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第二十三話 治希だけができる走り!(全日本大学駅伝編⑥)

全日本大学駅伝、

第三区中継地点での順位は

以下のとおりである。


1位  東京駒澤大学

2位  中央義塾大学

3位  東洋文化大学

4位  早稲田学院大学

5位  青葉大学

6位  城西拓翼大学

7位  國學舎大学

8位  埼玉帝強大学

9位  山梨国際大学

10位 関東体育大学

11位 神奈川専修大学

12位 純天王寺大学

13位 中英学院大学


全体的に二区が

スピードレースと化したことにより、

14位以下のチームが

8位までに与えられる

シード権争いから

ふるいにかけられた形となった。


城西拓翼大学とトップとの差は、

1分48秒!

現在シード権内の6位と

順調な滑り出しを見せている。


しかし、

二区で失速し大きく順位を落とした

13位の中英学院大学との差は、

1分以内であり、シード権争いは

まさに先の読めない展開となった。



第二十三話 治希おまえだけができる走り!



一方、城西拓翼大学の食堂では…。


怪我により、留守番を命じられた

山之内太陽(3年)と神崎一心(2年)、

そして、荻久保圭佑(4年)のほか、

メンバー外となった部員が、

テレビ中継でレースの行末を見守っている。


テレビ画面には、

國學舎大や埼玉帝強大と

6位グループを形成する

高砂治希が写っていた。


「やばいな…。走りが硬すぎる…。」


太陽が片手であたまを抱えて下を向く。


「やっぱり…

太陽さんもそう思いますか。

たしかに、タスキ貰った時から、

すでに顔引きつってましたよね…。」


神崎も両手であたまを抱えながら、

背中を反った。


「ハルキさんって…もしかして、

意外と緊張するタイプなんですか?」


後ろにいた一年生が、太陽に尋ねる。


「そうかもしれないな…。

でも、前の同期二人が好走して、

かつ、四年生に繋げないといけない状況なら

普通の人間なら誰でも固くなるよ。」


(これはブレーキになる…。

来年も予選会行きになるかもしれない。)


テレビを観ている部員の誰もが

それを覚悟をしていた。


そして、

3区を走っている高砂治希は…。


レースの半分を過ぎてなお、

太陽たちの分析どおり、

大いに気持ちが空回りしていた。


(くそ!俺だって練習じゃあ、

拓生や悠慎に負けてないのに!


こんな走りじゃ…、

全日本で悔しい思いばかりしてきた

四年生に顔向けできねーよ!


俺だって箱根駅伝を走ったんだ!


だから、全日本でも結果を出さないと!

もっと頑張らないといけないんだ!)


しかし、そう思えば思うほど、

本来の走りを見失ってしまう。


また、同じ6位グループである

國學舎大のランナーは

治希の不調を感じとっていた。


(どうしたんだ?城西拓翼大学。

マジでコイツ、ガッチガチじゃねーか。


これなら一気に出し抜けるな。)


ついに、

國學舎大と埼玉帝強大が

まるで申し合わせたように、

城西拓翼大を置いて前に出る!


だが、治希はそれに反応できず、

1メートル、2メートルと離されて、

単独8位に転落した!


さらに後方から、

一区で出遅れていた山梨国際大学が

徐々に距離を詰めてきている。


このままでは、本当にシード権が危うい!


(くそ!くそ…!

何でこんな事になるんだ!

でも、こんな時、四年生ならどうする!?。)


その時、治希は、

頭の中が真っ白になりながらも、

ふと、四年生たちの言葉を思い出していた。


『間違っていても、死ぬわけじゃねー!

正々堂々としてればいいんだよ!』


(涼介さん…!)


『どんな状況でも気持ちを繋ぐのが

城西拓翼大学ジョーダイの駅伝なんだ!』


(蒼太さん…!)


『どんなに悔しい思いをしても、

俺たちは這い上がることができたぞ!』


『そうそう。何度でも立ち上がる、

それでこそジョーダイだよな!』


(レンさん…!シュウさん…!)


『スパート勝負も

強くなってきてるよ!


粘って粘って、最後は打ち勝つ!


治希らしくてカッコいいじゃん!』


(圭佑さんッ…!!

俺は…俺は…!!!)


ドクンッ!!


何かが覚醒したかのように、

心臓が大きく音を立てる!


高砂治希の両目に、

いつもの輝きが戻った!


「俺にはな!

いや、俺たち三年…逆襲の世代はよッ!

たとえ勝ち目が見えなくても、

絶対に『自分に負けない』って言う

最高の矜持プライドがあるんだよ!」


追いついてきた山梨国際大学を

振り切るように、治希が加速!


あっと言う間に、前方を走っていた

國學舎大と埼玉帝強大を捉え、

そのまま追い抜いた!


(何なんだ?

ジョーダイがいきなり復活した!?

ありえないにもほどがあるだろ!)


追い抜かれたライバル校のランナーは、

驚きを隠すことができない。


なぜなら、長距離スポーツでは、

一度ペースが乱れてしまうと、

本調子に修正することが

非常に困難であるとされているからだ。


ゆえに、治希のような例は、

極めて稀であると言えよう。


そして、

寮の食堂では…。


テレビ中継を見ていた

城西拓翼大学の部員たちは、

先ほどとは打って変わって

大盛り上がりであった!


「流石は意外性の高砂だー!

本当にもう…!

最初はどうなることかと思ったよ!」


「まったくヒヤヒヤだ!」


はしゃぎ出す彼らを後方で見ながら、

四年生・荻久保圭佑も、

静かにガッツポーズを決める!


(よし!いいぞ、治希!


『どんな時でも諦めずに、

最後は自分に打ち勝つ!』


それをできるやつが、

勝負事に意外性をもたらすんだ!


まさに、誰よりも粘り強い…

治希おまえだけができる走りだよ!)


こうして、息を吹き返した

城西拓翼大学・高砂治希は、

再び6位に浮上!


四区で待つエース石川涼介に

無事、タスキを繋いだのであった!

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― 新着の感想 ―
[良い点] タカサゴハルキの生き返りの爆走シーン。 [一言] 自分もタカサゴハルキは潜在能力が計り知れないと感じていたので、胸が熱くなった。
2023/11/24 19:42 マスターネルネル
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