第二十九話 濱上順平の秘策①!
「なるほど…。」
不敵な笑みを含みながら、
監督の櫛部川は、
コーチの濱上の方を見る。
「今までの城西拓翼大学とは違い、
往路重視ではなく、
復路に主力を置いたか…。
リスクを最大限に回避つつ、
最高の結果を生むための
カウンターアタック型と
名付けてもいいオーダーだな。」
近年、
超高速駅伝と呼ばれるようになった
箱根駅伝においては、
各チーム、
往路と復路の戦力を
おおよそ6:4の割合で
分散する傾向が強い。
より具体的に言えば
核となるの選手が4人いた場合、
往路は集団での競り合いが多いため、
内3人を配置し、
残りの1人を復路に置く。
そして、それ以外の選手を
コースの適切などを考慮して
区間配置するのだ。
しかし、
城西拓翼大学コーチ、
濱上順平が考案した区間配置は、
その傾向とは明らかに異なっていた。
第二十九話 濱上順平の秘策①!
濱上案は次のとおりだ。
【1月2日・往路】
1区 高橋 拓生(3年)
2区 高砂 治希(3年)
3区 敦賀 悠慎(3年)
4区 宗像 哲也(2年・元実業団)
5区 力石 守 (3年)
1区から3区には、
元サッカー部トリオを配置した。
しかしながら、
他校のエース級が投じることは
十二分に考えられるため、
前半戦はひたすら辛抱しかない。
このような場合、
失速は間違いなく
命とりになるであろう。
最悪、
シード権が与えられる10位よりも
下の順位であったとしとも、
これを狙える位置にいることが、
なによりも肝心となる。
そして、
4区と5区で可能な限り、
順位をシード権内の10位以上に、
という算段なのだが、
そのためには、
準エース区間・4区を走る
宗像哲也の復調と
5区の山登りに適性のある
力石の好走が
必要不可欠なのだ。
復路に主力の多くを
残したとは言え、
往路は誰1人として
失敗の許されない
オーダーとなった。
一方、復路は…。




