃがむと子供の目線に合わせた

『お姉ちゃんも子供じゃないの?』

図星を突かれたが子供を寝かせるために嘘をつきました

『20歳なんですけど… 人形使いの…ギルド?に通ってます』

お姉ちゃん…20歳じゃなくても人形使いにはなれるよ』

『え〜と、とにかく子供は寝なきゃダメですよ』

少女の手を握った瞬間足元が紫色に光り輝いた

『えっ?』気付いた時にはフィアは森の中にいた

『これは…転送魔法?』

『正解!あそこだと話し難いから連れてきちゃった』

『貴女は…一体』

『私はお姉ちゃんを助けにきたんだよ』

言葉の意味がわからず困惑した

『執事のおじさんはわかってくれたのに…』

『貴女が事件を引き起こしたのですか?!』

少女は首を振って答えた

『私は唯【乖の目】がどういう物かを教えただけだよ

あの目は善悪を区別する物じゃない…自分にとって利益がある存在が明るく映るだけだってね!』

なにも言い返せないフィアに少女は続けた

『まだわからない?イースマキナで前日際になんか出たら滞在できなくなるのはわかってた癖に決闘に魔法人形として出場する様に頼んだのは誰?』

『…』

『私達の様な特異な存在は誰かに利用され世間に悪と言われれば容易く見捨てられるっ!』

少女は手を差し伸べて言った

『…そんな世界から助けにきたんだよ』

『…お断りしますっ!どんな理由があっても人を傷付ける様な人とは一緒には行けません!』

『お姉ちゃんが周りの人を守っても周りの人は守ってくれないよ?』

少女は一瞬固まったが直ぐに笑顔に戻り人形を取り出して言った


『まぁ…いいか、家族にお姉ちゃんも欲しかったし』

『人形が3体?!』

『紹介するね私の家族のママとパパにお兄ちゃん』

少女が人形で攻撃をしようとすると目の前で爆発した

爆風に吹き飛ばされ目を開けると目の前に護衛の男がいた

『人攫いの少女だなんて世も末だね』

男は傍に刺してあったカードプールからカードを5枚引くと赤と青のカードを投げた

灼熱と水が入り乱れ霧が辺りを覆った

『山小屋に戻るから着いてきな』

男は手を引くとフィアを山小屋まで避難させた


『良かった!あの子が鳴いて知らせてくれたんだよ』

クロエの視線の先にはフィアが乗ってきた馬がいた

フィアはクアドリガを撫でながらお礼を言った

『ありがとね!』

『入り口の鍵も開いてないのに消えたから探すのに苦労したよ…あと、この事はシラヌイの警察に連絡しておいたからもうすぐ来るはずなんだが…』

『警察に?』

『ああ、マキナに逆戻りはイヤだろう?』

クロエは青い顔をしながら部屋に戻って行った

到着した警察にフィアは事の経緯を説明すると

後日シラヌイの警察署を尋ねる様に言われ解放された

フィアはようやく眠りについた。


ミハイル・シュトラウス LV30 マキナ族 職業:第二王子

ジョブ:剣士 武器:決闘用の剣 装備:決闘用の装備品一式

ステータス:HP750 STR:135(30) DEF:250(60)

INT:80(30) MEN:90(30) AGL:40(±0) LUK:10

イースマキナの第一王子

親からの愛情を受け育てられた彼は真っ直ぐに育つが

【乖の目】を持った弟が生まれたことにより民衆の期待の眼差しは兄から弟に変わることになる

侍女の目を盗み抜け出してきた弟の面倒を見ながらも第一王子としての役目を果たすために一日の時間の大半を学ぶことや剣士の稽古に費やすことになる。

青年期になると魔法人形に興味を持ち始め「万人が力を持てるように」と魔法人形の研究に没頭するようになった。

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