準備室に閉じ込められて灯り魔術が初めて使えましだか、狼に襲いかかられそうになりました
次の日、私はノックの音で起きた。
私の目には自分の部屋の白い天井が見えた。
自分の寮の部屋にいる。
「えっ?」
私はルードと一緒に魔術の練習をしていたはずだ。
なのになぜ自分の部屋にいるの?
私には理由が判らなかった。
「大丈夫か?」
扉からコンス達が顔を出してくれた。
「私、何故、自分の部屋にいるの?」
私は理由がわからなくて思わずコンス達に聞いていた。
「昨日の夜にルードが寝込んだクラウを運んで寮に来たんだ」
「えっ!?」
私はコンスの言葉に固まってしまった。
「昨日、ルードと一緒に灯り魔術の訓練必死にやったんだろう?」
そう言えば練習をやったけれどそんなに練習はしていなくて……
確か、いきなり真っ暗になって泣き出して、ルードが慌てて謝って私を慰めるために抱きしめてくれて、その腕の中が暖かくて、そのまま意識を無くしてしまったのだった。
やってしまった!
「ルードに呼び出されて何事かと1階のロビーの入口に来て見れば、ルードにお姫様抱っこされたクラウを見て思わず目が点になったぞ」
コンスが言ってくれたけれど、私、ルードにお姫様だっこされたの!
さすがの私もその言葉に絶句してしまった。
嘘! お姫様抱っこなんて……ありえない!
これは絶対にまずいやつだ。
私は真っ赤になった。
それも寮の入り口って絶対に皆に見られたに違いない。
「ルードがなにかしたのかと、思わずかっとしてルードに殴りかからなかった私を褒めてほしいぞ」
コンスならやりかねなかった。
「何言っているのよ。殴りかかりそうになったから、殴るならクラウをこちらに受け取ってからにしないとって注意したのは私でしょ」
「それでクラウを受け取ったら、ルードを殴れなかったではないか」
「魔術の訓練させすぎたルード様も悪いかもしれないけれど、クラウが疲れ切って気絶したんなら仕方がない面もあるんじゃない」
ルードにお姫様抱っこされて帰されたと聞いたショックで、二人の言い合いを私はよく聞いていなかった。
「ごめんね。みんな、迷惑かけて」
私はみんなに謝った。
「それは良いが、もう体は大丈夫になったのか」
「うん。寝たから全然平気よ」
私は頷いてみんなで食堂に行ったのだ。
「ねえ、あの子見て」
「えっ、どの子」
「あのコンスタンツェ様の隣りにいる銀髪の」
「ああ、あのカッセルとか言う辺境の属国から来たっていう」
「昨日、ルード様にお姫様抱っこされて寮に帰ってきたのよ」
「ええええ!」
「嘘!」
「信じられない!」
「それ本当?」
「私ちゃんと見たんだから、本当よ」
皆の驚いた視線と憎々しげな視線を感じながら私達は朝食を食べた。
あまり食べ物の味がしない。
「クラウ、そんなに気にしないで良いぞ」
「それは、噂されても公爵令嬢のコンスなら平然としていられるかもしれないけど、男爵令嬢の私とは全然違うわよ」
コンスは言ってくれるけれど、公爵令嬢のコンスならば大丈夫だと思うけれど、属国の男爵家の令嬢に過ぎない私では立場が違いすぎるのだ。
「噂されるのが嫌なら、止めるように私が一言、言おうか」
コンスが言ってくれたけれど、私は首を振った。
コンスが言ってくれたら、令嬢達の噂は面と向かっては言われなくなるけれど、影に籠もって色々い分けれるのだ。
変わらないだろう。
今回は私が気を失ってしまったのが原因だ。
甘んじて受けるしかあるまい。
私と噂されたルードにも謝らないと、私の面倒を見てくれているルードの婚姻関係とかに響いたら問題だ。
でも、朝食の席では会えなかった。
そして、一限目の授業は理科だった。
理科は地学の範囲だったが、物理の先生のランベール先生が教えていた。
そして、今日の日直の私が先生の指示で資料を取りに準備室に行ったのだ。
準備室の灯りをつけて私は先生に言われた鉱石の標本箱を探した。
中は乱雑に色々な物が置かれていて歩くのも大変だった。
でも、標本箱はすぐに見つかる所に置かれていた。
いろんな道具の見本を回避して、それを取ろうとした時だ。
いきなり灯りが消えて、バタンと扉までしまったのだ。
「えっ!」
真っ暗になってしまった。
私は慌てて扉に駆けよろうとしたが、間に物があって盛大に転けてしまった。
嘘、真っ暗な中に置き去りにされてしまった。
嘘!
私は恐怖を感じた。
やばい、このままではまたパニックになる。
「ライト!」
私は思わず灯り魔術を唱えてみたのだ。
でも、つかなかった。
「ライト!」
叫んでもつかなかった。
そうだ! ライトって英語のlightかもしれない!
唐突に私は思いついた。
確かLは上前歯の裏に舌先を軽くつけるんだった。
「ライト!」
私は叫んだのだ。
カチリと何かスイッチが入った気分になって光が灯ったのだった。
やった! 初めて出来た!
私は閉じ込められたことよりも魔術が使えて有頂天になった。
その時だ。
ウーー
獣のような唸り声が聞こえたのだ。
「えっ?」
私は唖然とした。
慌てて後ろを振り向くとそこには牙を剥いた狼が私に向かって唸っていたのだ。
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