第三十三話 世界の終わり 21
「私は貴方に付き合うつもりは無いわ。」
言いながらフラウも立ち上がって、ポケットから布きれを取り出した。それを広げながら彼女は冷酷に発する。
「これを霧城の廃墟から見つけた時は本当に驚いたわ。まさかまだ処分されずに残っているとは。残念だけど、貴方たち六角金剛は施政者としての資質に欠けるのよ。こんな重要アイテムを放置しているなんて。」
殆どストレートに近くなった角を翳した渦翁は、返事もせずに金剛錫杖を振るい、フラウの首を撥ねた。悲鳴を上げるミントを制して素早くフラウから闇布を奪った。ミントはそれが何であるか理解して、見て再び悲鳴を上げた。
「危なかった。まさかこれがまだ残っていたとは。直ぐに彼女の周囲を調べよう。ミント、四牙に伝達して彼女に協力している者が――。」
渦翁がそこまで話したところでミントの大きな瞳は恐怖で見開かれ、遅れて街の方から悲鳴が上がった。ミントはその鋭い感性で悲鳴を渦翁より早く察知したのだ。渦翁も何かを感じてテントの外に向かう。テントの入り口の天幕を撥ね除けて、悲鳴の出所を探そうとしたが直ぐに場所は判った。街の反対側に塵輪が二体現れていた。渦翁はテントの中に戻り、恐怖で座り込んでいるミントを揺さぶり起こした。
「ミント!頼む!直ぐにクウ達に連絡を取ってくれ!」




