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第六十三話 1秒でも早く、前へ!(復路・最後の箱根駅伝編11)

箱根駅伝8区、

終盤戦。


トップ法正大学に

2位の東洋文化大学が

追いつこうとしていた

その頃、


後方に位置する

城西拓翼大学の石川涼介は、

沿道で応援する両親と

竹村たちのエールに気づくと、


お礼の代わりだろう、


走りを止めることなく

二度、うんうん頷き、

これに応える。


それと同時に、

2年前のこの日に、

自身が棄権して

しまったこと、


レース後、

ショックのあまり、

放心状態の自分を

最後まで庇った

竹村たち

当時の四年生の姿を

思い出していた。



第六十三話 1秒でも早く、そして前へ!



2年前、

箱根駅伝終了後の

報告会にて。


「今回の敗因は、

全て、僕たち四年生の

不甲斐なさにあります。


このことが、

後輩たちへの重圧に

なってしまいました。


本当に…、

大変申し訳なく

思っております。


また、途中棄権という

結果になりましたが、

これは、走った本人が

一生懸命だったゆえに

起きたことなので…、


どうか、

石川のことを責めないで

やって下さい。


お願いします!」


当時、主将キャプテンであった

竹村は涙ながらに

関係者やマスコミ各社に

これを訴えた。


また、

他の四年生も竹村同様、

コメントを求められる度に、

「涼介を責めないでください。」

とだけ言い、

頭を下げて回っていた。


かつて、

城西拓翼大学史上、

最強の世代と呼ばれた

竹村たちの最後は

悲しい結末を迎えたが、


その心の姿勢もまた、

間違いなく

歴代ナンバーワンであったと

今日に至るまで

称えられている。



そして、今…!


「俺は…ッ!

今日、箱根ここ

竹村さんたちの想いに

応える走りをするんだ!


1秒でも早くッ!

前に進んで、


もっといい順位で

圭佑にタスキを渡すことが


エースとして、

キャプテンとしての

俺の仕事だ!」


前方にいるであろう

早稲田学院大の背中は

いまだ見えないが、


涼介は力強く、

箱根路を駆けていた!


快調に飛ばす9区も

残りついに、

あと残り1キロ!


涼介の視界が

並走する早稲田学院大と

國學舎大学をとらえる!


(一気に抜いて

5位に浮上だ!)


涼介のスパートが

風を切り裂いた!

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