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「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第三章 夜の底。
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第九話 ロイの発見。



 ロイはセアカを探し出すとハクに宣言した日から毎夜霧街を見張っていた。ある日の明け方、空振りに終わった見張りを終えて、帰路につくロイは早朝の空を区切る光の筋に気付いた。それは、朝露に濡れる糸だった。明け方の霧街の空に糸が張り巡らされていた。透明で細い糸だった。それは家々の屋根から屋根へと巧妙に張り巡らされて、上り始めた薄い朝日に光りを返していた。朝露を纏わなければ気付くことは無かっただろう。その光る糸、それは蜘蛛の糸。蜘蛛の糸が霧街の空を覆っている。霧街には沢山の蜘蛛のモルフがいるが、これほどまでに長大な糸を張り巡らす能力があるのは、ロイの知る限り、一人だけだ。そしてその糸は朝日が昇ると共に朝露に溶けて消えた。ロイは確信した。


 ……セアカ。待ってろよ。もうお終いにしてやる。

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