ルード視点 教会の目論見を阻止しようと色々作戦を練ろうとしました
その日も俺は忙しいのに、母からの呼び出しで家に帰っていた。
せっかく、クラウと一緒に勉強しようとしていたのに、本当にムカつく母親だ。
最近のクラウはやっと少し勉強するようになっていた。
その上、何故か計算は完璧なのが判明した。
俺ですら最近理解した二次関数もすぐに理解してくれたのだ。
数学は俺でもいろいろ苦労しているのに、何故クラウが理解できるか判らなかった。
まあ、やる手間が省けて良かったが、俺が見る科目は帝国の歴史、地理、貴族の名前と領地の特産品等、帝国の貴族として当然知っていなければ行けない知識に絞られた。
今後、クラウが帝国で行きていく上では絶対に必要な知識だった。
「ええええ! そんなにたくさん覚えられない」
俺が宿題を言い渡すと、文句を言う時にその頬を膨らませた顔がまた可愛いのだ。
それに文句を言いつつ、翌日にはクラウはある程度は覚えてくるのだ。
俺はその顔をさせたいがために、宿題を少し多めに出すようにしていた。
しかし、そんな俺とクラウの時間が少なくなったのだ。アデライドがクラウとの補講を新たに1時間も取るように言ってきたのだ。
「今後、クラウディアさんが帝国の貴族界で生き残るには、今のような礼儀作法では全然ダメです。ルードさんもそれはよく理解されますよね」
そう言われると俺には断れなかった。
でも、クラウと二人きりの勉強時間が減るのは許せなかった。
「本当に余計なことを」
昨日も、俺は父から任された仕事を側近たちに振りながら、ブツブツ文句を言っていると、
「ルード、クラウさんの勉強はお前が見なくてもいいんじゃないか? 何なら俺がやろうか」
カスパーが言い出した。
「はああああ! クラウに貴様のような軽い男を近づけさせられるか」
俺が即座に却下すると
「いや、でも、お前の執務時間が減って付き合わされる俺達の身にもなってくれよ」
ボニファーツまでブツブツ文句を言ってくれるが、俺は曲げるつもりはなかった。
別にクラウとの2時間位、なんとでもなる。
そんな事を思い出しながら、母の部屋に行くと
「ルード、教会がクラウディアに接触しようとしたみたいだけど、理由を調べられた?」
「はい?」
俺には初耳だった。
側近からの情報も入っていない。
「何なの? 知らないの?」
母が怒りの表情で俺を睨めつけてきた。
「いや、まだ報告は」
「あなた、本当にクラウディアを婚約者にする気があるの?」
「いや、別にすぐに婚約者にするつもりは」
母の言葉に思わずつまる。
「じゃあ、コンスタンツェで良いのね」
「良くない!」
俺は即決した。
何が嬉しくてあの脳筋を婚約者にしなければいけないのだ。
あいつは何かあると剣を振り回してくれるのだ。
俺はまだ死にたくない。
「でも、今日もピザン公爵が私のところに来てあなたの婚約者に孫娘をって言ってきたんだけど」
「当然断ってくれたんですよね」
俺は母に聞いたが、
「まあ一応は断ったけれど、あなたの婚約者が決定していない状況ではいつまでもつか判らないわよ。それに、教会からはデジレをと煩いんだけど」
「あのネジの一本ない女も却下です」
俺は即座に断った。あいつは貴族の礼儀作法が判っていなさすぎだ。
平気でくっついてくるし、他の男との距離も近すぎる。
かっこうみたいに托卵されたらやってられない。
「ルードもわがままね」
「というか、脳筋と淫婦しか候補がいないのがおかしいでしょう」
俺は母に文句を言った。
「だって、武のピザン公爵家がしゃかりきに娘をあなたの婚約者にしようとしているのよ。周りの常識のある貴族がそんな所に娘を婚約者に売り込めるわけないじゃない。彼らも死にたくないのよ」
母が言ってくれたが、
「だからって教会のデジレは論外ですよ」
俺が言うと
「じゃあ、クラウディアでいいじゃない」
「そこは……」
俺は口を濁した。
母は簡単に言ってく来れるが、事はそう簡単にはいかない。
何しろクラウの祖母は俺の祖父を振って属国の貴族と駆け落ち同然に結婚したのだ。
その孫娘との婚約なんてなかなか許されるはずはないではないか。
「でも、どうするのよ。教会が何故クラウディアに接触しようとしたか判っていないけれど、良からぬことを企んでいるのは事実よ」
俺はすぐに取って帰ってクラスの無事を確認したくなった。
「今回はアデライドが強引に追い返してくれたから良かったものの、理科であなたの担任のランベールは教会派よ。次はどうしてくるかは判らないわ」
そうか、アデライドが教会を叩き潰してくれたのなら、しばらく大人しくしているだろう。
アデライドは我が祖父すら苦手にしていたはずだ。教会の大司教など相手にもならなかっただろう。
「そもそも、あなたが、情報を掴んでいないのは何故なの? そんないい加減なことなら私が保護するけれど」
「いや、母上。それはまだ時期尚早かと」
俺は母に間に入ってもらって余計なことをしてもらいたくなかった。母は何をしだすか予想が出来ないのだ。
「でも、あなたじゃとても不安なんだけど。あの子は私の友人のエルザの子供なのよ。政変の時にあなたを匿ってもらったという恩もあるし、危険はできる限り排除したいわ」
「絶対になんとかしますから」
「でも、情報さえちゃんと集められていないじゃない。それもこれも。組み分けテスト対策をあなたがちゃんとやらなかったからじゃなくて」
母の言葉に俺様はぐうの音も出なかった。
本当にあの時は失敗した。もっときちんと押さえておけば、クラウはAクラスで俺と同じだったのだ。
そうしたらもっと二人で堂々と一緒に入られたのに。
今はコンスが隣りにいるからなかなか会えないのだ。
「早急に対策しないと私が乗り出しますから」
「わかりました。必ず対策します」
俺は断言した。
Eクラスの面々から使えそうなやつを早急に探し出してクラウの護衛なり何なりしなければいけない。
俺は母の手前もあり早急に側近たちと図って準備することにした。
でも、俺は母の行動力を侮っていたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
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さて、そして、第2巻がシーモア様で本日配信開始しました
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
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