第六十四話 あの日を乗り越えて!(復路・最後の箱根駅伝編12)
(流石は強豪校だ…。)
城西拓翼大学の前を行く
並走を続けている
早稲田学院大と國學舎大に、
なんとか1分差まで
詰め寄ることができた
涼介であったが、
そこから距離が
なかなか縮まらない。
ライバル校の
ランナーもまた、
復路のエース区間である
9区を任されただけあって、
その実力は
折紙付きであった。
ゆえに、涼介も
会心のスパートを
仕掛けてはいるのだが、
そう簡単には抜かせては
もらえないのだ。
(だが…それでも
後ろの青葉大との差は
広げなくちゃいけない!
なんとしても!
俺の走りで
最高の流れを作って
圭佑につなぐんだ!)
第六十四話 あの日を乗り越えて!
ラスト500メートル!
ここで涼介の脳裏に、
あの事故から今日までの
記憶が走馬灯のように
駆け巡る…。
『圭佑!頼む!
目を開けてくれ!』
『やめろ!今は触るな!
頭を揺らすんじゃない。
致命傷になるぞ!!』
(あの日…、俺たちは
本当の『悲劇』を知った。)
『皆んな!圭佑がッ…
圭佑が目を覚ましたぞ!』
(本当に…
あの日が人生で
1番嬉しかったな…。)
『すげーじゃん!圭佑!
また自己ベスト更新!
これなら、
一緒に箱根に出れるぞ』
(アイツは…
部に復帰してから
誰よりも努力していた。
ラストスパートにかける
スタイルを捨てて、
安定力のある走りを…
血の滲む思いで
習得したんだ!)
一方、鶴見中継所では、
タスキを片手に巻き、
最後の直前を激走する
涼介の姿が見えていた。
「涼介ーッ!
ラスト!ラストーッ!」
いつものように、
明るく声をかけてくれる
圭佑が中継ラインで待つ!
最後の力を振り絞り
必死に走る涼介!
そして遂に!
2人は、この日、
最高の笑顔で
タスキを繋いだのであった。




