第五十六話 あの日を乗り越えて(復路・最後の箱根駅伝編③)
(待ってろよ!蒼太!
必ずいい順位で
お前に繋ぐからな!)
7区のスタート直後は
やや下り気味のコースのため、
ややハイペース気味に
突っ込んで流れに乗るのが
セオリーだ。
元々、
双子の兄である蓮太と同様、
下り坂が得意であることから、
順調にペースを刻み、
10位の埼玉帝強大学の
背中が見える位置まで
追い上げていた。
(蒼太たちがいた…、
監督や先輩、後輩がいた!
だから、俺は本気で箱根を
目指すことができたんだ!)
気持ちを込めた走りが、
帝強大との距離を縮めていく!
そして、7区の中間地点。
ついに!
城西拓翼大学が
単独10位に躍り出た!
第五十六話 あの日を乗り越えて
(ジョーダイ!?
3分以上あった差を
一気に詰めてきたのかよ!
こんな双子がいるなんて
高校時代には
聞いたこともなかったのに!)
帝強大学のランナーは
驚きを隠せない!
他方、
城西拓翼大学の監督車内では、
マネージャーの梓が
大はしゃぎで
喜びを爆発させていた!
「レンさんもシュウさんも
本当にすごいですよ!
これなら行けますよ!
総合7位!!」
そう言いながら、
この日は助手席に座る
櫛部川監督の方をみると、
笑顔の梓とは
対照的にずっと涙ぐんでいる。
「そうか。レン、シュウ…。
『あの日』のことを
ついに乗り越えることが
できたんだな。」
少し不思議に思いながら、
監督に尋ねる。
「あの日…?
2年前の全日本予選の
ことですか?」
「いや、それもあるが、
ずっと前の話だ。
あの時、あの2人は
誰よりも孤独だったんだ。」




