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第八話 零。
今、世界は滅んだ。そして、世界を覆ったクウの意識はそのまま拡散を続けて無限大になり、完全にエネルギーを失い、最大化しながらも無になった。クウは全てでありながら、何でもなかった。不安定は安定を求め、安定は不安定を求める。無限大となったクウは時間を巻き戻すように縮小し始め、宇宙そのものの大きさだった彼の意識は星雲になり銀河になり、恒星系となり星となった。更にクウの意識は圧縮を続けて無限小の粒になり――そして、消えた。不安定は安定を求め、安定は不安定を求める。どこかで誰かが囁いていた。世界の始まりを告げているのだ。
全てには……そう。
全てにはキッカケがある。
それを決める瞬間がある。
あるとき、世界は爆発することを決めた。
そうやって、全てがはじまったんだ。
あるとき、決めたんだ。
そうやって、全てがはじまった。
さぁ。
僕は、どうだ?
僕はどうする?
そして――何かが爆発した。
再誕。




