私を貶めようとした聖女に友人が反撃してくれました
結局、夜中に襲われて、先生らから聴取されたりして、その夜は寝れなかった。
本当に怖かったし。
おなかがいっぱいになって、部屋に返されても恐怖がよみがえってきたのだ。
そのまま、六時まで起きていて、速攻でヘレナを起こしに行った。
そして、コンスらと食堂に行ったのだ。
「クラウ、大丈夫だったの?」
「有難う」
「なんかあったら言えよ」
「うん」
食堂であったクラスメートたちは皆、私には優しかった。
「でも、クラウを襲うなんてどういうことだろう?」
「また、教会からみかもな」
コンスが言ってくれたけど、別に私は教会に逆らおうなんて思ってもいないのに……何でだろう?
私にはよく判らなかった。
「何で私が教会に襲われないといけないの?」
私が聞くと
「聖女がらみだろう」
「ああ、あのよく突っかかってくるいけ好かない聖女ね、でも何で?」
私が聞くとみんなが私を見て、
「そんなのルードがらみに決まっているだろ」
「そうよ。あの聖女必死にルード様にアプローチしているけれど、ルード様に全く相手にされていないから」
コンスとヘレナが教えてくれたんだけど、
「でも、それで何故、私を襲わせるの?」
「クラウがルードと親しいからよ」
「ええええ?」
私にはよく判らなかった。
ゲームを良く知っているヘレナが言うのならば判るけれど、コンスやポピーがそういう意味がわからなかった。
ルードは私ができない子ちゃんだから、連れてきた手前、このままの成績ではエルザ様に怒られるから勉強教えてくれているだけなのに……
「はああああ?」
「何でそう思うのかな」
「本当にクラウって鈍いわよね」
私の意見は三人に馬鹿にされて終わったんだけど、なんで?
「まあ、何にせよ、あの聖女は危険だ。学園にいる間は私か、ルードから離れないように」
コンスに注意された。
まあ、私としてもそのつもりだったけれど。
授業の始まる前に寮監に呼ばれて、犯人が捕まったと教えてもらった。
私を襲ってきたのはA組のゲルト伯爵令息だった。
その名前を言われてももう一つピンとこない。コンスによるといつも聖女と一緒にいた男だそうだ。
先生によるとゲルト自身、何故、私を襲ったか、よく判っていないそうだ。
何でも、気づいたら女子寮の廊下で水浸しになっていたんだとか。
私の悲鳴を聞いて逃げ出したけれど、入り口で寮監に咎められて、朝方付き添われて出頭してきた。
それは何なのよ!
人にナイフを向けておいて、何故そうしたか判らないって?
どういう事?
「どう思う?」
昼食の時に私はみんなに聞いていた。
「さあ、クラウはかわいいから夜這いしに来たんじゃないか」
コンスが言ってくれた。
「コンス夜這いって」
私はさすがに絶句した。
「私は別にかわいくなんかないわよ」
「クラウ、女の私が見てもあなたは十分にかわいいわよ」
ポピーが言ってくれるんだけど……それは友達の欲目だと思う。
「でも、記憶がないって言っているのよね」
「そんなの嘘でしょう」
「そうだよな。まあ、催眠魔術とかはあるかもしれないが、そんなのできるのは余程魔力の大きいものだぞ。例えば聖女くらい……」
コンスが言っているときだ。
「おそらく、あの女は体を使ってゲルトを部屋に引きずり込んだのよ」
大きな声がして、みんなが私を見るのが判った。
「えっ?」
私は唖然とした。
「そうなのですか? デジレ様。あの辺境の属国の男爵令嬢風情ががそんなことをしたんですの?」
「まあ、なんて破廉恥な」
離れて座っていたA組の女たちの声が響いた。
あちこちでひそひそ声が響く。
悪意に満ちた声だ。
「ほう、私はゲルトがそこのピンク頭に体を使って催眠術をかけられて、クラウを襲ったと思ったのだが」
コンスが大声で言い返してくれた。
「何ですって」
その言葉に切れて聖女が叫んだ。
「いくらコンスタンチェ様でも聖女様相手にお言葉が過ぎるのではありませんか」
私を属国の男爵令嬢風情といってくれたラーラがコンスに食ってかかってくれたが、
「ふん、ここは学園、身分は関係なかろう」
平然とコンスは流してくれた。
「しかし、いくら学園とはいえ、最低限の礼儀は」
「何を言っている、ラーラ。おまえこそ、カッセル王国のオイシュタット伯爵御本人に向かって、男爵令嬢風情と今言ったが、それこそ言葉が過ぎるのではないか?」
「えっ、クラウディアさんは伯爵なのですか」
ラーラは驚いていた。
「なんだ、そんなことも知らないのか? 皇帝陛下の前でカッセルの国王陛下が伯爵位に戻すと断言されたそうだぞ。そもそもその方は侯爵家出身とはいえ、今は無位無冠ではないか」
「いえ、それは……」
「クラウの祖母はライゼマン公爵家出身で、公爵夫人とその娘御であられる皇太子妃様が目をかけておられるのだが、おまえはそのクラウに対して変な噂を流すと言うのだな」
「そのようなことは……」
コンスに突っ込まれてラーラはもう涙目だ。
「ちょっと、そこ、何言ってくれているのよ。今、私をおとしめてくれたのはあんたでしょ」
「最初にクラウを貶めてたのはお前だ」
「何言っているのよ。私は事実を」
「体を使ったというならば、いつも男に自分の胸を押しつけて侍らしているお前の方が余程真実味があるぞ」
「な、何ですって! そんなわけは」
必死に聖女は言い訳するが、コンスの言ったことの真実味の方がいつもそれを見ている皆にはあった。
皆が聖女を見る。
「それに、そもそも私はクラスメイトを襲ってきたA組の連中を許していないのだが、ハインリヒ、どういうことだ!」
「えっ、いや、襲ったのはゲルトであって、私は何も」
いきなり振られてハインリヒは慌てた。
「ふざけるな。クラスメイトには違いないだろうが」
「そんな、殺生な」
ハインリヒは顔をしかめた。
「ふんっ、連座されたくなかったらそこのピンク頭が余計なことを言っていたら即座に注意しろ。判ったな」
「はい、判りました」
即座にハインリヒは頷いたのだ。
「な、何ですって。ハインリヒ、あなた私を裏切るの」
「すみません。コンスタンツェ様に逆らうと学園で生きていけないので」
「信じられない。いくわよ、皆」
怒った、聖女は取り巻きを引き連れて慌てて食堂から出て行ったのだ。
私はそれを見ていい気味だと思ってしまった。
さらに酷い事を聖女らが考えるとは思ってもいなかったのだ。
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果たして、お義兄様の想いはエリーゼに通用するのか?
山場です。
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。【シーモア限定特典付き】』
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10センチ下にはその表紙絵と各リンク張ってます
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