表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/115

皇族の方々と食事した後に、部屋に案内してくれたルードにほおにキスされてしまいました

結局、そのまま、私は皇帝夫妻と皇太子夫妻、そして、ルードと一緒に食事までごちそうになってしまったのだ。

私としては絶対に遠慮したかったのに……

「まあ、明日は休みだから良かろう」

陛下がおっしゃって

「そうよ、クラウちゃん。皇宮の料理長は天下一の腕前なのよ。この前はアデライドがいて、ご飯の味が判らなかったんでしょ。今日は煩い礼儀作法の先生もいないから、目一杯味わえるわよ」

エルザ様が言ってくれたんだけど、私は雲の上の人ばかりで緊張して、味わって食べられるかどうか判らなかった。


「なんじゃ、相変わらずアデライドはいろいろ口うるさいのか?」

私に向かって陛下が聞いてこられるんだけど、そんなの口が裂けてもハイとは言えない。

「いえ、それほどでも」

「お義父様。そんなのクラウちゃんに聞いてもちゃんと答えられるわけ無いでしょう。毎日みっしりと教育されているみたいですよ」

エルザ様はばらさなくてもいいことをばらしてくれた。


「まあ、大変ね。私もアデライド先生のお母様にはしごかれたわ」

皇后様にそう教えて頂いて私は皇后様にとても親近感を持った。


「今年の魔物討伐訓練はとんでもない魔物が出たそうじゃな」

「はい。一つ目の巨人とゴブリンの大群に襲われました」

私が答えると

「そんなにか。よく無事じゃったな」

「コンスタンツェが退治してくれたんです」

「ああ、あのピザン公爵家の孫か。ルードがいつもコテンパンにやられていた女の子だろう」

「えっ、そうなんですか」

それは初耳だ。

「おじいさま。余計なことをクラウの前で言わないでください」

ルードがむっとして文句を言った。

「変ね。そんな怪物がでるなんて、普通は皇族がいる時は騎士団が必死に討伐した後にいくので、たいした獲物がいないはずなのに」

「そのピザンの孫が魔物が出ないので、もう少し先に行こうと言い出したのでは無いのか」

皇帝陛下は鋭い。


「いえ、私が水魔術をぶっ放したら、そこに一つ目の巨人がいただけで」

「なんと、エデルガルトの孫がやったのか。血は争えんの」

陛下がおっしゃった。


「おばあさまも何かしでかしたんですか?」

陛下におばあさまのことを話せる日が来るとは思ってもいなかった。


「エデルガルトとオイシュタットがこれでは全然訓練にならないから、もう少し先に行こうと言い出しての」

「何をおっしゃているのよ。あなたが言い出したんでしょう。それにオイシュタットさんとエデルガルト様が乗られたのよ」

「まあ、そうじゃったかの?」

「そうよ。おかげで帰ってくるのが2時間くらい遅れてアデライドのお母様に散々怒られて大変だったわ」

うんざりしたように皇后様がおっしゃられた。

我が祖父母も、陛下も楽しい学園生活を送っておられたらしい。


結局、緊張していた私も祖父母の話題と皇太子夫妻が教えてくれた母親の話題で結構話が盛り上がって、信じられないことに私はいつの間にかその話の輪の中に入っていた。

というか、祖父母と母親がこんなに皇族の方々と親しかったなんて知らなかった。



「クラウちゃん。せっかく来たんだから皇太子宮に寄っていきなさい」

「えっ、でもエルザ様。それはさすがに」

私は必死に遠慮しようとしたのだ。

「そうだよ。母上。クラウにも心の準備がいるだろう」

ルードも私を援護してくれた。

「何が心の準備よ。心の準備はがいるのはクラウちゃんじゃ無くてルードの方じゃないの?」

「な、何故俺に必要なんです」

「だってあなた、まだ、クラウちゃんに自分の気持ち打ち明けていないんでしょ」

何か二人で話しているけれど、ごそごそ言っていてよく聞こえなかった。

ルードの心の準備ってどんなことなんだろう?


「どのみち明日から2日間は学園も休みだから、滞在すればいいわ」

「でも、エルザ様。私、服も持ってきていませんし」

「何言っているのよ。この前公爵邸で作ったでしょ。一部はこちらに置いているからそのまま使えばいいわ」

私はそのままなし崩し的に皇太子宮に連れてこられたのだ。


「じゃあ、クラウちゃん。また明日ね。部屋にはルードに送らせるから」

エルザ様はそう言って皇太子殿下と去って行かれるんだけど、


「ルード、クラウちゃんに変なことしたらだめよ」

「するわけないでしょ」

エルザ様の声に怒ってルードが否定していたけど。


残された私たちの間に沈黙が支配した。


「はい」

ルードが手を差し出してきた。


「えっ」

私が思わず聞くと

「案内するから」

そう言われて私はルードに手を差し出した。


「申し訳ない。いきなりこんなことになって」

ルードが謝ってきた。

「本当に。なんでこうなっているのか未だによく判らないんだけど」

私がむっとして言うと

「俺としては徐々に話していくつもりだったんだが、なんか状況がどんどん切羽詰まってきたというか母親が暴走したというか」

ルードはまだ考えがまとまっていないみたいだ。

私の方が全然まとまっていないんだけど。

いきなり皇子の婚約者だって陛下から言われた身になってほしい。


部屋の前についた時だ。

「頭の中がまだ理解していないと思うけれど、ゆっくり理解してくれ」

「理解してくれって言われても」

私がむっとしてルードを見たが、

「そんなにおれと婚約していたのが嫌か」

なんかむっとしてルードが私を見てきた。

「いや、そういう意味じゃ無くて、あの、それもう決定事項なの?」

私が恐る恐る聞いてみた。

「ああ、両親と祖父母の中では8年前から決定事項だ」

「そんな」

私は絶句してしまった。

というかまだその件に全く納得していなかった。


「ご免、クラウ。とりあえず、少し考えてくれ。俺は絶対にクラウを守るから」

「判った。少し考えてみる」

私はとりあえず、そう言うしかなかった。

「そうか、ありがとう」

喜んでルードが言ってきたけど、考えるだけだからねと私はそう言おうとしたのだ。

でも、その前に、ルードがぎゅっと抱きしめてきて、ほっぺにキスしてきたのだ。


私は真っ赤になってそのまま固まってしまったのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございます

さらに混乱するクラウ。

続きは明日です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

次のお話はこちら

『婚約破棄されたので下剋上することにしました』https://ncode.syosetu.com/n0747ju/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】

https://www.cmoa.jp/title/1101429725/

■【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://ncode.syosetu.com/n6878ix/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ