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ルード視点 クラウを助けるためにコンスは嫌がる俺を学園に向けて投げ飛ばしてくれました

俺はコンスが黒死竜を倒すのを唖然として見ていた。史上最強の魔物をあっさりと倒すなんて、さすがに呆れて物も言えなかった。


ガチャリ

そんな時だ。俺がクラウに与えたお守りが発動したのが判った。


「クラウ!」

俺は思わず叫んでいた。

「どうした?」

黒死竜の魔石を取り出そうとしていたコンスが聞いてきた。

「クラウが襲われた」

俺は慌てて、帰ろうとした。

「何! クラウが襲われただと? 学園が魔物に襲われたのか?」

「それは判らないが、クラウに与えたお守りが発動したんだ」

「くっそう、こちらは囮か、道理で敵が少ないと思った」

いや、お前にとってはそうかもしれないが、そう思っているのはお前だけだ。

俺はそう叫びそうになった。

普通は黒死竜を囮では使わない。

絶対に本命のはずだ。

俺以外は全員そう思ったはずだ。


「仕方がない。ここは騎士団に任せて、すぐに戻ろう」

「戻ると言っても馬で帰るとどんなに急いでも4時間くらいはかかるぞ。何か良い方法はないのか?」

俺は焦っていた。

でも、コンスの前でこんなことを言うのは間違っていたのだ。


「急いで戻る方法か」

コンスが考え込んだ。

「何かあるのか?」

聞いた俺は馬鹿だった。

脳筋のコンスが考えつく事なんて碌なことはないのだ。


「無いことは無いぞ。そうだな。ルード、お前は強化魔術が使えたな」

考え込んでいたコンスがにやりと笑ってくれた。

「それは使えるが……」

俺は少し不吉な予感がしてクラウを見た。

「判った。クラウのためだ」

思い詰めた目でコンスが俺を見た。


「な、何をする気だ?」

俺は思わず後ずさりした。


「貴様を学園まで投げ飛ばす」

「はああああ! な、何だと、そんなことが出来るのか?」

「人相手にやったことはないが、石を投げたことはある」

コンスが不敵な笑みを浮かべてくれたが、


「いや、待て。人間を投げるなんて無理だろう!」

そんなことをされたら俺は死ぬんじゃないか?

いや、絶対にまずいだろう。

俺はクラウの前から逃げだそうとしたのだ。


「ふん。大丈夫だ。貴様を投げ飛ばすくらいは出来る」

コンスは見当違いなことを言ってきた。それは脳筋のコンスならやれるだろう。

問題はそうされた人間が死なないで生きて飛んで行けるかだ!



「いや、ちょっと待て、そんなことした俺自身が死んで……ギャッ」

俺は慌てて逃げようとして、コンスに飛びかかられて、足を捕まれて、地面に背中を打ちつけた。


「おい、待て、コンス。貴様、俺を殺すつもりか?」

「グチグチ言っていると舌を噛むぞ」

そう言うとコンスは俺の足を抱え込むと、回り始めてくれたのだ。

ぐるんぐるんと……

俺の足を持って回ってくれたのだ。


おい、待て!

何で側近達は止めない……いや、あいつらは無理だ。

そもそもコンスが余計なことをしようとした段階で逃げ出しているはずだ。

俺は目がぐるんぐるん回り始めた。

凄まじい勢いで回されて頭に血が登る。


ギャーーーー

身体強化!

気を失いそうになりながら必死に強化魔術をかけた。

「行けーーーー」

コンスはそう叫ぶと俺を投げ飛ばしてくれたのだ。


空に向けて……


この帝国の次期皇太子様の俺を……


その瞬間、俺は意識を失っていた。





どれだけ意識を失っていたんだろう。


一瞬だったはずだ。


気がつくと俺は空を高速で飛んでいた。


信じられなかった。


なんとか生きていた。


そして、遠くに帝都が見えたと思ったら、ぐんぐんでかくなってきた。


おい、でも、これは正確に学園に向かっているのか?


そもそもどうやって地上に降りるのだ?


くっそう、あの、コンスのやろう、後で覚えておけよ!

尤も今更叫んでもどうしようもない気もしたが……


俺の目の前にぐんぐん帝都がでかくなってきた。


そして、城壁を越えた。


学園が見えてきた。


どうやら俺は学園に向けて飛んでいるようだった。


コンスがノーコンでなくて良かった。


学園がぐんぐん大きくなってくる。


あ、あれはクラウだ。


その前に何か真っ黒の奴がいる。


そいつはクラウに遅いかからろうとしていた。


「俺のクラウに触るな!」

俺は叫ぶと同時に障壁を張る。


ダーーーーン!

次の瞬間、俺はクラウを襲いかかろうとした黒い奴に頭から激突したのだ。


その瞬間の衝撃と激痛は言葉では言い表せなかった。

痛さとショックで俺は本当に死んだと思った。


ズカーーーーン

なんかでかい音がしたが、俺は飛んで行った黒い奴が何かに激突したとしか判らなかった。

俺は地面に倒れ込んでいたのだ。

なんとか生きているみたいだ。


「る、ルード」

俺はクラウに抱き起こされた。

クラウのきれいな緑の瞳が俺を見てくれた。

「クラウ」

俺はクラウが無事でほっとした。

「ルード!」

クラウが抱きしめてくれたので、俺もクラウを抱きしめた。

体はボロボロだったが、クラウの危機に間に合って良かった!

俺は殺されかけたコンスに感謝をしたのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

クラウを助けるのも命がけのダイブでした……

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