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第二十四話 裏町《ナカス》の舞闘。
「まぁとにかく、舞闘台に寄ってけよ。霧街の奴等とはまた違った舞闘が見られるぜ?」
ヤハクは同世代の友達に向ける気さくさで、クウを誘う。クウもあさつゆもヤハクの肩に乗っていた。二人を載せてもヤハクは軽々と歩く。クウが考えていたファンブルの体力ではなかった。勿論、自分の状況とも全く違う。ヤハクは力に満ちていた。
「霧街ではかなり強かったらしいが、こっちのルールじゃお前も負けるぜ?興味ないか?」
あった。あるある。クウは興味深々だ。正直、ヤハクでも勝てそうな気がしていた。オーロウを使うタイミングだけが重要で、勝負は一瞬で決まる。初見で対処される事は無い。勝負心と好奇心の壺を絶妙に押さえられたクウは気持ちがばれないように注意しながら言った。
「い、いいよ!全然。舞闘は嫌いじゃないもの。一回だけ舞踏しようかな。今日は体の調子も良いし。」
ヤハクは笑う。豪快に。見るかとは言ったが舞うかとは言ってない。でもこの子はその気だ。ヤハクは心底、クウを好きになった。
「では、一舞用意しよう。」




