表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/80

第四十九話 せめて今だけは!(箱根駅伝・往路激走編⑥)

(オレも、大きくなったら

パパとジョーダイで

タスキリレーしたいー!)


(えー!?わたしもー!)


(てっちゃん!

私にこんっだけ、

苦労かけるんだから、


4年間、必ず箱根駅伝で

活躍してきなさいよ!)


2人の子どもと妻の言葉を

思い出し、宗像哲也は

目がしらが熱くなるのを

感じていた。


(ごめんな…。パパは

そこまで頑張れなかったよ。


本当にごめん…。


大人なのに…、

父親なのに…、

いっぱい約束破って、

嘘ついてばっかり、

本当にダメだよな。


そのうえ、

根っからの駅伝バカで

単身赴任の学生寮暮らし、


まともな収入もなく、

今は嫁さんのすねかじり。


家族に会えるのは

月に一回の門限フリーの日…。


こんなの普通に考えたら

まともな父親じゃねーよ。


でもな、普段は

走ることしか能がない

どうしようもないヒモ男でも、


箱根駅伝きょうだけは、

世界で1番カッコいい男に

なれるんだってことを

見せなきゃいけないんだ!)


箱根駅伝4区。


城西拓翼大学・宗像は、

15キロ地点まで快走を続け、

13位から11位まで

順位を上げていた。


しかしッ!



第四十九話 せめて今だけは!



ここにきて、

腰に激痛が走る!


(くそうッ!

最後の最後だってのに!

急ににガタが来はじめたかッ!?


でも、せめて、

今日だけとは言わない…。


俺が走っている

この4区だけでもいいんだ!


家族やなかまのためにも!


俺はいつもどおり、

カッコいいヒーロー

なくちゃいけないんだよ!)


かつて

実業団でエースだった男の

意地と気迫が、

その痛みを跳ね除けた!!


さらにギアを上げ、

前方のランナーを追う!


残り1キロ地点で

並走していた

2チームを抜き去り

単独9位に浮上!


そして、そのまま、

ラストスパート!


30を過ぎた男とは

まったく思えないほどの

ハツラツとした笑顔で

5区・力石にタスキを繋いだ!


力石リキ!!

お前も自分の彼女よめ

いいとこ見せろよ!


そして、みんな、

本当にありがとな…。)


この時、

宗像哲也というランナーの

火はすでに燃え尽きていた。


しかし、今に至るまで

城西拓翼大学の部員全員、

宗像が競技引退を覚悟して

臨んでいたことなど、

まったくもって

想像だにしていなかったと言う。


長年の厳しい鍛錬で培われた

力強いランニングフォームや


ただただ前だけを見据え、

晴々とした表情を見せる

宗像を見て、


一体誰が、

その不調を見抜けただろうか。


しかし、宗像を後方の

監督車から見守っていた

濱上コーチだけは

涙が止まらない。


監督車に付属してある

マイクを大音量にし、

ゴール直後の宗像に

お礼を言う!


「よく耐えたな!ありがとう!!

マジでかっこよかったぞ!」


宗像も監督車に向かい、

右手でガッツポーズを取り

満面の笑みで応えたが、


監督車が見えなくなったことを

確認すると、腰を抑えながら

ばたりとその場に倒れ込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] タカハシ、ツルガ、タカサゴの粘りの走り。 そして、ムナカタの執念。 [気になる点] ムナカタのこれからの人生に、最後の走りの影響がでてしまうのではないのか、、、 [一言] 前半戦を何位で終…
2024/01/08 17:33 マスターネルネル
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ