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第七十一話 歓喜と涙(復路・最後の箱根駅伝編19)

7位集団の

ランナー全員が


全力を使い果たし、

過呼吸になりながら、

チームメンバーに

介抱されていたが、


誰一人とて、医療室に

向かおうとはしなかった。


集計の結果が遅れており、

順位が未だに

確定していないことが

心配であったからに

他ならない。


その一方で、

観客は口々に、

予想を言い合って

盛り上がっていた。


「ラスト勝負は

間違いなく

青葉大で決まりだな!」


「いーや!俺は見てたね。

ジョーダイのスパートが

全員を振り切っていたのを!」


「いやいやいや。

関体大、帝強大も

負けてないって。」


「もしかしたら、

山梨国際大ヤマガクだって…」


そこに、大会の係員が

ハンドスピーカーを

持って現れる。


「それでは集計結果、

いや、順位を発表します!」


多くの人がいるにも関わらず、

大手町の空気は、

一瞬で静かになった。



第七十一話 歓喜と涙



「7位!青葉大学!」


「うおおおおおおッ!」


青葉大陣営に

歓声が巻き起こる!


「次に、8位!

埼玉帝強大学!


9位!関東体育大学!」


シード権は残り1枠。


果たして

ジョーダイか!?

それともヤマガクか!?


全員が固唾をのんで

見守っていた。




「10位!山梨国際大学!!


 11位!城西拓翼大学!!」


ヤマガク陣営では

歓喜の叫びが

巻き起こり、


それとは対照的に、

ジョーダイメンバーは、

何が起こっているのか

理解できず、ただただ

呆然としている。


「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」


蒼太や涼介より先に、

車で大手町についていた

レンとシュウ、


そして、

その二人に

介抱されていた

圭佑が一斉に泣き出した。


この号泣を見て、

ハッと我に返った

他のメンバーも


この認めたくない

現実を理解し、

激しく泣き崩れる!



城西拓翼大学。


序盤の遅れや

山登りでの失速もあり、

往路成績は14位。


他方、復路では

見事な追い上げで

復路成績は3位と

好成績を残すが、


わずか1.数秒、

山梨国際大に届かず

総合11位、シードを

落としたのであった。


隣の陣営では、

山梨国際大のメンバーらが

互いに握手をしたり

抱き合って喜びを

分かち合う。


その姿を見ると、

どうしようもなく

悔しくて、

しょうがなかった。


その時、1人の男が

ヤマガクメンバーに

喝を入れる。


「静かにしろッ!」


山梨国際大・主将キャプテン

エドワードであった。


ヤマガクの全部員が

直立不動となる。


「となりにいる

ジョーダイのことも考えろ!

あまりにも喜びすぎだ!


自分たちのことだけじゃなく、

他人のことも

大切に思えないヤツに

駅伝を走る資格はないッ!


結果は分かったんだ!

すぐに全員撤収だ!!」


山梨国際大のメンバーは、

ぞろぞろと会場を後にした。


しかし、その目は

来年の箱根に向けて

強い光を放っている。


(来年はもっと上にいく!)


強い決意がみなぎっていた。


山梨国際大のメンバーの

ほとんどが大手町を

去ろうとした時、


レンとシュウ、

そして圭佑の方に、

エドワードが近づいてきて

深々と頭を下げた。


「ウチのメンバーが

粗相して本当に済まない。」


それに対し、

レンとシュウが

涙を拭いながら答える。


「いや。気にしないでいい。

その心遣いだけで十分だ。」


「レンの言うとおりだ。

立場が逆なら俺たちも

大喜びしてたさ。


エドワードのおかげで

少し救われた気分だよ。


ありがとうな。」


レンとシュウは

二人で圭佑を

抱きかかえながら、


ライバルと

握手を交わした。


そして、

エドワードが

下を向く圭佑の顔に

両手を当てて、

健闘を讃える。


「最後まで諦めない君が、

あの5人の中で、

1番勇敢で…

そして素晴らしかった。


心から感動したよ!

ナイスラン!」


こうして、ヤマガクの主将、

エドワード・シュナイダーは

「最後に、

ソウタとリョースケにも

よろしく伝えてくれ。」と

言い残して

その場を去って行った。

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