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レセプションでルードと踊ってホッとしたら、ルード狙いの令嬢達から逃げるために一緒に会場から連れ出されました

すみません。お昼になってしまいました

私は生まれて初めて男の人にエスコートしてもらってレセプション会場に向かっていた。

私は今まで着たこともない、きれいな青い布地に金糸で模様が散りばめられているドレスを着て歩いている。

エスコートしてくれているのは、白い布地に銀糸で飾りがつけられていた燕尾服に緑色の蝶ネクタイをした立派になったルードだ。

あの意地悪ルードがこんなに立派になって、私をエスコートしてくれるなんて!

そう、ルードは本当に立派になっていた。顔も凛々しくなったし、体もがっしりしていた。

こんな素敵になるなんて思ってもいなかった!


私は全てに感激していた。


「ところで宿題は覚えたんだろうな」

「えっ?」

私は一瞬、ルードが何を言い出したか判らなかった。


「渡した教科書覚えたのかよ」

今、この感激している時に聞くか! 

私の感激は一瞬で半減した。


「第3代皇帝は?」

「コンスタン帝」

良かった!

オリエンテーションで出て来た問題だ。

私は初めて物理の先生に感謝した。


「おっ、出来てるじゃん」

ルードも喜んでくれた。

そこで終われと思った私は甘かった。



「じゃあ、第4代は」

「……」

「第5代は」

「……」

「ほとんど覚えていないじゃないか」

「だってあんな分厚い本、1日で覚えられるわけないでしょ」

私がむっとして睨みつけると、

「やろうと思えばできる」

「それが出来るのはルードくらいでしょ」

私が文句を言うと、

「じゃあ、第6代は」

「ルードルフ」

「はい正解」


「これはルードに名前が似ていたからまだ覚えられた」

そう言うと、何故かルードは嬉しそうだった。

でも、その後は全然だった。


会場に着いた時は私はルードの歴史問題に疲れ切っていた。

あまり答えられない私にルードはだんだん怒り出すし……

でも、そんなのこんな短時間で覚えられるわけないでしょ!


会場では長い学園長の挨拶がすでに始まっていた。


そんな皆が聞いている中で、私はルードにエスコートされて会場に入ったのだ。

考えたら、普通は今回の新入生歓迎レセプションのエスコートって上級生がやってくれるんじゃなかったっけ? 

何故同じ新入生のルードがしてくれたんだろう?

やっぱり成績最下位の私のエスコートをするのを先輩たちが嫌がって、誰もいないからルードがエスコートすることになったんだろうか?


というか、私なんかがルードにエスコートされて良いんだろうか?

私達が会場に入ると、ルードはそのままどんどん前に歩いて行くんだけど……


えっ、私は端で良いんだけど……


私達が前に行くにつれて私達を中心にざわめきが起こった。


「ねえ、あのルード様がエスコートしているの、誰よ?」

「二年生にあんな子いたっけ?」

「三年生にもいないわよ」

「あの子、一年生の女の子じゃない」

「あのコンス様の横にいた」

「えっ、あの地味な子?」

「嘘っ! 全然違うじゃん」

「信じられない」

「というか、何故一年生のあの子を同じ一年生のルード様がエスコートしているの?」

そんなのこちらが聞きたいわよ!

というか、皆がこちらを見て噂しているのだ。


私は壁の華で良かったのに!

と言うか、ルードにエスコートされる段階で壁の華は無理だった。

でも、何も真ん前に行く必要はないじゃない!

ルードは噂されても、いつもなれているのかびくともせずに、堂々と正面の壇上に向かって歩いて行くのだ。

もう本当に止めて欲しかった。

みんなが私達が横を通る度にギョッとしてみてくるのだ。


「な、なんで一年生のあの子がルード様の隣りにいるの」

「信じられない」

囁く声が聞こえる。もう私は針の筵だった。

ルードも最初は気安く話しかけてくるなって言っていたのに、私をエスコートしたら、そんな意味ないじゃない!


「許せない!」

なんかピンク頭、確か、デジレって呼ばれていたが私を睨んでいる。彼女からしたらルードにエスコートしてほしいと頼んだのに、私をエスコートしているから怒っているんだ。私はルードがエスコートしてくれるなんて知らなかったんだって!

私はそう言いたかった。



長い学園長の話が終わって、生徒会長が壇上に上がろうとした。その横にはコンスがいて、ルードを見てムッとしていたが、私を見ると手をふってくれた。


なるほど、次に挨拶するからルードは前に来たのか……でも、それって私が完全に目立つじゃない!

私はもう泣きたかった。

明日からが怖い。デジレの視線も怖いし……


「何か困ったことがあったら、私達先輩に聞いて下さい」

生徒会長が言ってくれたが、私は今のこの状況をぜひとも相談したかった。


ルードが壇上に上がる。


ルードがいなくなって、一人になったらみんなの視線が、特に女の子の視線が痛いんだけど……


「先生方、諸先輩方。私達新入生を歓迎するレセプションを開いて頂いて本当にありがとうございます。私達はこれから3年間を学園で一生懸命に学んでいきます。その時々に色々とわからないことや、知らずにルールを破ることもあるかもしれません。そういう時は私達に手を差し伸べて頂き、お教え頂けたら嬉しいです。どうか3年間宜しくお願いします」

軽く頭を下げて、みんな一斉に拍手した。


そして、壇上から降りてきたルードに話しかけようと集団に囲まれそうになるが、ルードはさっとそれを躱して、私の傍に来たのだ。


「それでは皆さん。まず、一曲踊りましょう。最初はペアの人と一緒に踊って下さい」

マルタン先生の声がした。


「じゃあ、クラウ、踊るぞ」

「いや、ルード、私、踊ったことないから」

私が必死に否定した。

こんな人前で踊ったら恥をかくだけた。

それにルードと踊ったなんてことになったら、後で更になんて言われるか判ったものではなかった。


「ふん、大丈夫だ。踊るふりをしろ」

そう言うとルードは私を真ん中に連れて行ってくれたのだ。


「えっ、いや、ルード、私本当に踊ったことはないから」

「魔法を使うんだよ」

そう言うと、ルードは私の腰に手をおいてくれた。


「えっ」

私は体が軽くなるのを感じた。

ルードは少しだけ私を浮き上がらせてくれたのだ。


「うそ」

私は信じられなかった。

「最初だけだからな。後はクラウも練習しろよ」

ルードがそう言うと同時に音楽がなり始めた。


私はルードに魔法で持ち上げられて踊らされたというのが正解だった。


必死にルードの足を見て踊っているふりをする。


周りからは二人がいい雰囲気で踊っているように見えるかもしれないが、私を持ち上げてルードが一人で踊ってくれたのだ。

私はルードに合わせて踊っているようなふりをするだけで精一杯だった。


ルードは調子に乗って私を大きく宙に浮かしてくれたり、周りから喝采を受けていたけれど、本当に止めて欲しかった。


音楽が終わった時にはもうヘトヘトでルードにほとんど抱き付かないと立っていられない状態だった。


それを見てデジレは私を睨んでくれたし、コンスは驚いてみていたし、ポピーなんて口に手を当てて、「まあ」って赤くなっていた。


一曲終わって、みんな、虎視眈々とルードのお相手になろうとこちらを睨んでいた。

「「「ルード様」」」

私達めがけて女の子たちが殺到してきたのだ。


私はギョッとした。ここは逃げるにしかずだ。私はルードの手を離して離れようとした。

でも、ルードは私の手をしっかり握って来たのだ。

「えっ、ルード、私はこれで」

私はルードの手を振り払おうとして、失敗した。

更にきつくルードが手を取ってくれると


「じゃあ、クラウ、行こうか?」

「えっ?」

私はルードが一瞬何を言ったか理解できなかったのだ。


次の瞬間、ルードは私の手を引いて駆け出したのた。


「ちょっと、ルード様!」

「あの女、いつまでルード様を占拠しているのよ!」

「許さない!」

「ルード様、お待ち下さい!」

女たちが凄まじい迫力で追ってくる。


「えっ、ちょっと待って! そんな……」

私はルードに強引に手を引かれて会場から逃げ出してしまったのだ。





ここまで読んで頂いて有難うございました。

皆様に応援頂いた『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』第三巻の発売が決まりました

挿絵(By みてみん)

表紙はおだやか先生の素晴らしい絵で、エリーゼがお義兄様にお姫様抱っこされています。

10/25 コミックシーモア先行配信予定です。

https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


2巻までは現在シーモア様で先行配信されて降り、1巻は全ての電子書店様で発売中です。

まだの方は読んで頂けたら嬉しいです。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

次のお話はこちら

『婚約破棄されたので下剋上することにしました』https://ncode.syosetu.com/n0747ju/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
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表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】

https://www.cmoa.jp/title/1101429725/

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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

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2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://ncode.syosetu.com/n6878ix/

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