皇子を助けたので、群臣の前で表彰されることが決まりました
私はそれからしばらくとても憂鬱だった。
まさか、怒り狂っている魔王の前でルードとイチャイチャして、魔王を挑発していたなんて……
「さすが、愛は世界をも救うのね」
ヘレナなんて、完全に面白がっているし、
「魔王を前にしても、クラウディア皇后陛下は愛する皇帝陛下といちゃつくのをやめずに、配下のコンスタンツェ公爵に顎で命じて討伐させたのだった」
ポピーまでからかってくれた。
「やめてよ、ポピー! それに私は皇后陛下じゃ無いわよ」
私が文句を言うと
「何言っているのよ。普通に行けばルード様がいずれは皇帝陛下になられるんだから、あなたが皇后陛下になるのは確実よ。私は未来の歴史書にどう書かれるかを言ってあげたのよ」
とかなんとか言ってくれるんだけど……
「ちょっと待ってよ。それって私が色ぼけ皇后になっちゃうじゃない! 後世の人から色ぼけ皇后なんて呼ばれたくないわよ。私はルードを治してただけなんだからね」
私が訂正すると、
「でも、キスで癒やし魔術をかけるって、おかしくない?」
「絶対に変よ」
「確かに私も癒やし魔術をかけるのにキスするなんて聞いた事がないぞ」
ヘレナやポピーはともかく、真面目なコンスにまで言われてしまった。
そう、ルードの瀕死のけがに動揺した私はキスしてルードに癒やし魔術をかけていたらしい。
そんな事があり得るのか?
と私は信じられなかったが、皆が見ている前でルードを治してしまったそうだ。
私の唇から金の光がルードの唇を通してルード全体を癒やしたって皆言うんだけど……
私にはよく判らなかったんだけど、その反動というか副作用でルードの事がとても愛おしくなってしまい、痴女のようにルードにキスしまくったらしい。
確かにそうやった自覚があるから、私はしばらく恥ずかしくてルードとは目も合わせられなかった。
本当に何していたんだろう。癒やし魔術をしたら痴女になるなんて、どれだけふしだらな女なのよ!
でも、私がキスして治療すると聞いた怪我した多くの騎士等が、自分の治療もしてほしいと言ってきたそうだ。
はああああ!
私にキスして治せって言うの?
それを聞いて私はパニックになったんだけど……
「そんな奴は、北極送りにしてやる」
それを聞いたルードが怒り来るって止めるのが大変だったとか……
「まだまだ鍛錬が足りないらしいな」
激怒したコンスがそう言っていた騎士達を怪我したしているにもかかわらず恐怖の特訓させてくれたんだそうだ。
それ以来、二人を恐れて誰も申し出しなくなったと聞いて私はほっとした。
好きでもない人にキスするのは絶対に嫌だ。
でも、ルードが魔王に攻撃されたのを校舎から見ていた皆はルードは瀕死の重傷を負ったと思ったそうだ。これでは助からないだろうと。
そんな重傷のルードを私がキスして治してしまった。普通の癒やし魔術ではあり得ないそうだ。
「愛は奇跡を起こす」
「皇后陛下は皇帝陛下を愛の力で治した」
ヘレナとポピーが騒ぎ立てるのも無理はなかった。
聖女が闇堕ちして魔王に取り込まれたので、新たな聖女が出現したのだという説まであるんだそうだ。
なんか信じられないけれど。
でも、キスしないと治せない聖女っていうのも絶対に変だと私は思った。
「聖女でもないのに、何故、クラウがルード様を治せたの?」
ポピーに言われても、私が判るわけはなかった。
「何言っているのよ。愛は奇跡を起こすのよ」
ヘレナが言っていたけれど、それも説得力はあまりなかった。
でも、そんなことはエルザ様がお見舞いに来て吹っ飛んでしまった。
「ありがとう。クラウちゃん。あなたのお陰でルードの命は助かったのよ」
エルザ様に泣いて感謝されたのだ。
「お義父様とお義母様も是非とも会ってお礼が言いたいって言っておられたんだけど、さすがに病室にお見舞いをするのもどうかと思ったから」
エルザ様は皇帝夫妻からのお礼のお手紙まで持ってこられたんだけど……
私は恭しくそれを頂いた。
その畏れ多いお手紙には感謝の言葉が述べられていたんだけど、その後に、是非とも群臣のそろったところでお礼が言いたいって書かれているんだけど……
ええええ!
これって何?
私が驚いていると
「うーん、お義父様としては、謁見の間で勲章か何かを授与してくれるって事じゃない」
普通にエルザ様がおっしゃるんだけど……
いや、ちょっと待って!
そんなの絶対に無理なんですけど。
カッセル王国ですら謁見の間に行ったことは無いのに、いきなり帝国の謁見の間に、それも群臣の揃ったところに行くなんて絶対に無理何ですけど!
私がそう言ったら
「あら、何言っているのよ。あなたはいずれはその謁見される側に立つんだから今から慣れておくのも良いわよ」
エルザ様は平然と言ってくれるんだけど……
いや、私、まだルードの婚約者になるって頷いていないんですけど……
とは私は言えなかった。
「怒り狂った魔王の前でそれを無視して平然とルードにキスできるクラウちゃんなら何も問題ないわよ」
「……」
エルザ様の言葉に私は何も反論できなかった。
そうだった。
魔王の前でルードにキスしたんだ。
それも何回も……
それも全校生徒が見ている前で!
そんなことをしておいて今更婚約できないなんて言えるわけもなかった。
そして、固まってしまった私の意思に関係無く謁見する事が決まったのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
いきなり群臣の前での謁見に畏れおののくクラウでした。
次回完結です。
明朝を予定しています。
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