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人形使いの付喪神  作者: 穂積
第三章
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第十八話 リュールの目的

森を抜けたフィアとリュールは魔物に跨り荒れた大地を進んでいた

道中でフィアはこれから入る獣人族の国【オレイアス】について尋ねた

獣人族は縦社会であり下の者が上に意見する事は許されていないと、ただしこれは獣人族同士の話であり外から来た者には寛容だが、獣人族のルールに他者が口を出すのは御法度になっており

縦社会は強さで決まりその際にローグが役に立っていると。


街についたフィアとリュールは役所へ向かいに次の大陸への通行所や馬車の手配を済ました

その後リュールは夕飯と宿探しをフィアはローグを目指した

役所で貰った地図を元にローグギルドを探すがそこには飲食店しか無かった。

困惑するフィアだったが不意に引っ張られる感覚を覚え振り向くと人形を盗られていた

即座に人形をサイズアップし男を拘束し事情を聞くと

ローグギルドの練習の為にやったと言う男からギルドに入る為の暗号を聞き出す事に成功する

暗号はとあるメニューの名前であり注文をすると

そのままステーキが運ばれて来た為騙されたと思ったが

運んできたウェイターの正体がギルドマスターだった

名前はヨルダと名乗り気怠そうな藍色髪を肩まで伸ばした獣人族の女性だった

試験が開始され質問が連続で投げ掛けられた

なぜローグになりたいのか?

ローグになって何をしたいのか

『自由になる為に勝ちたい人がいる』

質問に素直に答えていくが、黒服の二人組、黒闇天の事を言うわけには行かず、試験は硬直していた

具体性が無い答えに悩むマスターだったが

正直に話さなければ不合格と言われ追い詰められるフィアだったが結局はギルドの人を危険に晒す事が出来ず

『答えられない』と告げる

仲間への思いやりや嘘をつかない姿勢が認められるたフィアは、マスターから合格を言い渡され、ローグの装備を受け取ったフィアはリュールとの待ち合わせ場所に向かい、宿へ向かうのだった


その頃シラヌイ城では王が家臣の報告を受けていた

シラヌイの洞窟で以前にフィアと戦った

夷隅真那いすみまなの事だった

異能を持ち各地で画策する者達に王はフィアを囮にする事で誘い出そうとするが現れる事はなかった。

王は不吉なる前兆を前に炎尾のえんびのつるぎの完成を急ぐのだった。

翌日、フィアはローグギルドで最初の指南を受けていた

『うーん…うーむ…』

唸りながら悩むギルドマスターのヨルダにフィアは聞いた

『ダメでしょうか?』

『ではこっちのほうを試してみて下さい』

渡されたのは25cm程のダガーだった

木の人形に数回突きを繰り出した

人形には部位ごとに番号が割り振られ床には白線が引いてあり距離を保った状態で急所を狙う修行の最中だった。

『うん!うん!初めてにしては上出来ですよ』

武器を握るのはクロエと出会いあの時、短剣を渡されて以来だった

『さぁどんどん行きますかー』

木の人形に数回突きを繰り出すやる気があるのか無いのかよくわからない感じでヨルダの修行は続いた

『次も基本戦術の一つシャドウウォークです、気配を消す技で…逃走にも奇襲にも使える便利な技ですが…』

ヨルダはフィアの目の前で消えて見せた

『耳が良い魔物や嗅覚が鋭い相手には練度が足りないと気付かれちゃいますよ』

ヨルダはフィアの背後から言った

『先ずは身体の周りに薄い膜を纏うイメージであそこを歩いてみよう』

言われるがまま身体に魔法纏うとヨルダの指定した砂利の道をゆっくり歩いた

ジャリ!!めちゃくちゃ五月蝿い音が鳴った

『…膜を纏うっていのは鎧などではなく羽や柔らかいものをイメージした方が良いかもね』

『はっはい!』

……

その頃リュールは街を散策していた

情報収集もほどぼどにふと彼女の目に止まったのは大きな植物園だった

『植物園もあるのですね』

入場料を払い中に入るとそこは魔鉱石を使い植物が育つ環境を作り出していた

『人工的に作られた場所でも花たちは変わらず良い香りを漂わせるんですね』

花の香りに癒されながら薔薇のガーデンアーチをくぐり庭園を進んでいった

真ん中には噴水があり道沿いには緑色の多肉植物や藤色の花々が咲き誇っていた

『これは…ユッカにヒルザキツキミソウですか、昼に咲く月見草の仲間ですね、種は美容液オイルにも使われて…』

リュールは寂しそうに目を伏せた

(出来ればフィアさんと一緒に見たかったですね、きっと楽しそうに聞いて…でも私にそんな権利があるのでしょうか)

進み続けると白の壁に黒い屋根、枯山水に灯籠、小さなスペースだったが普段自分達が見ている花園とは違った美しさがそこにはあった。

『綺麗ですね、これがフィアさんが言っていたシラヌイの景色でしょうか』

暫く眺めた後リュールは先を進み始めた

(…私には一緒に旅を楽しむ権利はないですね

私の目的はフィアさんから情報を探ることなのですから)

……

時は昨夜まで戻る

フィアがアールヴヘイムの宿で真那と話した夜

ティターニアはフィアの部屋に不穏な気配を感じ取ったが

そこには誰もいなかった。

その話は精霊使いのギルドマスターへ告げられ

ギルドマスターであるリリーベルはリュールを呼び出した

『シラヌイに表れた異能を持つ少女の話とアールヴヘイムでニーズヘックの眷属が結界を抜け出してきたのは偶然ではありません』

『昨夜フィアさんの部屋に何者かが現れティターニア様が様子を見られた際は既に居なかったと…』

『狙いは同じ異能を持ったフィアさんの筈…ですが本人の口からは話を聞けていません、そこでフィアさんと親い貴女には旅に同行し怪しい者がいないか探ってきて貰いたいのです。』

『森の恩人を疑うのは気が引けますが、あの方が何かを隠しているのも事実…引き受けてくれますか?』

あくまでも任意の依頼だったが…リュールは沈黙の後に答えた

『…承知しました』

……

リュールは庭園を進み奥の部屋にある巨大な花を眺めていた

(私は…世界樹や皆の為なら命もいといません、それはパパもママも同じでしたから…でもこれでいいのでしょうか)

『案外あっさり話してくれたりしないでしょうか?そしたらシラヌイまでの旅を…いや、ダメですね』

リュールは甘い考えを振り払い状況を整理した

(この街で騒動が起きたって話は聞けませんでした、それならこれから奴等が動く可能性もある筈…)

(相手が接触してきた所を聞けばフィアさんも話してくれる筈です)

リュールがその場を離れようとすると精霊がリュールの前に降りたった

『戻りましたか、捜査ありがとうございます、それでどうでしたか?』

精霊は身体を左右に動かした

『そうですか、樽の底には怪しい者はいませんでしたか』

(隠れるなら貧民街と考えていましたが…ギルドも警戒はしているそうですが不安ですね。)

植物園から出ると日は傾き夕焼けが街を照らしていた

『もうこんな時間ですか…フィアさんはもう戻っているのでしょうか』

……

場所は移りローグギルド

『はぁ…はぁ…』

フィアはブロードソードを持ったヨルダと向かい合っていた

ヨルダの攻撃をダガーで受け流すと逆手持ちに切り替え

腕に刃を当てがった

『…うん、まぁ合格かな』

それを聞いたフィアはその場にへたり込んだ

『今日中に鍵開と最低限の戦闘術を習得できましたね』

『それではっ!』

フィアは顔を上げてヨルダを期待の眼差しで見つめた

『ダンジョンへの入場許可を出しましょう』

『やりました!でも何で入場許可が必要なのですか?』

『それはフィアさんが1番理解しているのでは?今まで戦ってきた敵と短剣で同じ様に戦えますか?』

…人形を使い距離を置いたり、囮に使い不意打ちをしかけたりしていたがローグでは難しい事を理解した

『そんな貴女にこれを…』

ヨルダはローグの教本をフィアに渡した

『ありがとうございます!』

『出来ればその本だけで成長してくれると助かります』

気怠そうに言うヨルダにフィアは苦笑いした

『とりあえずは出発までには間に合って良かった』

練習場を出てお店から出るとヨルダは思いっきり伸びした

『ん…っはぁ…何にローグの技を使うのかわかりませんが、勝利を奪える事を願ってますよ』

『はいっ!』

フィアは宿へ向かった

『先に戻っていたんですね!あっ良い匂いがしますっ!』

リュールは食事の準備を進めていた

『お帰りなさい、観光ガイドに載っていた屋台料理でブリトーと言うらしいです』

シャワーを浴び服を着替えると卓についた

2人は食事を楽しむと明日の予定について話した

『明日の早朝に向かうのですが次の大陸は人魚族の大陸【ジェネローザ】です』

『巡回船で寄られた際に時々お会いしますが気さくで良い方達ですよ』

『それは…どんな街なのか楽しみですね』

フィアは窓から夜の街を眺めた

(間接的にとは言え私を助けてくれたんですよね…もし出会えれば…お礼を…ん?)

フィア街灯の下に何かがいた、もぞもぞと動いて何かをしていた

じっと見ていると何かと目が合っている事に気が付いた

慌てて窓から顔を離すとリュールが心配していた

『どうかしましたか?』

フィアは今見たものを話すと街灯の下にいた者は消えていた

『…まさか』

リュールは弓を掴むと窓を開け飛び降りた

空中で矢を構え放った

緑色のオーラを纏った矢は街灯のあった場所を曲がり民家の間に入っていった

リュールを追いかける形でついて行くと

そこには獣人族の男が倒れていた

その獣人族はフィアにローグギルドの合言葉を教えてくれた男だった

『大丈夫で…』

直ぐに駆け寄ろうとしたがローグになった事で今のフィアには倒れた男の傍に誰かがいる事に気が付いた

影は男の首に黒いダガーを当てがっていた

『や、やめて下さいッ!』

フィアは反射的に魔法を数発放つと影は後ろへ飛び退いた

『普通、今の状況で攻撃するかね』

薄ら笑いを浮かべていたが声で男だと分かった

街道に照らされたその姿は真紅の立髪たてがみの獣人族の老人だった

(この人は…まずいっ!)

『…はぁ、一体どうしたものか…』

男はめんどくさそうに言ったがその手にはダガーが握られたままだった

(あの黒いダガーは一体…)『フィアさんっ!』

老人はダガーを上に放り投げた後

一気に間合いを積めフィアの腹部に両手突きを放った

吹き飛ばされたフィアは民家の壁に突っ込んだ

(防御魔法はかけましたが…無事でいて下さい)

リュールは短剣を構えたが男は下卑た笑みを浮かべていった

『吟遊詩人が本職アサシンに短剣で挑む気か?』

『…っ!』

リュールは老人の猛攻をなんとか交わしていた

精霊は短剣から飛び出すと老人の背後で上下に動いていた

(…わかりました!)

リュールが飛び上がった瞬間

老人の顔面に巨大な岩が投げつけられ吹き飛ばされた

フィアがぶつかって民家の獣人族の男が怒って出て来たのだった

その隙にリュールはフィアを回復し老人を警戒した

その時、倒れていた男を囲む様に制服を着た獣人族の警官がいきなり降りたった

リュールは今のうちに退こうとしたが

突然の襲来にフィアは整理が追いつかず動けずにいた

『フィアさんっ!しっかりして下さい!』

リュールは倒れている男を担ぎ上げると困惑するフィアの手を握りしめその場を離れた

『ははっ!随分と久しぶりだなぁ!元気だったか?』

警官は男の言葉を無視し仲間に指示をだした

『何があっても陣形を崩すなよ』

『相変わらずつれねえなぁ、まあいいか』

老人は牙を剥き出しにして言った

『さぁ楽しもうか!』

背後からは老人の笑い声が聞こえてきていた

ぶつかり合う衝突音やガラスの割れる音、建物が破壊され轟音が鳴り響いていた

……

3人は離れて位置から戦いを見守っていた

『あ…あの人は一体』

赫灼かくしゃくのヴィクター…何十年も前の犯罪者です』

『何十年も?』

『はい、他国で問題を起こし奈落の底へ送られた筈です』

話しているとそこに2人の警察が訪れた

『どうやら怪我はない様ですね、話を聞きたいので後日署に来てくれますか?』

『わかりました』 『協力感謝します』

『あの人はどうなったのですか?』

『なんとか取り押さえ今は大人しくしていますよ』

『それでは、これで』

警察官は帽子を軽く触りながら頭を下げた

倒れていた男は救助されフィアとリュールは明日に備え宿で眠る事にした。

12月17日最後を少しだけ訂正しました。

リュール エルフ族 ジョブ:精霊使い(ヒーラー) 職業:ギルド員

LV:40

HP:380 STA:100 DEF:80 INT:100 MEN:350 AGL:100

ギルドでは入国者と妖精との交渉を代わりに行っている、他に森では対処出来ない魔物が現れた際に討伐や掃討を行ったり

定期的に択伐たくばつ※を行い木々の間の風通しを良くしカビや病気の蔓延を事前に防いでいる

※木を選んで計画的に伐採していく事

その際に妖精や精霊達に新居の紹介や交渉もギルドの仕事となっている

伐採した木は他国へそのまま販売したり加工して遊具にしたり人形造りなど様々な用途に使われる

世界樹の幹の半分は下層でありそれ以上の幹や樹冠じゅかん護人もりびと専用の区画になっている。



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