大司教視点 魔王としてピザンの小娘と対峙してやられてしまいました
明日の朝は『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』
発売記念SS書くのでお休みです。
この続きは明晩です。
ついにこの時が来た。
待ちに待ったこの時が……
俺様が魔王になるときが来たのだ。
我がミネルヴァ教の闇教義、世界を魔王が支配するというのを実践する時が来たのだ。
元々我がミネルヴァ教は戦いの神、女神ミネルヴァ様を奉っていた。
しかし、帝国で長い弾圧された歴史があり、その間に、その中の一派が魔王崇拝を始めたのだ。
弾圧の苦しみに救いを魔王に求めたのだ。
魔王が甦るとき、全世界を我がミネルヴァ教が支配すると。
女神ミネルヴァが闇に落ちて、魔王になるのだ。
ミネルヴァ教は表向きは女神を信仰して、帝国に帰順しているように見えるが、裏では魔物を飼い、魔王復活を狙っていたのだ。
孤児院を運営しているのも、魔力の大きい子供を魔物の餌にするためだった。なあに、北の森に木の実を拾いに行って魔物に襲われたことにすれば良い事だ。孤児の一人や二人いなくなったところで誰も気にしない。
でも、そんな時だ。孤児の中で聖女が現れたのだ。
それも餌にしようとしていた孤児が聖女になった。
俺たちは取り敢えず聖女をそのまま飼うことにしたのだ。
聖女は何故かこの世界の事を予言してくれた。
聖女が皇子の婚約者になって、未来の皇后になると。
そのための邪魔になるのが、ライゼマン公爵家のクラウディアだと言うのだ。
我々が調べたところではライゼマン公爵家にクラウディアという者はいなかったが、その遠縁でカッセルの地に同じ名前の小娘がいることが判った。その小娘は母を失って、継母を迎えた所だった。俺たちはロメウスを派遣して、継母を使嗾したのだ。
その方の娘を跡継ぎにすればどうだと……
継母達は実にうまく、やってくれた。
小娘を虐待して家に閉じ込めてくれたのだ。
これでその小娘が、帝国内にやってくることはなかろう。
聖女が、皇子妃になり、いずれ皇后になるに違いないと俺たちは確信したのだ。
そうなれば我がミネルヴァ教が帝国を支配出来るのだ。
俺はほくそ笑んだ。
しかし、何をトチ狂ったのかその皇子が小娘を助け出して学園に連れてきた。
我がミネルヴァ教に逆らうなど、俺様には信じられなかった。
その上、皇子は我が聖女のアプローチを退けて、その小娘と仲良くなりだしたのだ。
聖女にも、他の者達にもいろいろ邪魔させたが、うまくいかなかった。
皇子は益々小娘に執着しだしたのだ。
我々は聖女を使って、帝国を我が物にするのは諦めざるを得なかった。
その代わりにロメウスが持ち込んだ魔王育成計画を発動することにしたのだ。
魔王さえ生まれれば、我がミネルヴァ教は世界を支配できるのだ。
俺はその依代になることにしたのだ。
ロメウスは黒死竜を自分に寄生させた。
俺様は魔王になろうと思ったのだ。
そのためには闇堕ちした聖女と多くの生け贄の人間の魂がいるとのことだった。
単純な聖女は小娘を亡き者にすれば、聖女が皇子の婚約者になれるだろうと俺様が言うとあっさりと乗り気になってくれた。
聖女が殺人など企てることなど許されないのに……
あっさりと闇堕ちしてくれそうだ。
恋は盲目と言うとおりだ。
俺達は早速行動を起こすことにした。
ロメウスが北の森で魔物達を統合して大群で帝都に向かう。
それを征伐に来た騎士団を壊滅させる。
その一方で俺様が帝都に進軍する。
一つ目巨人を一匹聖女に渡したたのだ。
聖女はそれで小娘を始末するはずだったのだ。
失敗したようだったが、俺としては聖女が闇堕ちさえしてくれれば良いのだ。
そして、学園を魔物達を率いて攻撃した。
途中で邪魔なルードが帰ってきたが、闇堕ちした聖女に漆喰のナイフを突き刺して、取り込むのに成功した。後は連れてきた司祭やシスター達を生け贄として皆殺しにしたのだ。
全ての恨み辛みが俺様に集まって俺様は魔王様になったのだ。
まずは、散々手こずらせてくれたルードの小僧を血祭りに上げようとした。
しかし、その前にカッセルの小娘が身を挺して守ろうとしてくれたのだ。
もう笑止だった。
そのような抵抗をしても同じなのに。
俺様はルードの小僧の前でその小娘を引き裂いてやろうと笑ったのだ。
ピカッ
しかし、俺様が伸ばした手は何かにはじかれて俺様は弾き飛ばされたのだ。
信じられなかった。
その上、なんと小娘と小僧は魔王の俺様の前でイチャイチャしてくれたのだ。
魔王様の前で何をしてくれるのだ。
しかし、何故か二人はとてもまぶしかった。
金の光が乱舞していて、変だ。なんだこの気持ちの悪い光景は!
俺様は吐き気がした。
「おのれ、もう許さん! 地獄に落ちろ」
俺様は渾身の闇魔術を発動しようとしたのだ。
その瞬間だ。
ダアーーーーン!
俺様は横っ面を蹴り飛ばされたのだ。
ガンカラガッシャーン!
そして、横の倉庫跡にもう一度体もろとも叩きつけられただった。
な、なんと言うことだ。
この史上最強の魔王様が蹴り倒されたことなどほとんど無いはずだ。
俺様は怒り狂って相手を見た。
そこには鎧姿のコンスタンツェが立っていやがった。
「おのれ、ピザンの小娘め。もう許さん。死ね!」
俺様は渾身の力を振り絞って闇魔術をピザンの小娘に叩きつけたのだ。
「ふんっ」
しかし、ピザンの小娘は剣でそれをはじいてくれたのだ。
横にある学園の壁が吹っ飛んだ。
その向こうにある多くの民家も瓦礫に変えた。
「な、何故だ? 何故魔王の一撃が返される?」
俺様には信じられなかった。
「ふん、魔王か何か知らんが、気合いが違うのだよ」
「気合いだと、そんな訳あるか」
ピザンの小娘に俺様は反論した。
それに、その後ろでは未だに小娘とルードの小僧がイチャイチャしてくれているんだが……
周りには何故か金色のオーラが舞い、ハートマークが乱舞していた。
俺様には信じられなかった。
と言うか、不幸を餌に大きくなる魔王様にとっては邪魔物にしかならなかった。
「ふふふ、その余裕がいつまで続くかな。死ね!」
俺様はピザンの小娘を襲うと見せかけてその横のカッセルの小娘と小僧に闇魔術を叩きつけたのだ。
これで少なくとも見たくない物は抹殺できる。
俺はそう確信したのだ。
しかしだ!
俺様の怒りの闇魔術の一撃が、二人の金色の幕に触れた瞬間、霧散してしまったのだ。
「えっ?」
俺様は固まってしまった。
そんな馬鹿な。
俺様の闇魔術の攻撃が全く効かなかっただと。
あり得ない。
「死ね! 死ね! 死ね!」
俺は闇の魔術を3連チャンで放ったのだ。
必殺技だった。
絶対にこれで俺様の前でイチャイチャしている小娘と小僧は死ぬはずだった。
これで皇家の跡取りが死んで俺様の世界になるのだ。
しかし、しかしだ。
俺様の決死の攻撃が悉く蓋の周りの気持ち悪い金色の光の前に霧散してしまったのだ。
「そんな馬鹿な」
俺は開いた口が塞がらなかった。
「ふんっ、そろそろ良いか」
それを呆れてみていたピザンの小娘が俺様に正対して剣を抜き放ってくれた。
「ふんっ、貴様から処分してくれるわ」
俺様はまだ余裕だった。
魔王が人間に負けるわけは無いのだ。
「化け物、覚悟!」
ピザンの小娘は俺様に向かって駆けだした。
「貴様こそ死ね!」
俺様は闇魔術を放ったのだ。
しかし、その闇魔術を飛び上がって躱してくれたピザンの小娘は剣を振りかぶって俺様に斬りつけてきた。
それは俺様の闇の障壁を物ともせずにぶち破って俺様の頭に叩きつけてくれたのだ。
「ギャーーーー」
俺様は真っ二つに斬られていたのだった。
お忙しい中、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
愛は魔王に勝つ?
コンスの馬鹿力の前に力を使い切った魔王はやられてしまいました。
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
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『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』.
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10センチ下にはその表紙絵と各リンク張ってます
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