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15,突破。

 

 シアは、3人分の命で支払った『ただの弓』を装備。

 これで聖技《弓射》の発動条件は整った。


 次に高い建物の屋上まで移動し、できる限り、城周囲の見張り〈槍脚〉兵たちを視界におさめる。

 というのも魔術《追尾》で、自動追尾をかけるためには、一度は標的を視界におさめる必要があるため。


 準備を整えたところで、《弓射》を発動。ただの弓に、生成したエネルギー矢をつがえ、上空に向かって放つ。

 エネルギー矢を空中で散開させ、あまたの小型のエネルギー矢を散弾のようにし、降り注がせる。一撃の威力は下がるも、標的は防御する間もなく射貫かれるので、問題なし。


 それらのエネルギー小型矢の雨は、《追尾》によって確実無比に、〈槍脚〉兵たちを貫き始末していった。


「場所を移動するぞ」


 と、セーラを連れて、建物を移動する。


 遠距離からの狙撃のよいところは、敵にこちらの位置を気取られにくいこと。

 さらにシアの狙撃では、まず発射したエネルギー矢は、空高く撃ちあがってから散開している。つまり発射源も特定しにくい。


「視界におさめられた限りの〈槍脚〉兵は全員、いまの『エネルギー小型矢の雨』による一斉狙撃で仕留めている。だからこの狙撃が気づかれるまでには、まだ時間がかかる」


 セーラにそう説明したところ、否定するように、城のほうから法螺貝的な何かが吹かれた。

 これは敵襲を知らせる警報だろう。となると城内からいまの一斉狙撃を目撃された、ということだろう。さすがにこの位置から城内に潜んでいる者まで視認するのは難しい。


「気づかれましたよ、シア様? 次はどうされますか?」


「こちらの位置までは特定されていない。だから身を潜めつつ、《弓射》と《追尾》の組み合わせで、できるだけ敵の数を減らす──くそ」


 素早く空に向かって《弓射》を発動。放たれたエネルギー矢が、上空の〈蝙蝠〉族の兵一体を仕留める。だがこちらが殺す前に、シアたちの居所を城側に伝えたようだ。

 というのも、また法螺貝的なものが吹かれたが、この音色で〈槍脚〉兵たちへの指示が可能らしい。一斉に〈槍脚〉兵たちが、シアとセーラのいる建物に向かってくる。


 セーラが溜息まじりに言う。


「屋上でなく、建物内から狙撃していれば、上空からすぐに見つかることもなかったのに」


「お前、人のやることにケチをつけることだけは得意のようだな」


「はぁ。そういえば、死んだ父にもそんなことをよく言われていましたね」


 自動追尾のため、向かってくる〈槍脚〉兵たちに印をつけていく。

 だが〈槍脚〉たちは、城周囲の見張りだけではなく、城内からもわらわらと湧いてきた。その数はゆうに二百体を超える。これらの〈槍脚〉の軍勢すべてに、追尾目印をつけるのは難しい。


「撤退しますか、シア様?」


「いや、城内の兵力を出してきたのなら、内部は手薄。敵の首領である(あるじ)の首を獲るには、もってこいの展開だ」


「シア様って、わりとポジティブ思考ですよね」


《弓射》のエネルギー矢を上空へ放つ。小型矢の雨に散開させ、自動追尾で〈槍脚〉兵たちを仕留めていく。


「いくぞ、強行突破する」


 シアは屋上から飛び降り、着地。セーラが「こんな高いところ無理です!」と言っているので、《追尾》で浮遊させて下ろす。


「転ぶなよ」


 そこから、エネルギー矢で仕留めた〈槍脚〉兵の死体が転がっている一帯を、駆けぬける。

〈槍脚〉軍勢の第二波が前方から来たため、エネルギー矢を発射。


 今回はいちいち追尾で狙いをつける暇がなかったので、〈槍脚〉軍勢内に撃ち込んでから、エネルギー矢を散開させた。

 小型エネルギー矢が周囲に散らばることで、兵たちを殺していく。ここで撃ち漏らした者は、駆け抜けるさいに、シア自らがブロードソードで斬り殺した。


 こうして〈槍脚〉軍勢を中央突破し、そのまま城の城門をくぐった。


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