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第十三話 異端であり最先端!(法正大学編②)

「オラァ!へばってんじゃねーよ!!」


「てめーこそ、

その程度で箱根走れんのか!あ!?」


今日も法正大学の陸上競技場には、

長距離ブロックの部員たちが、

互いに檄を飛ばし合う…、


いや、むしろこれは、

ガラの悪いやからの口喧嘩に近い。


だが、部員全員が、

例外なく負けず嫌いで

なおかつ真剣だからこそ


この言い争いは

最高の叱咤激励になるのだ。


「まったくアイツらは…。

髪の毛の色や言葉遣いまで

徳丸トクに感化されよって。


全く…しょうがないヤツらだ。

これじゃあ、立派な社会人になれんぞ。」


法正大学監督の鳴山は、

そう小言をいいながらも、

内心は喜んでいた。


長距離選手のほとんどが、

練習時間が他の陸上競技より

長くなるため、

一様に修行僧のごとく

真面目な人間になっていく。


いや、むしろ

本質的にそうゆう人間でなければ、

長距離選手は務まらないのだ。


しかし、鳴山は、

指導者として駆け出しの頃から、

真面目だけが取り柄の

陸上選手ばかりを生み出す

大学長距離界の現状に異を唱えていた。



第十三話 異端であり最先端!(法正大学編②)



「魂を震わせるようなランナーを!

そんな人間を育成してこそ、

本当の意味での社会貢献になる!


だから、わしは絶対に、ウチの学生を

魂のない駅伝マシンなんぞにはせんぞ!


現代社会が本当に必要としているのは、

ただのマシンではない!人間なんだ!


燃えたぎる情熱と絶対に折れない信念、

そして、自主自立の精神があって、

はじめて人は誰かに感動を与えられる!」


ゆえに、鳴山は

見どころのあるエース級の選手には、

この自主自立の精神を養わせるため、

練習メニューすら選手自身に考えさせた。


また、余程のことがない限り、

横から口出しはしない。


エースに対しては、

明らかに特別待遇で接する。


一方で、それ以外の選手には、

とにかく徹底的に走らせた。


これに不満を言う部員も

少なからずいたが、


「特別扱いして欲しいなら、

今より速く、そして強くならんかい!

そしたらイヤでも認めたるわ!」


と、選手の反骨心を掻き立てる。


この極端な指導方針は、

大学陸上界ではかなり異端であった。


だが、これによって

法正大学が多くの実業団選手を

輩出しているのも紛れもない事実だ。


この鳴山の指導法は、

『異端であり最先端』と

識者から評価されることもあるが、


本人はそれを強く否定した。


「昔からずっと、

学生と向き合っているだけで

特別なことは何もしとらん!」


多くは語らないが、

一人ひとりに合わせた指導を

基本としていることは間違いない。


実際、鳴山は必要と判断すれば、

メンバー外の選手に対しては、

惜しみなくアドバイスを与え、


彼らがそれによって

ベストタイムを更新すれば、

一緒になって大いに喜び合う。


そして、

いつもこの一言を添えて

選手たちに激励を送った。


「世界中の人間がお前の事を知らなくても、

わしは世界一お前の頑張りを見とるぞ!」


このような逸話エピソードもあることから、

鳴山監督は、全ての部員から

ナルさんと呼ばれ、

心から慕われているのだ。

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