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31,誇張。

 

〈赤の使徒〉にブロードソードを突き刺したまま、シアは浮上した。


 赤魔汚染から這い出し、半死半生の〈赤の使徒〉から剣身を引き抜く。

〈赤の使徒〉は、最後の力を振り絞るようにして、触手を伸ばしていく。だが戦うつもりはないようだ。シアは意図を察した。


「まっていろ」


 いったん部屋を出、周囲を探す。やがてまだ生きていた兵を見つけたので、背後から忍び寄り、後頭部を殴りつけ、気絶せさる。その兵を担いで、〈赤の使徒〉のもとに戻る。


〈赤の使徒〉の触手付近に、気絶している兵を投げ捨てた。

 触手がその兵の耳から、脳味噌へと入り込む。これで〈赤の使徒〉は、この兵を使って会話ができる。やがてその兵が、〈赤の使徒〉の言葉を話しだす。


「お前のことを知っているぞ。お前のことを知っている。第参世界〈ノース〉からやってきた、災厄だ。お前ほど、人間でありながら、同じ人間を殺した者を、私は知らない。動くものはなんでも殺したそうだな。お前は、我らが主によって、成敗されたのだ。この、災厄が……」


「主とは、〈理の王〉のことだな。おれの妹、リーアのことだ。 しかしお前は、妹から誇張されたことを吹き込まれたようだな。動くものをなんでも殺すわけがない。小動物や虫をわざわざ殺すか? 正しくは、動く人間ならば、なんでも殺しただろう。だがそれも誇張された事実に過ぎない。あぁ、やはり全ては、真っ赤な嘘だろう」


 反応がないので、よくよく観察すると、〈赤の使徒〉は息絶えていた。


「ようやく妹の配下を見つけたのだが。妹の手がかりを──だが殺してしまうとは。迂闊なことをしたな」


 少しばかり腹が立ったので、触手が入り込んでいた兵の頭を蹴りつぶす。

 それから心から反省した。苛立ちをものに当たるものではない──いや、これは人だったか。


〈赤の使徒〉の心臓を抉り出し、食らう。


 シアの【恩恵】《奪う》が発動。


〈赤の使徒〉の【恩恵】。カテゴリー──魔術。

《汚染創造》。


 能力内容は、やはり複数。

『赤魔汚染を創り出すことができる。一度に創り出す量には限りがあるが、使用者が求める速度で、自己増殖する』

『使用者は、赤魔汚染の耐性スキル《汚染耐性》を、自動で得る』

『《汚染耐性》を、任意の人物に付与することができる。ただしその対象が、すでに【恩恵】を所持していると、付与できない。例外はある』

『赤魔汚染の内部に入ることができる。深さは100メートルまで任意に調整できる』


 現状のシアの所有【恩恵】が、《弓射》、《鎧》、《汚染耐性》。


 これは迷う必要がない。

 さっそく《汚染耐性》に、《汚染創造》を上書きした。


 だが問題がひとつ。〈赤の使徒〉が飼っていた亜人たちは、いまも赤魔汚染の中で飼われている。

 シアとしては、邪魔なだけだ。いわば──中古の家を買ったところ、ゴミのような家具が残っていた状態。


 だがシア側から、赤魔汚染内の亜人たちを全部、外に追い出すことはできる。

 ただし外に出せば、その亜人たちは、シアを襲ってくるだろうが。


「ならば──殲滅戦だ」


 ブロードソードを構えてから、亜人たちを全部、赤魔汚染の外へと強制排出した。


 亜人を皆殺しにするのに、30分ほどかかった。


 まさしく動くものはなんでも殺したが。

 気持ちを切り替えるときだ。


 血にまみれた剣身を、高そうなテーブルクロスでぬぐい取ってから、鞘におさめる。


「セーラと合流するか──」

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