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第四十五話 下克上の法正大!(箱根駅伝・往路激走編①)

1月2日、午前8時前。


東京・追手町。


気温はすでに

マイナスを下回っており、

風も少し強い。


さらに、

小さな粉雪が妖精のように

舞い踊っている。


そのような中で、

箱根駅伝に選ばれし

1区の選手がスタートラインの

読読よみよみ新聞社前に立っていた。


12月29日の

区間エントリー発表の時点で、

1区の区間賞候補は、

中央義塾大学の柴崎と

山梨国際大学のエドワードの

二人に絞られていたのだが、


この悪天候と

当日の駆け引き次第では、


どの大学が

1区でトップになれるかは、

誰にも予想できず、

まさに神のみぞ知る、

という状況であった。



第四十五話 下克上の法正大!



午前8時!


スタートピストルの合図で、

各校の選ばれた男たちが、

箱根駅伝のスタートを切った。


気温は相変わらず低いままだが、

風はますます強くなっているため、


ここは全体的にスローペースに

ならざるを得ない。


中央義塾大の柴崎と

山梨国際大のエドワードは、

積極的に先頭に立つことで、

自分の得意なペースを作り、

トップ集団の主導権を握ろうと

画策していたが、


最初の1キロが

3分弱のペースでは、


やはり、

ライバルとの差を広げられず、

もどかしい思いをしていた。


しかし、

その先の3キロ地点で

ついにレースが動く!


青葉大学のランナーが

柴崎とエドワードを

押しのけるように先頭に立ち、

そのまま、集団から飛び出した!


このまま、

逃げ切るかと思われていたが、

この仕掛けにより全体のペースも

著しく上がったため、


エドワードが本来の走りを取り戻し、

そのまま、逆転!

トップに躍り出る!


そして、

1区最大の勝負どころである

六郷橋の坂に差し掛かった時、


エドワードの

後ろにピッタリと付いていた

中央義塾大・柴崎が、


ここでギアを上げようと

アウトコースに進路を変えた…


その瞬間であった!


「よう!ここまで

真冬のデートは満喫できたか?


こっから先は、

オレンジ・エクスプレスの

独壇場ターンだ!」


法正大学の市原丈一郎(四年)が、

鮮やかな橙色の長髪をなびかせながら

得意の超ロングスパートを仕掛る!


そして、そのまま

歩道側から一気に二人を置き去りに!


(一体、

何処から出てきやがった!?


しかも、この環境下コンディションで、

このスピードは尋常じゃないぞ!!)


共に世代トップクラスの

エドワードや柴崎ですら、

法正大学の、爆発力に

驚愕を隠すことができない!


もはや、この段階で

法正大を追えるチームは

どこにも存在していなかった。


この結果、

法正大学はトップで

二区の徳丸桂馬にタスキを

繋ぐことに成功!


あの破天荒な宣言通り、

予選会からの下克上が

現実味を帯びていた。


また、

優勝候補として挙げられていた

東洋文化大学と東京駒澤大学が

ともに出遅れたこともあり、


2位以下は

大番狂せを予感させるほどの

超混戦状態となる!


まさに、

この先何が起こるのか、

ますます分からなくなるほどの

波乱の幕開けであった!


なお、鶴見中継地・時点での

順位は以下のとおりである。

(また、大学名の隣の秒差は、

トップとの差である。)


 1位 法正大学

 2位 山梨国際大学  1分00秒差

 3位 中央義塾大学  1分16秒差

 4位 國學舎大学   1分18秒差

 5位 青葉大学    1分24秒差

 6位 早稲田学院大学 1分33秒差

 7位 東京農林大学  1分35秒差

 8位 関東体育大学  1分36秒差

 9位 東京駒澤大学  1分38秒差

10位 東洋文化大学  1分41秒差


そして、

スタート直後から、

集団の後方で様子を見ていた

城西拓翼大学の高橋拓生は、

自滅だけは回避しようと

冷静に自分のペースを守り切り、

トップから1分49秒差の

14位でなんとかタスキを繋いだ。


これは、

順位としては芳しくないが、

10位とのタイム差が

あまり大きくないことを鑑みれば、

上々の出来と言えるだろう。

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