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第五十七話 〜回想②〜 本当の仲間!(復路・最後の箱根駅伝編⑤)

『よう!お前ら双子だけあって

やっぱ、顔そっくりやん!


どっちが兄貴なん?


まあ、この際、

どっちがどっちでも

ええわ!


一緒に箱根目指そうや!』


3年前。


蒼太世代が1年生の時。


これが、当時、関西訛りが

まだ抜けきれていない

石川涼介との出会いであった。


(まるで

マシンガントークだな。)


なんとなく言葉の節々に

引っかかる部分があるが、


『一緒に箱根を目指そう。』


そう言われたことが

二人は嬉しかった。


そして

初めての夏合宿。


『はっきり言って力量不足。

お前ら双子は、

今すぐ東京に帰れ。

強制送還だ。』


当時監督であった

平林に言われたことに

ショックを隠しきれなかった。


放心状態のまま。

合宿所の入り口に

差し掛かると

荷物を持った圭佑が

泣きじゃくっている。


『ぐすっ、ぐすっ。


レン〜、シュウ〜…。

俺もダメだった。


でも、俺ばぜっだいに

あぎらめだぐない。


絶対にいつか5人で

タスキを繋ぐんだから。』


(まだ挫けちゃダメだ…。)

この時、そう思えた。


さらに、5ヶ月後の

箱根駅伝では…


『いけーッ!蒼太!』


『まだ間に合う!

あと少しだーッ!』


寮のテレビで

懸命に応援する

蓮太と修太!


人の走りでこんなに

熱くなったのは

生まれて初めてだった。


しかし…。


『あーっと!

残り1秒ーッ!


なんということでしょう!

城西拓翼大学、西條蒼太!


この日、急遽!

当日変更となった1年生ッ!


あとたった1秒差で

タスキを繋ぐことが

できませんでしたーッ!』


膝をつきうずくまって

号泣し続ける

蒼太の姿を見て、

悔しさが止まらない。


蒼太あいつはこんなに

頑張っていたのに…、


自分たちは

入学してから今まで

一体何をしていたんだ…。)


この日以来、本気で

そして、がむしゃらに

箱根駅伝を目指した。



そして、今!


修太は

双子の兄・蓮太と共に

箱根に挑んでいる!


(全日本予選で棄権したり

色々あったのに…。


こんな時に、


何で

1年の頃のことばかり

思い出すんだろうな…。)


それは、

レンとシュウにとって、


この唯一無二の

同期なかまとの出会いが、


陸上人生の

ターニングポイントに

なっていたからに違いない。


(皆んながいたから、

同期の皆んなと出会えたから、

俺たち双子は頑張れたんだ!


だから、俺たちの気持ち、

全部ひっくるめて

ありったけ持ってけよ!

蒼太!!


お前はきっと、

ぬけぬけ病じゃない!


仮にそうだとしても、

そんなもんに

負けるタマじゃねぇよ!


大丈夫だ!


お守り代わりに、

俺らの駅伝魂をッ!

このタスキに

込めとくからな!)


平塚中継所で待つ

蒼太が見えた!


修太の脳裏に

様々な記憶が

一気に蘇る!



『絶対に〜。

俺たちは〜…

5人でタスキを繋ぐん…


うぇぇっ…』


『ああーッ!バカ蒼太!

俺のベッドに

吐くんじゃねぇ!』


『おェェェ』


『あーッ!レン、シュウ!

今度は涼介があーッ』


『ああ、もうッ!圭佑!

そこのタオルとってくれ!


蒼太ぁ、涼介ぇ!


テメーら二人は

もう俺らの部屋、

出禁だからなーッ!』



(なんで、

蒼太アイツの姿が見えた瞬間とたん

こんなくだらねーことを

思い出すんだよ。


今は箱根駅伝だろうが!


これも全部、

蒼太おまえのせいだからな!


でも、マジでありがとな!

俺たちを本気にさせてくれて!


そしてッ!

本当の仲間でいてくれて!)


ここで、

修太のラストスパートが放たれる!


前方を行く関東体育大を

一気に抜き去り

9位に浮上!


無事、

その役目を果たし

鬼門となる8区を任された

蒼太にタスキを

しっかりと繋いだのであった。

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