山本編 山本の過去
この小説では、作品の都合上、性的マイノリティのことを意味する差別用語を含みます。
警察関係者ではないため、捜査の段取りは実際と異なる可能性があります。
山本瑛人。家の最寄駅から2度乗り換えた先の高校に通っている高校一年生だ。
山本には、誰にも言えない悩みがある。それは、山本がゲイであるということだ。正確には、山本の親友、原田雄也と、山本の彼氏、岡山蓮は知っている。
岡山は山本の中学の時の同級生で、山本と同じくゲイである。
さて、今日はデートだ。
二人は街へ出る。
映画館の暗闇で、岡山は山本の手をぎゅっと握り、恋人繋ぎをした。
山本の顔は赤く色づく。
そんな熱々のカップルだった。
山本は東京のとある大学へ進学した。一方岡山は地元の専門学校へ。
その頃二人はケンカして別れた。
大学進学後、山本は新たに彼氏ができた。
それと同時に、山本の大学の人にゲイバレした。幸い、誰も山本を悪く言わなかったが、山本はこれ以上隠し通すことはできないと思った。
大学2年生の春休み、山本は実家に帰った。帰省として、そして家族にゲイだと打ち明けるため。
誰に言うか、当然大人だろう。
母か父か。母はどうやら考え方が古いようだ。父の方がまだ現代に近い考え方をしている。ならまだ父に先に言う方がいいだろう。
早朝、父に打ち明けた。結果は散々。
「俺らはお前をこんなホモ野郎に育てた覚えはない!オカマは村から出てけ!出て行かないなら病院にでも行け!」
「ゲイは治せるものでもないし生き方の一つだって!」
「知らん!お前は俺らの子じゃない!」
山本は勢いで外へ飛び出した。