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第二十一話 拓生(ヒロキ)の算段!(全日本大学駅伝編④)

全日本大学駅伝、第一区。


空は雲ひとつなく晴れ渡る。


11月のこの時期にしては、

気温はやや高めだが、

絶好の駅伝日和と言えよう。


スタート直後から、

各大学が応援合戦を繰り広げていたが、


500メートルを過ぎたあたりから、

沿道には一般の観客たちがメインとなり、

人気・実力ともにトップクラスである

中央義塾大・早瀬刃ハヤセ ジンへの

応援が鳴り止まなかった。


よほど贔屓のチームがない限り、

観客は強い者の味方をするものだが、


今回に限って、観ている者すべてが、

その圧倒的な爆発力みせる早瀬の走りに

注目せずにはいられない!


それほどまでに、

早瀬刃というランナーには、

一般人が生涯かけても辿り着けないほどの

カリスマ性があるのだ!


そんな中、城西拓翼大学の高橋拓生タカハシ ヒロキは、

早瀬の後方をキープしながら、

他校のランナーの表情を確認、

その動きを探っていた。



第二十一話 拓生ヒロキの算段!



(どこで誰が仕掛けるんだ!?)


どのランナーも集団の中で牽制し合い、

誰も一人で前に出ようとしない。


結果として、

全体的にスローペースとなり、

1キロ地点を3分15秒で通過した。


これは、

一般人からすれば十分に速いのだが、

大学駅伝としては、

かなりのスローペースである。


そして、2キロ過ぎ。


ようやく

九州ブロック代表である

第一工科大学の留学生が、

単独で前に出て、後方を突き放しにかかった!


しかし、関東ブロックの代表校は、

一向に追いかける気配はない。


彼らは、勝負どころが5キロ過ぎの

連続するアップダウンであることを

理解しているからだ。


案の定、5キロ過ぎで体力を消耗した

第一工科大学を視界に捉えると、


まるで獲物を見つけた虎のごとく、

早瀬刃が集団から一気に飛び出した!


有力校のランナーなら、

ここが勝負どころだと

分かっていたが、


(あのスピードについて行ったら

ゴールする前に確実に自滅する!)


という想いが強く働き、

誰もが動くことができない!


ただ、一人を除いては。


なんと、

ここで城西拓翼大学の高橋拓生が

そのまま、早瀬の追撃を開始し、

再び、後方にぴったり張り付いたのだ。


(このまま、できるところまで

早瀬に付いていこう!

後方のランナーにも重圧プレッシャーになるはずだ!)


一方、中央義塾大の早瀬は、

予想外の出来事にすこし驚いていた。


(こいつは確か…。

名前は知らんが俺と同学年だったな。

高校の大会では見たことねーし、

きっと大学で化けた感じだろう。


無名選手だが走りも悪くない。

何より気持ちが据わってやがる…。


全く!

こんなに根性ある奴を発掘するなんて

城西拓翼大学ジョーダイってチームは、

とことんおもしれーな!


思う存分、真っ向勝負してやるよ!)


そして、二人はどんどん加速し、

前方で力尽きた留学生ランナーを

置き去りにする!


(これは、ゴール前の一騎打ちになる!)

と皆が予想していた。


しかし、8キロ過ぎで、

徐ろに拓生はスピードを落とし、

後方から追い上げてきた第二集団に

飲み込まれていく。


それでも、

拓生はなんとか集団の後方で

一桁順位をキープしていた。


(なんだ…。期待はずれか。

ただの飛ばしすぎだったな。)


トップを走る早瀬は

そう思っていたが、


拓生の狙いは別にあった。


(ここまでは計算どおり!


最初から早瀬に勝とうなんて

全然ッ!思っちゃいないんだ!


あんな化け物じみたペースで

俺が最後まで持つわけないんだよ!


スピードを落としたのは、

ラストスパート用の体力を温存し、

慌てて猛追してきた

第二集団の奴らと大差なく、

無難にタスキリレーをするためだ!


シード権をとるためには、

こうゆう戦い方ができるヤツ

必要だってことよ。)


第二集団のランナーもまた、

皆例外なく、中学・高校ともに

長距離走のエリートである。


普段のトラックレースなら、

拓生の走力よりも上の連中ばかりだ。


しかし、彼らのペースを乱し、

体力を削ってしまえば、

終盤勝負に持ち込むこともできるのだ。


結果、城西拓翼大学は、

集団を出し抜くとまではいかなかったが、

シード権内の8位で二区走者への

タスキリレーを果たす!


1位の中央義塾大からは

かなりの大差をつけられたが、


2位から8位までは14秒差以内と

接戦に持ち込むことができた。


拓生の走りは、城西拓翼大学の

初シード権獲得に向けての

大きな希望となったのである!



二区中継地での順位は以下の通り。


 1位 中央義塾大学

 2位 東洋文化大学 

 3位 青葉大学   

 4位 早稲田学院大学

 5位 埼玉帝強大学 

 6位 國學舎大学  

 7位 関東体育大学 

 8位 城西拓翼大学 

 9位 中英学院大学 

10位 東京駒澤大学 

11位 純天王寺大学 

12位 神奈川専修大学

13位 山梨国際大学 


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― 新着の感想 ―
[良い点] 元サッカー部3人の活躍がみれそうな予感がするところ [気になる点] 高砂の調子次第でレース展開が変わりそうだが、調子はどうなのか [一言] なんせ元サッカー部3人の走りが楽しみ
2023/11/15 21:00 マスターネルネル
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