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第五十八話 鳴り響け!ジョーダイ・コール!(復路・最後の箱根駅伝編⑥)

昨日の往路とは

うって変わって、


好天で気温も高く、

ランナーにも追い風が

吹いたこともあり、


箱根駅伝復路7区は

好記録ラッシュとなった。


2位につけている

東京駒澤大学のランナーが

区間新記録を叩き出し、


トップ法正大学との差を

2分40秒まで詰めると


3位の中央義塾大学、

4位の東洋文化大学、

5位の國學舎大学も


昨年の区間賞の記録タイム

上回る走りを見せ、

大逆転優勝への希望を

次の走者に託す!


そんな中、

9位と順位を上げた

城西拓翼大学の修太は、

区間5位となったが


東京駒澤大学により更新された

区間新記録のタイムよりも

15秒しか違わない。


これを考慮すれば、

双子の兄の蓮太と同様、

逆転勝利の流れを呼び込む

最高の走りをしたと

言っていいだろう。


タスキを受け取った

8区の蒼太も、

この流れに背中を

押されるように

快調にペースを刻んでいた。



第五十八話 鳴り響け!ジョーダイコール!



8区、10キロ地点。


監督車の櫛部川監督は

マイクをとり、

蒼太に対して、

アツく、そして優しい口調で

エールを飛ばす!


『そうそうそう!

調子いいぞー!蒼太!

そのリズム、そのリズム!


タン、タン、タン、

タン、タン…!


苦しくなっても

このリズムを思い浮かべて

いけば大丈夫だからなー!


しっかり、

キャプテンの涼介に

タスキを繋いでいこう!』


右手を軽く上げて、

蒼太もこれに応えた。


不安など、

マイナスの感情は、

ときに不調ブレーキ

引き起こす。


蒼太にぬけぬけ病の

疑惑がある以上、

今は余計なことを

考えさせないことが

大切なのだ。



その頃、

8区のおよそ15キロ地点

復路中盤戦において

最大の難所である

遊行寺の坂の前では…


法正大学などの

上位校が通過した

その後方を心配そうに

見つめる一人の女性がいた。


歳は40ぐらいだろうか。


両手には『蒼太』と

大きく書かれた

垂れ幕を持っている。


そこに、

城西拓翼大学駅伝部の

ジャンパーを着た

10人ほどの集団の中の

1人が彼女に気づいた。


「あの…すみません!

もしかして、

西條蒼太くんの

お母さんですか?」


「ええっ!?

そ、そうですけど…。


皆さんは…?」


「やっぱりそうだ。


僕らは蒼太君の

三つ上の代の

ジョーダイOBなんです!」


「あー!あなた!

もしかして、大和くん!?


蒼太が1年生の時の

キャプテン君じゃなーい!


あの時の

あなたの9区区間賞、

感動したんよ…。


だから、

本当にごめんなさいね。


あの日、

蒼太がタスキを繋げなくて。」


蒼太のおかんは、

鼻をすすり、

今にも泣きそうになる。


そこに、もう1人の

青年が優しく声をかけてきた。


3年前、

箱根駅伝の出場が叶わず、

自身が大切にしていた

ハチマキを蒼太に託した

山之内和月である。


「お母さん。

そんな…本当に全然、

謝らなくていいんですよ。


だって蒼太君は、

僕たちOBにとって

永遠の誇りなんですから。


それから…。


今日、僕らの代は、

蒼太君ならきっと

当日変更で8区を走る、


そう感じたので、

このユニフォームを着て

集まったんです。


あの日、

最後まで諦めずに

タスキを繋ごうと

してくれた頑張りに、


俺たちの気持ちを

繋いでくれた蒼太君に

お礼のエールを

送らせてくれませんか!


お願いします!」


「「お願いします!」」


気がつけば、

他のOBメンバーも集まり

全員が蒼太のおかんに

頭を下げていた。


早くも皆、

あの時のことを思い出し、

涙が止まらなくなる。


「皆んな、

顔をあげてください。


卒業してからも

息子の事を、こんなに

大切に想っていただき、


本当に…

ありがとうございます。」


今度はおかんが頭を下げた。


そして、

しばらくの沈黙のあと、

大和が景気良く声を上げる!


「よっしゃ!それじゃあ、

久しぶりにアレやるぞー!


音頭は俺がとるから

全員ついてこい!」


「おおー!!頼むぞ大和!」


「おおしッ!


苦しきぃ〜ときの〜ッ!

兄と為りィ〜!!


楽しきぃ〜ときのォ〜ッ!

仲間ともと為れぇ〜!


心を込めて、魂震わせ、

天にとどろけ!大鐘音だいしょうおん


ジョーダイ・コール!!」



「行け行け!ジョーダイ!!」


「「行け行け!ジョーダイ!!」」


「行け行け!蒼太!!」


「「行け行け!蒼太!!」」


周囲の観客も

この絶叫エールに

最初は戸惑っていたが、


ついには、

ジョーダイ・コールに

合わせて旗を振り始め、

大合唱となる。


そして、

このエールは、

はるか後方の

蒼太にも届いていた!

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― 新着の感想 ―
[良い点] レンくん、ショウくんの高校時代の苦悩が描かれていて、 そこから、蒼太くんとのエピソードに持って行った所が感動しました [気になる点] 蒼太くん、無事に走りきってほしいです [一言] ジョー…
2024/01/28 13:09 イクヨネルネル
[良い点] レン、シュウの高校時代の苦悩の描写に感動しました。 しっかり最後の年は結果も付いてきて、、、 [気になる点] やはり、ソウタのぬけぬけ病が発症するかしないか。 [一言] 久々ソウタの母親も…
2024/01/27 22:33 マスターネルネル
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