表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/115

食堂でピンク頭に追われたルードにぶつかられて、頭の上からシチュウをぶっかけました。

40人の自己紹介が終わった。身分を言わずに名前だけの紹介だったので、私には本当に誰が貴族で誰が平民だかまるで判らなかった。


午後からはオリエンテーションということで、最後にその班分けが決められた。

私は隣のコンスタンツェとヘレナの3人で回ることになった。


「コンスタンツェさん。ヘレナさん宜しくお願いします」

私が二人に頭を下げると

「こちらこそ宜しくな。クラウディアとヘレナであっているよな。私のことはコンスと読んでくれ」

「コンス様ですか?」

ヘレナが聞いてきた。

「いや、呼び捨てで良い」

「そんな公爵家の令嬢を呼び捨てなんて出来ません」

私はヘレナの言葉でコンスが初めて帝国の公爵家の令嬢であると知った。


「一緒のEクラスの仲間じゃないか問題ないだろう。なあ、クラウディア」

「コンス様。私の事はクラウと」

「じゃあ、私もコンスだ」

「コンス」

私もヘレナも無理やり、コンスにそう呼ばされていた。


私達は食事を取るために学食に向かった。

学食は凄まじく混んでいた。


「凄いな」

呆れてコンスが呟いた。


「私とクラウで並んでいますから、コンス様は席を取っておいて下さい」

ヘレナが言うが、

「いや私も並ぼう。これだけ混んでいると離れる二度と見つけられそうにない。それとヘレナ、私はコンスだ」

「でも、周りの目があります」

「私が良いと言っている。学園にいる間くらい、自由に過ごしたいしな。クラウやヘレナは婚約者はいるのか?」

コンスがいきなり聞いてきた。


「いるわけ無いです」

私が首を振った。

ヘレナもいないみたいだ。

「コンスはいらっしゃるのですか?」

「おいおい、途中から敬語になっているぞ」

「だって、お相手はどのみち高位貴族の方でしょう?」

「こんながさつな私に婚約者がいるわけはないだろう。父は必死に探そうとしているみたいだがな」

コンスは笑って言った。


「それよりも、クラウはルードと親しいのか」

コンスがまた、いきなり聞いてきた。

「えっ、ルードですか」

私は一瞬詰まった。

なんかルードという名前を聞いて、周りが急に静かになったような気がした。


「親しくはないですよ」

私が否定すると、

「でも、クラス分けの時に手を繋いでいたじゃない」

ヘレナが聞いてきた。ヘレナもよく見ている。

「違うわよ。あれは私がクラス分けのテストで最下位だったから連行されたのよ」

私がきちんと説明した。


「連行って何?」

「私はルード様に助けていただいたことがあって、今回この学園を紹介して頂けたんですけど、私が最下位だったから、自分の立場上まずいから、成績を上げるためにこれから補講を毎日受けろと言いに来られただけです」

私は適当に真実を混ぜて誤魔化した。

人気のあるルードに補講してもらうなんて言ったらまた周りから何を言われるかわからないし……


「そうか。毎日、放課後に補講があるのか! 大変だな」

コンスは私に同情してくれた。

「ふーん、そんなのあるなんて聞いたことないけれど」

疑い深そうにヘレナが聞いてきたけれど、


「私も昨日始めて聞いて、下手したらアデライド先生の補講もあるかもしれません」

「クラウ、どんな事があってもアデライド先生の補講には私を付き合わすなよ」

コンスがマジな顔で言ってくるんだけど……


「それ私が言えると思います?」

「まあ、無理だろうな」

コンスは首を振ってくれた。



私達はトレイを受け取ると席を探して食堂を歩き回った。

今日は皆が同時に食堂で食事を取るので混むんだそうだ。これから時間帯も代わってくるしここまで混むことはないそうだ。


「あったぞ。あそこだ」

空席を目ざとく見つけたコンスがさっと動いていく。

私とヘレナは必死についていこうとして


「ルード様。私を置いて行かないで下さい!」

後ろから黄色い声が知っている名前を呼んだので、私が気になって振り返った所にトレイを持っていたルードがぶつかってきた。

「キャッ」「すまん」

私は盛大にルードにトレイごと頭からぶっかけていたのだ。

ルードはシチュウの皿を頭から被って真っ白になっていた。


「えっ」

私は昨日に次いでまたルードにぶっかけてしまったことと、私の昼食がぶちまけられてしまって唖然とした。


「クラウ、貴様昨日だけでなく、今日まで俺にぶっかけるか」

怒髪天に怒っているルードがそこに立っていた。

「えっ、今のぶつかってきたのルードじゃない」

「やっぱり仲いいんだ」

後ろのヘレナがポツリと言ってくれた。

「えっ、いや、そんなことはないわよ」

「そうだ。こんな女知らないぞ」

私とルードが誤魔化そうとした。


「もう、ルード様。私を置いていこうとするからこんな事になるのですよ。浄化!」

女の子が叫ぶと、ルードがあっという間にきれいになった。


「凄い、この子、ヒロインなんだ」

ヘレナのつぶやきが聞こえた。絶対にヘレナは転生者だ。

私は確信した。


でも、この子がヒロインっていうことはこのピンク頭がこのゲーム主人公なんだ。

私はまじまじとピンク頭を見た。


「これできれいになりましたよ」

ピンク色の髪の女の子はそう言うとルードにしがみついていた。

トレイ片手にでかい胸をルードの腕に押し付けていた。

もの凄く強引な女だということはよく判った。


「何を言うんだ。俺は仕事で忙しいんだ。なのに俺を追ってきたらこんな事になったんだろ!」

ルードが怒って言うと


「えっ、酷い。私が悪いっていうんですか? その子がドジなだけなのに」

「えっ、私?」

いきなり振られて私は驚いた。

「この子がわざとルード様にトレイをぶっかけたのに」

「そんな訳ないだろう。お前が悪いんだよ」

「そんな、ルード様、酷い。ウェーーーーン」

いきなり女が泣き出して私は唖然とした。


何なの? これは! ここは幼稚園なの?

さすがの私も唖然とした。


ルードも驚いて立っているし。


食事の時間もあまりない。


そもそも私の昼食はどうなるの?

私が呆然とした時だ。

「ルードいつまで食堂の真ん中で女の子を泣かしている?」

後ろからコンスが声をかけてきた。


「コンスタンツェ、お前」

ルードがきっとしてコンスを見た。やはりこの二人は知り合いだ。ルードも高位貴族だということが私にも判った。


「皆の邪魔だからとりあえず端につれていけばどうなの?」

コンスがルードに言った。


「いや、今のはどう考えてもこの女が悪いだろう!」

ルードが怒って言うが、

「仕方ないだろう。お前がきついことをいつたから泣き出したんだから」

コンスの声にルードは一瞬唖然としたが、

「お前な……」

そう文句を言いつつ、ルードは諦めたみたいだ。


ルードが女の子を連れて端に行こうとした時、その無事だったルードのトレイをコンスが取り上げたのだ。


「おまえ、俺の食事を」

「ルードがぶつかったからクラウの食事が無くなったんだぞ。これは当然クラウの分だろう。クラウに食事を抜かせるのか?」

コンスに言われて、私と食事を見比べたルードは諦めたみたいだ。

ピンク頭の女の子を隅に連れて行った。


「コンス良かったのかな?」

私が聞くと

「気にするな。レディファーストだ。あいつは一食くらい抜いても大丈夫だ」

あっさりコンスが言ってくれたので、私はルードの食事を美味しく頂いた。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

いつもお忙しい中誤字脱字報告、感想、良いねとうして頂いてありがとうございます。

ブックマーク、広告の下の評価をしていただいた方には感謝の言葉もありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

次のお話はこちら

『婚約破棄されたので下剋上することにしました』https://ncode.syosetu.com/n0747ju/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】

https://www.cmoa.jp/title/1101429725/

■【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://ncode.syosetu.com/n6878ix/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ