第六十話 仲間のエール、ライバルからの檄!(復路・最後の箱根駅伝編⑧)
青葉大学のランナーの
視界から、城西拓翼大学の
戦闘服が1メートル、
そして2メートルと、
徐々に遠ざかっていく。
「よぉぉっし!!勝負ありだ!」
あと残り100メートル!
蒼太のラストスパートが
完璧に決まっていた!
(1秒でも早く!
涼介に繋ぐんだ!
涼介なら、きっと…ッ!)
沿道のからの
ジョーダイコールも
大きくなる!
「来い!蒼太ぁッ!!」
中継ラインで待つ涼介も
観客に負けないほどの
大きな声でエールを飛ばした!
(観ているもの全てを
本気にさせてしまう…
そんな走りができるから
お前は誰よりも強いんだ!)
蒼太も歯を食いしばり、
さらに加速をして、
後方との差を広げようとする…
その時だった!
第六十話 仲間のエール、ライバルからの檄!
あと5メートル!
蒼太が
膝から崩れ落ちるように
倒れ転び、地面に手をついた。
「アーッ!!!」
誰もが声を上げて驚く。
涼介は、
必死に手を伸ばし、
タスキを受け取ろうとするが、
大会係員がこれを制止!
走者の体の一部が
中継ラインを割らない状態での
タスキリレーは認められて
いないからだ。
(くそうッ!蒼太ッ!)
後方からは、
最後の追い上げを見せる
青葉大と山梨国際大、
さらには、並走する
関東体育大と埼玉帝強大が
見えていた。
(何だ?視界が回る?
真っ直ぐ走れねぇ…。)
しかし、そんな中でも
何とか立ち上がる蒼太!
凄まじい歓声で
誰が何を言っているか
わからない。
目の前にいる
涼介が手を伸ばし
泣きながら
何かを叫んでいる!
ついに意識が
朦朧としてきたその時、
一人の男の檄が
頭の中に響いた!
「しっかりしろよ!
蒼太!テメーはッ!
こんなところで
くたばるヤツじゃねーだろ!!」
ハッと意識が戻る!
(は…ハヤミ!?
ワセガクの速水瞬が
沿道にいるのか?
え?でも、
今はアメリカにいるんじゃ?)
「いつか
俺と一緒にマラソンで
勝負するんだろ!
走れ!蒼太!」
声のする方に顔を向けたが
そこにはすでに
速水瞬の姿はなかった。
「速水ぃッ!
テメーなんかに
負けてたまるかよッ!」
青葉大学のランナーが
すぐそばまで迫っていたが、
最後の気合いを振り絞り、
涼介とタスキリレーを
やり遂げ、その場に倒れ込む!
(あとは任せろ!
よくやったぞ!蒼太!!)
タスキを受け取った
涼介が箱根路に駆け出した!
「すまん…。
頼む…涼介…。
圭佑に…アイツのために
タスキを…必ず…
つないでくれ…。」
ここでついに
蒼太の意識が途切れる。
この日、
救護室に運ばれた蒼太は
意識がもどるまで、
涼介と圭佑の名前を
ずっと呟き続けていた。




