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13,〈弓射〉。

 


 セーラの奇襲は失敗。だが〈人馬〉族はたった一体で、シアとセーラ二人に対応せねばならない。

 エネルギー矢の射出速度を考えると、これは致命的ではないか。


 だが〈人馬〉族は、天高くへとエネルギー矢の第2射を放った。

 そのエネルギー矢は空高くで分散し、矢の雨を降り注ぎだした。


 シアは近くの家屋に飛び込んで、凌ぐ。このさいセーラを『エネルギー矢の雨』の範囲外へと飛ばしておいた。


「全体攻撃も可能か。なかなか欲しい【恩恵】だな」


『エネルギー矢の雨』が止んだところで、シアは外に出た。意図的にセーラを『戦力外』としたことで、〈人馬〉族との一対一となった。


〈人馬〉族もそれを承知し、第3射は通常のエネルギー矢を放ってきた。『雨』としてばらすと全体攻撃はできるが、攻撃力は格段に下がる。一対一となれば、通常のエネルギー矢を放ってくるだろう、というシアの読み通りだった。


 こうして放たれてきたエネルギー矢を、シアはブロードソードで弾く。

〈人馬〉族は少なからず動揺したように見えた。このエネルギー矢の一撃を、ただの剣で弾かれるとは思っていなかったようだ。


 絡繰りとしては、ブロードソードの剣身に〈鎧〉を付与してある。実は〈鎧〉の防御力では、エネルギー矢から生身は守れないだろう、と判断。


 そこでブロードソードの剣身に、〈鎧〉付与することで、エネルギー矢の直撃に剣が耐えられるようにしたのだ。

 その上でエネルギー矢を弾くことができたのは、シア自身の剣術の腕だ。


「さすがに勘を取り戻してきたか」


 着実に〈人馬〉族に接近していく。エネルギー矢の第4射が放たれてきたが、これも弾く。〈鎧〉の装着時間が消える前には、〈人馬〉族の間合いに入る必要があるわけだが。


 彼我の距離が近づくことで、エネルギー矢を弾く難易度も高まる。

 第5射、第6射、第7射。


〈人馬〉族もエネルギー矢で仕留めることに固執しすぎたか。

 シアの間合いに入っても、跳躍して回避するのが遅れた。致命的な遅れ。


 シアは、はじめの一閃で前脚を両断。続いて上半身を裂く。湯気だつ内臓がぼろぼろと落ちながらも、〈人馬〉族は第8射を放とうとする。その両腕を切り落とし、大弓を蹴って遠くにやった。


 つづいてシアは、裂いた上半身へと右手を突き入れ、鼓動する心臓を見つけると引きちぎった。

〈人馬〉族が倒れ死骸となったのを確認しながら、心臓を食らう。


【恩恵】──〈奪う〉発動。


〈人馬〉族の個体より奪取した【恩恵】は、聖技〈弓射〉。

 能力内容は、『エネルギー矢を放つ。発射条件として、弓装備が不可欠。一発撃つたびにクールタイムが必要』などなど。


「〈弓射〉のエネルギー矢は、〈追尾〉魔術と組み合わせがいいな。ただ問題は」


〈人馬〉族が使用していた大弓は、人間のシアには大きすぎた。装備できる代物ではない。エネルギー矢を放つには、まず適当な弓を見つけないといけないようだ。


 小走りでセーラが戻ってくる。


「シア様。〈追尾〉で飛ばしたあとは、〈追尾〉で戻してくださいよ!」


「視界から外れたものは操作できないから無理だな。さて行くぞ。これ以上、幹部格と遭遇するのも面倒だ。ああそれと──弓が落ちているのを見たら、拾ってくれ」


「了解しました。〈アーチャー〉という顔ではないですけどね、シア様は」


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