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第五話 彼らの恋 2
クウは無事だった。少し痣が出来たが、大袈裟なものではなかった。ローはクウの家に近付かなくなった。あさつゆはクウの家に泊まり込むようになった。ハクは反発したが、でもやがて……彼女も近付かなくなった。
「あなた達は何でも持っているじゃない。なのにどうしてクウの幸せを奪おうとするの?クウは昔のクウじゃないの。怖いっていってるの。霧街のことを。ロイが恐ろしいって。もう、そっとしておいてあげて。」
あさつゆの言葉に心折れて、ハクは霧街に戻って行った。そうね。そうかも。涙が零れる。辛い、悲しい、寒い。ハクは霧街に戻っていく。
……輪廻転回なんてしなきゃ良かった。ロイだけ輪廻転回すれば良かったのに。こんなことなら、ずっと幼生でいたかった。




