聖女に絡まれましたが、ルードが8年前から私がルードの婚約者だとみんなの前でばらしてくれました
ちょっと、この聖女、みんなに秘密にしていたことを何故、大声で言ってくれるのよ!
私は切れそうになった。
「本当に信じられませんわ」
「ルード様には相等しい聖女様がここにいらっしゃいますのに!」
「婚約者候補の聖女様をさしおいて、属国の男爵令嬢風情が何をしていますの!」
「本当に浅ましいですわ」
取り巻きの令嬢達がいろいろ言ってくれるけど、取り巻きの令嬢達は聖女と一緒のAクラスの面々では無くて、今日はCクラスとDクラスの面々だ。
と言うことは取り巻き達も男爵家か平民では無いの?
と私は思ってしまった。
「ちょっと、あなた達、学園では親の身分をつべこべ言うのは禁句だということを知らないの?」
半分切れてヘレナが言ってくれた。
「それは建前でしょ」
一人の女が叫ぶが。
「建前じゃ無いわよ。ルード様が知ったら激怒するわよ」
ヘレナが言い返した。
「それに、あなたが建前って言うなら、クラウは男爵じゃなくて伯爵よ。それも伯爵様ご本人だからね。男爵家の令嬢に過ぎないあなたが話していいことではないわね」
ポピーが言ってくれた。
「えっ、そうなの?」
取り巻き達は驚いたが、
「親戚のライゼマン公爵家の力を使って強引にカッセル国王から爵位を分どったて聞いたわ。可哀相に取られたハイデック伯爵様があなたのせいで路頭に迷われたそうよ」
聖女はハイデック伯爵に同情的に言うけれど……
そうなんだ。隣の領地のハイデック伯爵は伯爵位を取り上げられたんだ。
でも、元々ハイデック領の大半はオイシュタット家の領地だったって言うし、継母の出身地だから別に私はなんとも思わないんだけれど。
継母にも散々ハイデック伯爵家から仕方なしにこのオイシュタット家に来てやったって言われてたし。
「もともとクラウのオイシュタット家はカッセルの名門伯爵家なんだから、あなたの養子に入ったモントラン伯爵家に比べても帝国では知られているわよ」
さらりとポピーが言ってくれるんだけど、私はひなびた男爵家のオイシュタット家しか知らないからよく判らなかった。
「何ですって、あなた、聖女様になんて事を言うの!」
「そうよ。聖女様よりもこの女の方が偉いって言うの?」
取り巻き達が激高しているんだけど。
「別に偉いとか何も言っていないわよ。貴方たちがクラウのオイシュタット家をけなしているから教えてあげただけよ。と言うか、今日はA組の面々が一人もいないんだけど、貴方たちはライゼマン公爵家に喧嘩売っても良い訳ね」
ポピーが呆れて言ってくれた。
「何故ライゼマン公爵家が出てくるのよ」
「この子に関係ないでしょ」
「貴方たち何も知らないの? クラウのおばあさまはライゼマン公爵家出身なのよ。現当主様はクラウの大伯父様に当たられるわ」
「「「えっ?」」」
取り巻き達が固まってしまった。
「ふんっ、貴方たち何を驚いているのよ。この子の祖母って現皇帝陛下と婚約していたにもかかわらず、そのオイシュタット伯爵と駆け落ちした女なのよ。ライゼマン公爵家から勘当されたって聞いたわ」
「なんだ」
「そうなんですか」
「じゃあ、ライゼマン公爵家は何も関係無いのね」
取り巻き達が聖女の声に安心して言う。
「クラウ、こんなこと聖女が言っているけど、ほっておいていいの?」
ここでヘレナが振ってくれたんだけど、ここで振る?
「えっ?」
「全て言ってやったら」
ポピーまで言ってくれるんだけど。
「大伯父様には先週お会いして、勘当した事実は無いって言われたわ」
私は仕方なく答えた。
「えっ、そんなことは無いはずです。記録では」
「記録は無いことにすると言われたのです」
聖女に私は反論した。
「何を言っているの?そんなことを陛下がお許しになるはずは無いわ」
聖女がしつこく言うんだけど、私もいい加減、嫌になってつい言ってしまったのだ。
「でも、皇帝陛下にも先日お会いして、我が祖母に含むところは一切無いとおっしゃられました」
「はい? 何を言っているのよ? あなたなんか辺境の男爵家の娘が陛下になんかお会いできるわけ無いでしょ。私でも一回しかお会いしたこと無いのに」
聖女が馬鹿にして言う。
「何ですって! あなたが両陛下にお会いしたというの」
後ろから側にいなかった侯爵令嬢のラーラまで出てきたんだけど……
「そんなのあり得ないわ」
「そうよ。いい加減な嘘を言うのはやめなさいよ」
取り巻き含めて激高しているんだけど。
やはり陛下の話するんじゃ無かった。
どうしよう、こいつら?
私が呆然としたときだ。
「何を騒いでいるんだ」
そこにルードが現れた。
「ルード様。この女が陛下に会ったことがあると嘘をつくのです」
聖女が喜々として報告してくれた。
「さすがにカッセル王国の令嬢に過ぎないクラウディアさんが陛下にお会いされるなんてあり得ませんわ」
ラーラまで言ってくれた。
「何を言っているんだ。この際だ。はっきり言っておこう。クラウディア・オイシュタットは私の婚約者だ」
「「「ええええ!」」」
「嘘!」
悲鳴が食堂中に響いた。
「えっ、そんな」
ラーラは全然聞いていなかったみたいだ。
「何をおっしゃっていらっしゃるんです。ルード様。教会はそんなことは認めまてませんわ。大司教様も絶対に反対するとおっしゃっていらっしゃいました」
聖女が必死に言い募った。
そういえば聖女はエルザ様が私とルードの婚約を宣言したときにその場にいたんだ。
「教会が認めようが認めまいが関係無い。既に8年前からクラウは私の婚約者になっているんだ」
「えっ」
聖女はルードの宣言に完全に固まってしまったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
さて8年前から既に婚約者だとばらされたクラウの運命やいかに
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果たして、お義兄様の想いはエリーゼに通用するのか?
山場です。
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。【シーモア限定特典付き】』
二万字超の新規書下ろし、エリーゼとお義兄様の学園の幽霊竜退治のお話付きです。
シーモア限定SSはエリーゼの護衛騎士セドリックのお話です。
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10センチ下にはその表紙絵と各リンク張ってます
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