表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「天恵」 ~零の鍵の世界~  作者: ゆうわ
第十二章 世界の終わり。
407/425

第三十八話 世界の終わり 26



 「判ったよ。ラス。ニチリンさまのイドは渡すよ。だから、世界をよろしく。」


 クウはそう言うとオーバーオールとTシャツをめくり、自身の胸の中心にあるイドをさらけ出した。そこにはイドが縦に二つ並んで輝いていた。


 「では、約束する。ニチリンのイドと引き換えに世界は正常に戻す。」


 クウが頷くとラスはその鴉髑髏の口中から緑色に輝くゾル状の触手を伸ばし始めた。それは真っ直ぐクウの胸のイドに向けて進む。渦翁は精一杯の声で叫ぶ。


 「クウ!世界は渦を巻いた!ラスは約束を果たさない!」


 クウは以前聞いたリコールの話を思い出した。


 (……渦を巻いたと言うことは、僕のこの賭けは失敗するんだ。じゃぁ――。)


 すとん、とクウの中で全てが腹落ちした。納得して飲み込めた。迷いは欲望と可能性が連れてくるのだ。世界を救いたい。それも最小限の代償でより確実に。クウはそう考えていた。だが、無理なのだ。渦翁の叫びを聞いてクウは理解した。他に道は無い。全てをなげうって、それでも世界を救えるかどうか判らない。そう言う状況なのだ。これは望みの薄い舞闘なのだ。だが、そう、だとしても――。


 「やるしかないんだ。」


 クウは、持てる全ての魂気マイトを練り上げて、隈取りを発現させた。この舞闘に勝利しても、魂気マイトが枯渇して、命を落とすかも知れない。しかし、だからといって加減する余裕などない。全力でやりきるしか道は無いのだ。クウは赤と黒の渦を巻く二重の隈取りを発現させた。腹の据わった視線でラスを睨む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ